48 救いようのない者達、能力の無駄づかい
「そういや……」
「なんだ?」
「この前、会いましたよ。
邪魔をしてくる奴らに」
「ああ、会ったのか」
先日、姉の捜索・救出中に会った6人。
その事をカズヤは男に伝えていった。
「なんなんですか、あれ」
「さあな。
俺もよく分からん。
こういう作業中にやってくるから顔を合わせるだけだし」
それ以上の接点はない。
男としても、作業の邪魔をしてくる連中に興味はない。
ただひたすらに鬱陶しいだけだ。
「邪魔にしにきたのか、やっぱり」
「まあ、そうですね。
巣を壊すなとか言ってきました」
「だろうな」
おぼえがあるのか、男はあっさりと受け止めた。
「ああいう考えの奴等だ。
無視しておいた方がいいぞ」
「ええ、邪魔だったんで撃退しておきました」
最終的に巣の奥に放置。
崩壊して消滅する中においてきたとも伝えた。
「それがいい」
カズヤのやり方を男は褒め称えた。
「あいつらとは話が通じない。
会話するだけ時間の無駄だ。
さっさと処分した方がいい」
「やっぱりそうなんですか」
「ああ、そうだ」
男もかつて何度か顔を合わせた事があるという。
その度に邪魔をされた。
話し合いにもならないので、出会ったらすぐに撃退する事にしてるという。
カズヤがやったように、崩壊する巣の中に放り込んで。
「そうして消さないと延々と襲ってくるから」
だから怪物の巣に放り込む。
崩壊に巻き込まれればまず復活する事は無い。
「たまに例外もいるけどな」
「なんですかそれ?」
巣の崩壊に巻き込まれて消えていく者達。
そのうちの何人かは戻ってくる事がある。
怪物に取り憑かれて。
男はそうなった者達と再開した事もある。
「だから、絶対に消えるってわけでもない。
厄介になって戻ってくる事もある」
「面倒ですね」
生きてるだけで邪魔だというのに。
死んで消えてからも迷惑をかける。
どこまでも鬱陶しい連中だった。
「そうでなくても、巣の破壊を邪魔しにくる事もある」
男の活動を阻害するべき立ちはだかるのも珍しくはないという。
カズヤの前に出てきたのも、そうした行動の一環だ。
もちろん、聞き入れるわけにはいかない。
だからどうしても戦闘になる。
「最近は警告もしないで攻撃してくるようになったよ」
それだけ敵にとって男は脅威のようだ。
「相手にならないから撃退できるけど」
巣の破壊をしないから、大量の経験値を得る事がない。
だから邪魔をしにくる能力者達はたいした驚異ではない。
だからこそ、余計に腹が立つ。
現状維持といいながら、悪い状況を保っている。
その為に全力を使ってる。
邪魔しに来る者達の弱さは、その証明でしかない。
「鬱陶しい連中ですね」
「ああ。
怪物と一緒に処分するにかぎる」
カズヤと男は同じ結論に到達していった。
「でもな」
「はい?」
「俺たちみたいに考える奴って少ないんだよ」
怪物と戦える者達の大半は巣の破壊を躊躇う。
「ああ、だから」
カズヤもそれで理解できた。
「巣の破壊に来てるのが俺達だけなの、そういう事なんですか」
「そういう事だ」
他にも何人か、巣を破壊してまわってる者はいるという。
だが、決して多くはない。
本当に一握りの小数が、怪物を殲滅するために動いてる。
「やってらんないですね」
やれるだけの能力を持ちながら、決してやろうとしない。
そんな連中に腹がたち、そして呆れて、最後には虚脱感に襲われる。
「しょうがないさ。
だから、俺たちだけでも頑張らないと」
男の声も、諦観と虚無感に彩られたものだった。
それでもカズヤ達は、まだ数多く残ってる巣の破壊に向かっていく。
片付けなければ平穏はやってこないのだから。




