45 悪いものを取り除いたあとの、快適な状態
姉を解放し、残りの巣も破壊していく。
全てを破壊すると、駅前の姿が変わった。
変化前は雑然とした様相をしていた。
悪い意味で昔ながら。
道路などは細くせまいままにビルなどが立ち並んでいた。
駅を建設した当時のまま、特に大きな整備もせずにいたからだ。
それも、昔ながらの景観を残して保つためではない。
もともと歴史などない町である。
戦後の復興・発展期に住宅地として開発された。
都市部で働く者達の居場所を作るためだ。
その時に作られた道などがそのまま残ってるだけだ。
その後も、交通量増加に対応してと言い訳をしながら、細い道を量産し続けていた。
おかげで、無駄に雑然とした町になっていた。
そのせいで、車と人が互いに邪魔をしあう形になっていた。
道が狭いせいで車は限界いっぱいで走らねばならない。
歩道もないので、歩行者も車に気をつけねばならない。
それが変化後は大きく変わった。
細かい道が消えている。
主要な通りは大きく拡張され、交通量に対応している。
それでいて、必要な脇道などもある。
車が通る主要道路と、自転車や歩行者が使う比較的細い道が上手く入り交じっている。
様々な店も並んでいる。
駅が出来た頃から続いてる店も、新たに始まった商売も。
それらが賑わいをもたらしている。
以前は雑然としながらも、店が少なく、また繁盛してるうようには見えなかったのに。
「こっちの方がいいだろうが」
崩壊した巣の中に消えていった6人に向かって言う。
返事がないのは分かっている。
言わずにはおれないほど腹が立ったのだ。
変わることが良いとは言わない。
変わって悪くなる事もある。
だが、必要な整理や整備もしない。
そのせいで発展や発達が遅れる。
道の行き来もしにくくなる。
それを続ける事の何が良いのか?
そんな状態を良しとしていた6人の考えが分からなかった。
彼らは変わらない今までの方が良いと言っていた。
だが、変わった後の町を見たカズヤはそう思わない。
これで悪い方向に変わっていたなら、カズヤも考えをあらためるしかなかった。
だが、変わったあとの町は、整然として、それでいて賑わっている。
前よりは良くなっている。
それのどこが悪いのかさっぱり分からなかった。
たしかに消えた者達もいるだろう。
だが、それが悪いとも思えない。
見たところ、怪物に同調してるような者が消えただけだ。
取り憑かれていた者であっても、消えずに残ってる者もいる。
カズヤの姉のように。
そうした者達は、以前よりは良い状態になっている。
比べてみれば、怪物を倒して巣を破壊した後の方が良い。
それで何かが代わり、誰かが消えるとしてもだ。
家も、学校も、商店街も、駅も。
あらゆる所が良くなってる。
どちらを選ぶかと聞かれれば、変わった後の方とカズヤは答える。
そのつもりで今後もやっていく事にした。
怪物を倒し、巣を破壊し、様々なものを変化させていく。
より良い方向に変わるのだから躊躇う事は無い。
それを邪魔する者は今回のように倒していく。
思いをあらたにしながら、カズヤは家へと向かった。
駅前の掃除も終わり、時間も動き出した。
さすがに遅くまで出歩くのは気が引けた。
家にいないと、変わった後の母が心配するかもしれない。
さすがに気が引けるので、さっさと帰宅する事にした。
気を使って気配を消していく。
人の目にうつらないようにも。
そうしてから建物の屋根にとびうつる。
そこから人の目にとまらない速さで家まで一直線に走っていった。




