40 それはとても羨ましい連中だった、見た目だけなら
なんだ、と思って見つめる先にいた6人の男女。
見覚えではないから顔見知りではない。
そもそも、時間の止まってるこの場で動いている。
それだけで普通でないのは確かだ。
(それにしても)
見ていて腹の立つ連中だった。
男女6人とはいっても、これは正確ではない。
正しくは、男一人に女5人。
男女比率が著しく偏ってる。
更に、全員が揃いも揃って美形揃い。
男は美男子だし、女はタイプの違う美人ばかり。
見目麗しい者達がこうも揃うというのも異常だろう。
素直にうらやましさと、同時に妬ましさをカズヤはおぼえた。
平凡な見た目のカズヤである。
不細工というわけではないが、顔立ちがととのってるというわけでもない。
そこはカズヤも自覚している。
決して自分の見た目が優れてるわけではないと。
だからこそ、目の前に出て来た6人との違いを自覚する。
そんな連中がいったい何の用なんだと思った。
とりあえず気を使わずに相手のことを見る。
表情や仕草から何か読み取れないかと。
今のカズヤの能力は、それだけで相手のことをかなり調べあげることが出来る。
もはや魔術や超能力の領域だ。
そんなカズヤの見立てでは。
無駄に使命感に燃え、自分が信じてることを疑わない。
自分の都合を正義と言い張って掲げてる類いだ。
果てしなく鬱陶しい人種である。
また、男と女達の関係もすごくよく分かる。
いわゆるハーレム状態だ。
男は5人の女に好意を抱いてる。
5人の女も男に好意を抱いてる。
そして、相思相愛の関係だ。
そんなことを一瞬で読み取った。
羨ましく、そして呆れるしかなかった。
(すげえな)
まさか現実の日本でハーレムを見るとは思わなかった。
これが一夫多妻が認められてる国とかなら、複数の女と付き合ってても問題はないのだろうが。
また、架空の世界や創作の中なら、男一人と複数の女が付き合ってても違和感はないのだが。
(現実でこんなことがあるのか……?)
思わず目にした6人に疑問を抱く。
こいつらはこの現実に本当に存在してるのかと。
怪物が見せた幻影ではないのかと。
しかし、現実である。
目の前にあるのは事実だった。
信じ難くても嘘ではない。
それをカズヤは認めたくなかった。
あまりのも嘘くさく、本当とは思えなかったからだ。
多分に嫉妬や羨望によるものでもある。
だが、そんな連中の頭の中まで覗いた時に、思考が冷徹なものに切り替わった。
見た目にあらわれる部分から読み取れることは読み取った。
ならばと頭の中を覗き、心を探った。
そうして見えてきた目の前の6人の考えや記憶。
それを見て、浮ついていた気分が消えていった。
(駄目だ、こいつら)
浮かんできた様々な考え・思い。
それを知り、カズヤは落胆し、呆れた。
それほど酷いものだった。
(どうにかしないと)
義務感めいたこんな思いすら生まれてきた。
それほど酷い考えが並んでいた。




