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【完結】暗がりの向こう側 ~怪物が蔓延っていた世界で、生き残るために戦います~  作者: よぎそーと
2章

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36 ようやくの変化

 巣を破壊したカズヤはそのまま帰宅。

 いつも通りに風呂に入ってさっさと寝るつもりだった。

 なのだが、帰って早々に家の中の違いに気付く。



 いつもと、今までと様子が違う。

 悪い方にではない。

 どこか整理も整頓も掃除もされてない状態だった家。

 それが変わってる。

 手の行き届かない所はあるが、決して悪い状態ではない。

 日常的に使う所はしっかりと片付いてる。

 ちょっと散らかってる所もあるが、それはそれで生活感が感じられる。



「……そうか」

 すぐにその理由を察知する。

 変わったのだ、巣を破壊して。

 幾つもの怪物の住処を壊し、影響力を潰していった。

 その結果が家にもあらわれたのだ。



 まだ大きな変化ではない。

 家の中の様子が変わっただけだ。

 だが、それでも変化が出てきた。

 今まで、なかなかあらわれなかったのに。



 怪物の巣を破壊すれば様々な変化があらわれる。

 それをカズヤは様々な所で見てきた。

 なのだが、カズヤの家にはそれがなかなかあらわれなかった。

「影響をおよぼしてる奴等が消えてないからかもな」

 相談をした男はそんな事を言った。



 だからこそ、今日変化が少し出たのだろう。

 母が勤めてるパート先の巣を破壊した。

 だから、母に関わりのある部分が変わった。

 他にも要因があるかもしれないが、考えられるのはそれくらいだ。



 家の中を見渡してそんな事を考えてると、玄関の方から気配が近づいてくる。

「ただいま」

 いつもより早く母が帰宅してきた。

 今までより一時間は早い。

「……おかえり」

 ぼそっと、聞こえるかどうかの声で返事をする。

 それに母が気付いたかどうかは分からない。

 だが、久しぶりにカズヤは出迎えの言葉を口にした。



 家に入ってきた母を見る。

 怪物は取り憑いてない。

 表情や動きから見て取れる様子にもおかしなところはない。

 念のため、気を使って意識を探ってみる。

 今日、今まで何をしてきたのかを。



 意識を透視し、記憶を探っていく。

 そこに不穏な影はなかった。

 家のことでの心配はまだつきまとってる。

 父の会社の様子がおかしいのも、姉がろくに家に帰ってないのも。

 そこはまだ変わらない。

 その事への心配を抱いてる。



 だが、母自身の問題は消えた。

 母の記憶に、怪物に取り憑かれていた色男の姿はない。

 同僚との他愛のないやりとりや、仕事に取り組んでる視点があるだけだ。

 多少の愚痴や文句はあるが、決して本心から不平不満を抱いてるわけではない。

 家族への心配はあるが、それは相手への思いやりがあるからだ。

 以前は、家族への不満しかなかった。

 今はそういった悪い感情がない。



 それだけでも充分だった。

 今の母は、職場で不倫をしてるわけではない。

 怪物に操られてるわけでもない。

 普通の人間として普通に生きている。

 記憶を遡っていっても、不貞を犯した場面はない。



(変わったんだな)

 それが嬉しかった。

 少なくとも、以前よりは良くなった。

 ほんの少しだけでも。



 母の意識から抜けていく。

 意識を探っていたのはほんの一瞬。

 それこそ、一秒にもならない程の短時間だ。

 母がそれに気付く事はない。

 なので、そのまま何事もなかった事にしていく。



「ねえ、御飯は?」

「もう食った」

 嘘ではない。

 巣を破壊した帰りに、手に入れた経験値を使って食い物を手に入れた。

 それを食べたので腹は減ってない。

「そう」

 母もそれ以上追求してこない。

 カズヤが先に飯を済ますのはいつもの事だ。

 気にもしないだろう。

 だが、次の言葉は今までになかったものだ。



「ミサキは?」

 姉の名を口にする。

 今までの母なら、姉の事を気にもしなかったのに。

 今は心配そうに尋ねてくる。

「いや、戻ってないみたい」

 事実をカズヤは口にする。

 それを聞いて母はため息を吐いた。



「何をしてるのかしらね……」

「さあ……」

 カズヤとしてはどうでも良いことだ。

 姉との接点がほぼ無くなって長い。

 もう気にする事もほとんどなくなった。

 だが、母はそうではないらしい。



「お父さんも……今日も帰ってないのね」

「うん」

 そちらも心配なようだ。

 そんな母の姿を見て、カズヤは少し嬉しくなった。

 それが顔に出たのだろう。

「どうしたの?」

 母が聞いてくる。

「なにが?」

 聞き返して誤魔化し、カズヤは部屋に向かった。



(姉貴の方も見てまわるか……)

 なんとなくそう思った。

 気になってるわけではない。

 だが、心配してる母を見て、探ってみようと思った。

 なんでそう思うのか分からなかったが。

 それでも、

(明日は、姉貴の方をどうにかしてみるか)

 そう考えながら寝ることにした。



 少しだけ、気分良く眠れた。

 目覚めも、ほんの少しだけすっきりしたものだった。

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