33 母がそうなった経緯、母をそうした理由
年頃は二十代くらいだろうか。
分かりやすいくらい格好いい男だ。
格好つけてるとも言える。
染めた髪とそこそこ調った顔。
明るい分かりやすい陽気な態度。
そういったものが母の記憶を通じてカズヤにも伝わってきた。
家計が苦しくてパートに出ていた母。
しかし、一向に状況は良くならない。
辛い顔をする事も多かった。
そんな時に声をかけたのが、同じ職場にいた若い男だ。
気さくに、気安く接してくる男に、母もだんだんと打ち解けていった。
愚痴をこぼすくらいに仲良くもなった。
誰かにすがりつきたかったのだろう。
男はそんな母に適当に合わせていった。
程なく身体を重ねるようになった。
男が遊びなのは、カズヤにも読み取れた。
母の記憶の中にある男の態度や言葉からそれが分かる。
母もそれは察知していた。
分かっていながらも、身体を重ねていった。
そうでもしないと気を紛らわす事が出来なかったからだ。
質の悪い事に、男は他の女にも手を出していた。
それもまた、母の記憶にある情報から察知できた。
そして、母もそれを承知していた。
分かったうえで、身体の関係を続けていた。
若い男と快楽にふけることでしか気を紛らわす事が出来なかったのだ。
相手の男もそこにつけ込んでいた。
男は簡単にやれる適当な玩具として母を扱っている。
母もそれでかまわないと、快楽にふけっている。
そんな母をカズヤは素直に軽蔑した。
前々から、帰りが遅いなとは思っていたが。
なので、疑いをもっていた。
何をしてるのだろう、何かしてるんだろうと。
それがこういう形で明らかになるとは思わなかった。
なにより最悪なのが、その男が人面花に寄生されてた事だ。
それも末期まで進んでいる。
男の意識がどれだけ残っていたのかは分からない。
感じ取れるのは性欲くらいだ。
そんな男の欲求を人面花が制御していた。
花の中に浮かぶ女面がにたりと笑っている。
それは、カズヤに強烈な印象を与えていった。
「なるほど……」
意識の探索を終える。
知りたい事は全部分かった。
母の浮気・不倫も。
相手の男に寄生していた人面花が何を求めていたのかも。
「そういう事か」
怪物共の思惑が分かった。
反吐が出そうになった。




