16 動き出した時間
「あ……」
6つめの巣を破壊し、外に脱出した後だった。
空が暗くなってるのに気付いた。
「これって」
「時間が動いたな」
男が言うとおりだった。
カズヤが手に取る腕時計の表示も動き出している。
怪物から解放された事を示していた。
「まあ、そこらに逃げ散ったのがいるけどな」
男は注意も忘れない。
巣の崩壊から逃げ延びた怪物の存在を伝えていく。
「どこかに新しい巣を作り始める。
それも探して倒していかないといけないぞ」
「結構面倒ですな」
「ああ、とてつもなく面倒なんだ」
辟易した顔で男は頷く。
「でも、まずは近くの巣に逃げ込んでるはずだ。
それも潰しに行こう」
「今からですか?」
「いや、さすがに今度でいい」
さすがに男もこれ以上働く気は無いようだ。
「被害が広がるまえに、出来るだけ早く潰しておきたいけどな。
でも、無理して潰れるわけにもいかないから」
実際、戦いっぱなしだった。
巣を一つ破壊するのに、体感時間で一時間はかかってる。
それらを探して歩いてる時間と、邪魔しにくる怪物を倒す時間もある。
なんだかんだで半日くらいは戦っていた気がする。
これ以上動くのは厳しいものがあった。
「今日はここで一度終わりにしよう。
続きは明日か明後日かだ」
カズヤもそれで文句はない。
「じゃあ、連絡先だけど……携帯電話とかもってるか?」
「いや、俺はそういうの無いんです」
「そっか……」
連絡手段がないとこういう時に不便だとカズヤは初めて感じた。
「なら、今のうちに手に入れておこう」
思いもしなかった言葉を聞いてカズヤは驚く。
「どういう事です?」
「携帯とかスマホを手に入れるだけだ」
あっさりと男は言った。




