13 止まった時間を動かすために
それだけが怪物の巣を破壊する理由ではない。
更にもう一つ、男は破壊するべき理由を伝えていく。
「気付かないか。
時間が全然動いてないだろ」
言われてカズヤは周りを見る。
時計も取り出し、時間を確かめた。
家庭の事情でスマホなどを持ってないので、安物の腕時計を常に持っている。
そこに表示されてる時間は、確かに全然進んでない。
下校途中の16時頃からそのままだ。
日も沈んでない。
巣に潜り、それを破壊してきたのだ。
行って戻ってくるだけでも一時間近い時間がかかってるはず。
なのに、いまだに夕方くらいの明るさを保ってる。
「こいつらの影響のある所に入ると、時間が止まるんだよ」
どういう原理でそうなってるのかは分からない。
だが、見えるようになった者が、怪物の影響力の強い場所に入ると時が止まるという。
「周りに影響を与えてる巣のせいだ。
それを全部壊せば、時間は元通りに動き出す」
そうでなければ、止まった時間の中をさまよう事になる。
怪物に襲われながら。
だから必ず怪物を倒さねばならない。
元の世界に戻るためにも。
「ただ、ここは結構根が張ってるからな。
時間がかかるかもしれない」
男の言うとおり、町は巨大な植物によって絡め取られてる。
巣を一つ潰したが、それだけでは完全になくならない。
「どれだけ壊せばいいか分からんが。
見つけて全部潰す」
「分かりました」
面倒な事になったと思う。
全部が終わるまで怪物との戦いは終わらないのだ。
かなりの手間になるのも分かる。
先ほどカズヤは自宅の家にあった巣に潜って破壊した。
その時の手間をこれから幾つもこなさねばならない。
だからといって逃げるわけにもいかない。
やらないとどうにもならない状況だ。
これがデタラメでもなんでもないのは、カズヤ自身が体験している。
男のいう事に嘘がなければ、本当に怪物を倒さないとこの状態は終わらないのだろう。
(やるしかないか)
やる気があるとは言えない。
だが、やらねば怪物に囲まれたまま。
ならば問題になってるものを倒していくしかなかった。
怪物を倒し、巣を壊していくしかない。
男についてカズヤは怪物の巣を巡っていく事にした。
いつ終わるのか、どれだけ破壊すればいいのかも分からなかったが。
終わりにたどり着くためにはやっていくしかなかった。




