表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【完結】暗がりの向こう側 ~怪物が蔓延っていた世界で、生き残るために戦います~  作者: よぎそーと
1章

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

12/109

12 怪物たちの生態系

 怪物を倒しながら、更に多くの説明がされていく。

 怪物がどういうものなのか。

 これらを倒さないとどうなるのかを。



「こいつらは人間を食う」

 怪物を倒して進みながら男は語っていく。

「花は人間に根を張って、霊魂を吸い上げていく。

 虫は人間に食いついて霊魂を食っていく」

 基本的にはそうして人間を食い物にしていくのだと。



「けど、それだと人間がもたない。

 だから、こいつらは手を組んでる」

 本当に手を組んでるのかどうかは分からない。

 だが、男からすればそう見える行動をしていた。



「花の方は自分では動けない。

 種を根を張る場所に持っていかないといけない。

 虫は、そんな花の種を運ぶ。

 そして、人間に植え付ける」

 実際には花粉を持ち運び、それを人の身体になすりつけるのだという。

 その花粉が種となって人の身体に根を張り、人面花が咲くのだと。



 咲いた人面花は人の命を吸い上げて生きていく。

 ただ、すぐに死ぬような事はしない。

 衰弱して本来の能力を出せなくはなる。

 だが、ギリギリまで生かしておく。

 少しでも長く咲き誇るために。



 その間、人面虫は花がもたらす蜜をすすって生きていく。

 巨大化して樹木のようになった花からは、表皮をかじって樹液をすする。

 そして、新たに咲いた花から種を受け取り、人間に植え付けていく。



 人面花と人面虫はこうした共生関係にある。

 互いに生き残るために協力している。

 人の命をすするために。



「お前もそうなってた」

 人面花が植え付けられ、死にそうになっていたという。

 なるほどと思った。

 妙に身体がだるく、頭が働かない。

 感覚も鈍り、以前のように動けない。

 そんな状態だった理由がよく分かった。



「最終的には自我を失ってさまよい始める。

 取り憑いた人面花に支配されて身体を操られていく」

 そうなったらゾンビのようなものだという。

 何も考えず、身体を生かすためだけに動くようになる。

 そして、苗床になる人間を増やすためだけに繁殖をはじめる。

 そうなってる場所もかなりあるという。



「その中心になってるのが、こいつらの巣だ」

 たいていの場合、巣は巨大な人面花が作ってる。

 巨大に育ったそれが虫の住居を作り出す。

 その住居の中で人面虫は卵を産み、幼虫を孵化させていく。

「そうして生まれた奴が、そこかしこに飛び散っていくんだ」

 怪物達は、こうして広がっていく。



 そんな巣が壊れれば、人面虫が繁殖する場所が消える。

 そもそもとして、巣が巨大な人面花だ。

 大小様々な花が咲いている場所でもある。

 そこで人面花の種も常に産み出されている。

 ここを潰せば、再生はかなり難しくなる。



 生き残りが外に逃げる事はある。

 だが、それらがふたたび大きく育つまでには時間がかかる。

 そうなるまでは、とりあえずの平穏が訪れる。

 それを得るだけでもまず充分だった。

 それで満足するしかないほど、怪物ははびこってる。



「それに、巣が壊れると、正気に戻る人間も増える」

 そこかしこに根を張って拡大拡張する人面花。

 巣を中心にした巨大な人面花は、周囲に多大な影響を与える。

 吐き出す毒花粉によって人々の意識すら操る事が出来るからだ。

 それにより、怪物に都合良く動く者を増やしていく。

 知らず知らずに怪物に都合良く動いていく。

「それを止める事が出来る」

 だから巣を潰さないといけない。



 そういう事なのかと納得していく。

 襲われるから倒すしかないのもある。

 だが、放置していたら命にかかわる。

 今日、男に出会うまでのカズヤのように。

 それは出来るだけ防ぎ止めねばならない。



「だから、この周りにある巣を壊す。

 大変だと思うが、付き合ってもらうぞ」

 人手が足りないから、と男は付け加える。

 こんな事が出来る人間は少ない。

 怪物が見えて、気を操れる人間はそう多くはない。

 だから、カズヤのように見えるようになった人間は貴重なのだという。

 断る理由もないカズヤは、

「分かりました」

と頷いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。




活動支援はこちら↓

あらためて支援サイトであるファンティアの事でも
https://rnowhj2anwpq4wa.seesaa.net/article/501269240.html
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ