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【完結】暗がりの向こう側 ~怪物が蔓延っていた世界で、生き残るために戦います~  作者: よぎそーと
1章

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10 巣の崩壊

 男の言ったとおり、崩壊はすぐに始まった。

 巣の最も奥の空間が崩れ始める。



 異様な光景だった。

 一般的な建物の崩壊とは違う。

 焼き払われた部屋が、靄や霞のように消えていくのだ。

 倒した怪物が消えるように。



「この巣が消えていってるんだ」

 走りながら男が説明する。

「この巣は怪物で出来てる。

 天井から下がってた花の身体でだ」

「じゃあ、ここって怪物の中なの?」

「そうだ。

 だから、巣を作ってる怪物が死ねば消える」

 それを聞いてカズヤは後ろを振り向く。



 奥の部屋から進んでくる巣の崩壊。

 それは確かに怪物の消滅と同じようなものだった。

 消えていくところから光の粒が生まれ、カズヤと男に向かってくる。

 男が言うように、この巣は確かに怪物の身体によって出来てるのだろう。

 それを理解してゾッとした。

 自分は怪物の内部にいるのかと。



「あれに巻き込まれたら戻ってこれないぞ」

 男からはさらに恐ろしい事を言う。

「巣の消滅に巻き込まれたら俺達も消える。

 だから、そうなる前に外に出るんだ」

 そう言うと男は更に加速していく。

 慌ててカズヤもそれに追いつこうとする。

 だが、能力の差が大きいのだろう、互いの位置は確実に離れていく。



「ま、待って!」

 置いていかれると思ってカズヤは声をあげる。

 見捨てられるのだと思った。

 しかし、そうでないのはすぐに分かった。



 分かれ道までやってきたところで、男が何かと戦ってるのが見えた。

 脇道から出て来た巨大虫を倒してるのだ。

 どうやら、先に進んで怪物を撃退していたらしい。

「こいつらも逃げ出すために必死だ。

 あちこちの道から出て来るから、気をつけろ!」

 そう叫ぶ男は、最後の怪物を倒して先へと進む。

 その後ろをカズヤは必死になって追っていった。



 その後は同じ事のくり返しだった。

 先に進む男は、分かれ道で怪物をたおしていた。

 そうして道をつくり、カズヤの脱出を助けている。

 その好意に甘え、カズヤがただひたすらに出口を目指した。



「そのまま進め!」

 男が叫ぶ。

「上っていけば、どこかの出入り口につく。

 そうすりゃ、外に出られる」

 その言葉に従い、とにかく上り坂を進んでいった。

 巣の奥を目指すのとは逆の方向に。



 出口を目指して上っていく。

 普段のカズヤだったら、途中で息切れしていただろう。

 だが、今はそれが全くない。

 運動不足であり、そもそも運動能力と縁の無いカズヤなのだが。

 それを感じさせないほど軽快に進んでいく。



 足がそもそも速い。

 男には追いつかないが、それでも今まで以上に身体が動く。

 目も良くなってるのか、通路を遠くまで見通せる。

 気配も感じ取りやすくなっていて、どこから怪物が出て来るのかが分かる。

 おかげで、襲撃をかいくぐることも出来た。



(これが、レベルが上がるってことか)

 その効果を実感していく。

 どのくらい能力が上がってるのかは分からない。

 だが、確かに今までよりも身体が動く。

 あらゆることを感じ取れる。

 思考力も上がってるのか、何をどうすれば良いのかをすぐに判断出来る。



 そうしてカズヤは通路の終わりにたどり着く。

 通路が終わり、外の景色が見えた。

 星も見えない夜空が。

 そこが外なのだと察知し、一気に駆けていく。



 男と共に外に出たカズヤは、ようやく足を止めた。

 息はまだ上がってないし、疲れもない。

 だが、崩壊から逃げることが出来たことに安心した。

 なのだが、まだ全部が終わったわけではない。

「悪いけど、もう少し頑張ってくれ」

 そういう男は、壊れていく巣の中を指した。

 そこには、崩壊から逃れようと飛び出してくる怪物達がいた。



 その場から動けない花・植物型の怪物はいない。

 だが、動くことが出来る虫型の怪物があふれ出てこようとする。

「気の使い方とか、まだ分からないだろうけど。

 力任せに殴れって蹴ればいい。

 頭を潰せば、奴等は死ぬ」

 そう言って男は入り口の前に立ち塞がる。

 怪物が出てこないように。

「もらした奴を頼む」

「わ……かりました!」

 つっかえながら返事をしたカズヤも男に並んだ。



 それから十数分。

 カズヤは男の手伝いをしながら怪物をたおしていった。

 男が取りこぼす怪物はそう多くはなかったが、それでも何匹がすり抜けた。

 言われたとおりにそれらの頭を殴り、蹴っていった。

 レベルが上がったおかげなのだろう、一撃で怪物の頭を叩き潰すことが出来た。

 その瞬間の感触のおぞましさに閉口しながら。



 それも巣が完全に崩壊することで終わる。

 逃げ遅れた怪物を巻き込みながら巣は消えていった。

 そこにあった出入り口が消滅し、後には何も残らない。

 カズヤ達が出て来た出入り口が消えた後には、何の変哲もない床があるだけだった。

 カズヤの近所にある町内会の会館の。

 何度か上がったことがあるので見覚えがある。

 どうやら家ではなく、町内会館の方にのびていた道を辿っていたらしい。



「おつかれさん」

 男がカズヤをねぎらう。

「とりあえず、巣の一つは潰せたよ」

 そう言われて安心しようとした。

 だが、その言い方が気になった。

「一つって……あれだけじゃないんですか」

「ああ、もちろん。

 この近くにもまだあるはずだ。

 あれだけあちこちに根や枝を伸ばしてるんだからな」

 それを聞いてカズヤは、もの凄い脱力感に襲われた。

 事がまだ終わってないと知って。

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