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ネコさんとゾウさん

「にゃあ〜、クマさんより大きいにゃあ……」


 イタチさんがのっているウシさんは、のんびりと横たわっています。

 たしかに、クマさんよりも大きいですね。


「えへへ。ウシさんは力持ちで、たくさんの鍋もいっぺんに運べちゃうんだよ!それに、火をおこすのも上手だし、重い鋳物(いもの)でもどんどん作れちゃうんだ!」


 ふんすふんすと、イタチさんが胸をはって答えます。イタチさんはウシさんが大好きです。


「にゃあ〜、ウシさんの背中にのったら、楽しそうだにゃあ〜」

「おや、それならねぇ、ウシさんよりも大きなゾウさんが向こうで歌をうたっているよぉ〜。ここでカゴと鍋を選ぶから、ネコちゃんたちは、荷車から枝豆を持って見にいってごらんよぉ」

「ゾウさん?にゃにゃ?」

「おや、ネコちゃんはゾウさんを知らないかね。クマさんと一緒に行っておいでぇ。ウシさんよりも、もっと、もぉっと大きいからねぇ〜」


 いたずらをするみたいに、カメコおばあちゃんはニコニコと笑っています。クマさんもふんふんと頷いています。


 すると、頷いていたクマさんが何かを思い出したように慌てはじめました!


「そうだ!ネコさん、枝豆をふた束ずつ持っていこう!」

「にゃあ?」

「おもしろいことができるよ!」


 クマさんがうきうきと荷車から枝豆をとると、ネコさんを抱っこします。


「あ!カメコおばあちゃん!小さなカゴひとつお願い!水ようかんと交換して!」

「はいよぉ。クマさんはゾウさんが好きだからねぇ〜。ここにいるから、行っておいで〜」


 カメコおばあちゃんが真っ黒い顔をしわしわにして見送る中、クマさんは待ちきれないように走り出しました!


「にゃにゃにゃにゃっ!」


 抱きかかえられたネコさんは、突然走り出したクマさんにびっくりです!背中に枝豆の葉っぱがわしゃわしゃと当たります。


「歌がおわる前にいかなくちゃ!ネコさん!ゾウさんは遠くから旅をしてきたんだ!

 カメコおばあちゃんが言ってた!

 だから、聞いたことのない言葉の歌だったんだね!」

「クマさんは、聞いたことがなかったのかにゃあー?!」

「うん!いつも歌が終わってからだったから!

 あ、ゾウさんが見えてきた!」


 枝豆を抱えてクマさんが猛ダッシュで走る間、ネコさんは後ろ向きに通り過ぎていくお店をみていました。アマガエルさんのお店がありましたが、アマガエルさんはいないようです。

 まだ、出かけているのでしょうか?


 もふっと、クマさんがネコさんを抱きなおして、ネコさんを後ろ向きの体勢から前が見えるようにしました。

 肩車は、クマさんの麦わら帽子があるので今はできません。


 ネコさんが前足で自分の帽子を上に持ち上げると、そこには大きな大きな…。


「にゃ、にゃにゃにゃあ〜!!」


 ゾウさんが大きな岩のステージの上で歌っていました。


「♪〜」


 少し低めの素敵な歌声です。

 歌いながら、ゾウさんは長い鼻を優雅に揺らしています。


 ネコさんもクマさんも知らない言葉の歌です。けれど、うっとりと聞いてしまいます。


 周りを囲むみんなも、うっとりとして、聞き惚れています。


「♪〜……ありがとう、みんな」


 歌を歌い終えたらゾウさんが、ゆっくりと鼻を持ち上げて、ウインクするように耳を動かしました。

 しっとりとした、おとなの雰囲気です。


「わあ…なんだかすてきな歌だったね」

「にゃあ〜、もう少し聴きたいにゃあ」

「あ、枝豆でお願いしてみよう!」


 クマさんは、ネコさんを地面におろすと、枝豆をふた束ネコさんとそれぞれに持って、ゾウさんのところへ向かいました。


「あの、もう一曲歌ってもらえませんか?これ、カメコおばあちゃんの枝豆なんです」

「おねがいだにゃあ」

「あらぁ、カメコの作った枝豆なの?それじゃあ、歌わなくちゃね。ふふふ」

「カメコおばあちゃんを知ってるのかにゃ?」


 ネコさんは大きな目を不思議そうにぱちぱちと瞬かせました。

 ゾウさんは、ゆったりとしっぽを揺らすと、楽しそうに答えました。


「ええ、カメコとは旅の途中で会ったわ。もうずいぶん前ね。一緒に長い長い旅をして…楽しかったわね。

 カメコは、おいしいものが好きだから。自分で畑をはじめちゃったの。時々、旅の途中で寄らせてもらってるんだけど……あぁ、あのクマの子ね、あなた」

「覚えてたんだね!それじゃあ、ゾウさん、またお願いしてもいいかな?」

「ふふふ、いいわよ。それじゃあ、そのあとに歌ってあげましょう」


 クマさんが嬉しそうにゾウさんに近づきます。そして、ネコさんを前足でちょいちょいと、呼びました。


「ネコさんもおいで!ゾウさんのお鼻で持ち上げてもらうと、ものすごく高いんだ!」


 ネコさんは、ゾウさんを見上げました。


「……たしかに、とても高そうにゃ…!」


 高いところが大好きなネコさんは、ゾウさんの鼻で持ち上げられたらどうなるのかを想像して、ワクワクしました。


「ゾウさん!おねがいするにゃ!」

「ふふ、一緒にいらっしゃい」


 ネコさん、いってらっしゃい!!


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― 新着の感想 ―
[一言] カメコおばあちゃん、色んな人に名が知られている気がする。亀の甲……いや、年の功(*´ 艸`)
[良い点] わわわ、象さんなのです~!! すごい!!
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