ネコさんと市場
枝豆を荷車いっぱいに乗せました。
朝ごはんもいっぱい食べました。
ちょっとだけ木の下でおやすみをしたら、さあ、出発です!
「市場にいくよぉ〜」
「たのしみだにゃあ!」
「おちないように気をつけてね。よいしょっ」
ごとんっ
たくさんの枝豆といっしょに、カメコおばあちゃんとネコさんをのせた荷車をよいしょ、よいしょと声をだして、クマさんがガタゴトとひいていきます。
「今日の市場は、どこでやるの?」
「クマさんと前に行ったところだよぉ」
「湖に一番近い広場だね」
「いちばには、なにがあるんだにゃあ?」
ガタゴトと荷車の中からネコさんが聞きます。
「市場には何でもあるよぉ。作ったものを持っていって、ほかのものと交換するんだぁ〜。
そうだねぇ、今日はカゴがあるといいんだけどねぇ。ミョウガを入れるのに、あみ目の小さいカゴが欲しいねぇ〜。ちょっと壊れてきているからねぇ。クマさんは、なにが欲しいんだい?」
カメコおばあちゃんがのんびりと聞きます。
「日よけのぼうしが欲しいかなぁ。竹の葉っぱで作ったけれど、頭から落ちちゃうんだよね」
「そうかぁ。クマさんの水ようかんは、美味しいからねぇ。帽子と交換できるだろうねぇ〜。
ネコちゃんは、どうだい?お手伝いしてもらったから、枝豆をひとカゴあげるから、それで欲しいものを見つけてらっしゃいよぉ」
「わぁい!カメコおばあちゃん、ありがとうにゃあ!
そうだにゃあ…ぼうし、ほしいにゃあ」
「そうかい。それなら、枝豆と交換できそうだねぇ」
「にゃあ!うれしいにゃあ〜」
ほくほくとした顔のネコさんです。
さあ、市場には何があるのでしょうね?
ごとごと
ごとんっ
「市場に着いたよぉ〜」
「にゃにゃっ?!」
「ネコさん、ねむってたね」
「にゃははは〜」
クマさんの荷車をひく音に誘われて、眠っていたようです。気恥ずかしいネコさんは前足で顔を隠してしまいました。
しかし、そんな時間はありません!
「さあ、ネコちゃん、お店をひらくよぉ〜」
「カメコおばあちゃんの枝豆だよー!さっきとったばかりだよー!」
「おお、カメコおばあちゃんのか。これは欲しいな。このナスをひと山分で、どれくらいになる?」
「おやぁ、いいナスだねぇ〜。枝豆三束だねぇ」
「よし!頼むわ!」
荷車を停めた途端に、クマさんが大きな声でお客さんを呼びます!
カメコおばあちゃんも荷車から顔を出して、お客さんとお話をします!
「さぁ、ネコちゃん、そこのカゴから三束とって、渡してねぇ〜」
「にゃにゃにゃ!わかったにゃあ!」
ネコさんは、カメコおばあちゃんに言われた通りの数だけ、枝豆を出します。
代わりに受け取ったナスを荷車に乗せます。
「ふんにゃあっ!」
「ネコちゃん、枝豆をふた束ちょうだいなぁ」
「にゃあ!」
すると、すぐにカメコおばあちゃんから次の枝豆の催促です!
ネコさんは、言われた通りに枝豆を渡し、代わりにトウモロコシを受け取ります。
クマさんは、荷車のそばに立って、カメコおばあちゃんのお客さんを並ばせています。
「とりたての枝豆だよー!クマさんじるしの水ようかんもあるよー!」
「カメコおばあちゃん、枝豆四束と、クマさんの水ようかんを三つ」
「はいよぉ。おや、桃だねぇ。これは美味しそうだねぇ。うん、そうだねぇ、五個もらおうかねぇ〜。
ネコちゃん、枝豆よっつだよぉ〜」
「はいにゃあ!」
ネコさんは間違えないように枝豆を数えて、お客さんに渡します。
代わりに受け取った桃は、とてもよい香りです。
くんくんっ
「にゃあ〜、いい匂いだにゃあ〜」
ネコさんは、枝豆の代わりに荷車に乗せられるものをひとつひとつ丁寧に並べます。
ナスにトウモロコシに、桃、スイカ、ホオズキ。それから、ウサギさんが来て交換していったのは、素敵な刺し子模様の入った日よけの帽子です!
「おや、これはネコちゃんにぴったりじゃないかねぇ〜。気に入ったのなら、ネコちゃん分のカゴから枝豆を渡してなぁ〜」
「にゃあ!ウサギさんのつくった帽子、すてきだにゃあ〜」
真っ白な耳を嬉しそうに動かすウサギさん。
ネコさんも真っ白なネコなので、ウサギしんがかぶっている色違いの帽子をとても気に入りました。
ウサギさんの帽子は、薄いみどり色で、ネコさんが受け取った帽子は、水色の帽子です。もちろん、耳もちゃんと出せます!
「にゃあ〜、これでおでかけしても、あたまがあつくならないにゃあ〜」
ネコさんはうきうきと帽子をかぶって、カメコおばあちゃんのお手伝いを続けます。
ネコさん、よかったね!