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様々な家庭、家族

私が探し求めた温かい家庭は予想外の所にありました

作者: 山家

 一応は現代日本を舞台にしていて、法律や現実社会とは矛盾が無いように私の力の及ぶ限り調べましたが、間違った描写があったらすみません。


 それこそ夫婦が共同親権の日本社会で、父親が勝手に連れ去ったからと言って、子どもの行方が親権者の母親に分からなくなる等アリエナイ、警察が誘拐犯として乗り出すと叩かれそうですが。

 現実の日本社会では、父と母が逆転してはいますが多発しているそうです

「行ってきます」

「行ってらっしゃい」

 高校生になった私は、新しいお母さんに毎朝、そう言って登校している。

 本当にこの幸せが何時までも続けばいいな、と今の私は思う。


 私の最初の記憶は、実の両親が喧嘩する姿だ。

 というか、実の両親が仲良くしているのを見た記憶が私には無い。

 だから、幼い頃の私は、自分の知り合いが何人も、私の両親は仲良くしているよ、と言うのを聞いた時に、そんなことアリエナイと思った程だ。

 その時に私は願った。

 家族が仲良くしている温かい家庭を探して築き上げ、私はそこに住みたいものだと。

 でも現実はというと。


 とうとう私は父に連れられて家からこっそり逃げ出すことになった。

 私の実のお母さんは、私を探し求めたと後で言っているが、本当に探したのだろうか。

 だって、警察が私を尋ねてくることも無かったし、他の役所の人が尋ねてくることも無かった。

 私には意味が良く分からないけど、実のお母さんに言わせれば、お父さんが私を連れ出しているので、事件性が無いとして警察等は取り合ってくれず、市役所等もお父さんの味方をして住民票の閲覧等をさせてくれなかったので、私を探せなかったのだという。


 更に暫くして、私には新しいお母さんができました。

 お父さんが、私に新しいお母さんだ、と言って紹介してくれました。

 又、お父さんと新しいお母さんは仲が良く、新しいお母さんは私にも優しくて、温かい家庭って、こんな感じなんだ、探せて見つけられて良かった、と私は幸せを覚えました。

 でも、お父さんは重い病気に既に罹っていて、新しいお母さんを私に紹介してすぐに亡くなりました。

 そうしたら。


 実のお母さんが私の下に現れて、私を引き取ると言ってきました。

 でも。


 私は以前に両親が喧嘩していたあの家に帰りたくなかったので、

「嫌だ。今のお母さんと一緒にいる」

と抵抗しました。


 実のお母さんは、

「子どもは実の親と暮らすのが当然だ。それに私が親権者だ。黙って、私の言う通りにしなさい」

と頭ごなしに私を怒鳴りました。

「本当にあの人に似て、私の言うことを聞かない。悪いあの人の血が入っているせいだ」

 とまで私に言いました。

 何で私の父の悪口をこの人は私に面と向かって言うのか、仮にも自分が結婚した相手ではないか、と私は本当に哀しくなりました。

 すると。


 新しいお母さんが介入してくれて、お父さんの親に連絡を取り、更に児童相談所というところや警察、裁判所にまで働きかけてくれました。

 その結果、新しいお母さんが私の後見人となり、私と同居して暮らすことになりました。

 更にきちんとお父さんの遺産の半分を、新しいお母さんは私に確保してくれました。


 実のお母さんは、

「未成年のこの子は私の子だから、最後にはあの人の遺産はこの子のものになる。それに私はこの子の実の親だ。何であの人の遺産を全て私のものにしないのか。半分も遺産を貰いたいとは、実の子どものすることではない」

と周囲に訴えましたが。

「遺産分割は、妻が半分、子どもが半分が法律上当然です」

 と新しいお母さんは言い張ってくれて、更に。


「それなら土地建物を娘に相続させて、預貯金は全て貰う。遺産総額から言って妥当だ」

 と実のお母さんは言いましたが、

「その土地建物にはあなたが住まれるのでしょう。その土地建物の税金等はどうなるのです」

「当然、所有者である娘が全額負担。私は扶養の一環として、そこに無料で住ませてもらう」

「それは話がおかしいでしょう。それなら土地建物はあなたが相続し、預貯金をこちらが貰うのが公平な話になるのでは」

「それでは私の生活が困る。それなら土地建物を共有にして、預貯金を折半に」

「仲の悪い母子が土地建物を共有するのは、紛争が長引くだけです。それは呑めません」

 と新しいお母さんは、私の味方になってくれて頑張ってくれました。 


 後で聞いた話ですが、お父さんとお母さんは離婚の話をしている真っ最中だったそうです。

 私には細かい話は分かりませんが、お父さんは遺言状で、お母さんを相続人から廃除していたとか。

 更に自分が亡くなった後の私の後見人として、新しいお母さんを指名していたとか。

 結局、裁判所で私の実のお母さんを相続人から廃除することは認められませんでしたが、実のお母さんの親権喪失、新しいお母さんの後見人就任は認められて、新しいお母さんは私の後見人として奮闘してくれたのです。


 最終的に土地建物全てを売り払い、その売却代金や預貯金等を折半することで、私のお父さんの遺産分割は成立しましたが。

 私の実のお母さんは、

「夫の愛人が娘とグルになって、夫の遺産の半分を奪って、私を家から追い出した」

 とそれこそ私の周囲の人にまで言い触らし、私を本当に苦しめました。

 それで。


 私と新しいお母さんは、新天地に引っ越してそこで暮らすことにしました。

 お父さんの親族と新しいお母さんも仲良しです。

 私の探し求めた温かい家庭は、本当に思わぬところにありました。

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