涙 色 の 空
2004年の春に書いたもの。
当時作品作りにかなり間が空いていて、なんでも良いからとにかく書こう。
という謎の使命感で書いた作品でした。
君はただ
窓の外を眺めている
時折作られる
辛そうな悲しそうな表情
化粧で隠しても解る
薄っすらと赤い目元
何も言わず
ただ静かに
たたずむ君
僕は何か言おうと口を開き
そして何も言えず閉じる
その繰り返し
君は何も言ってはくれない
けれど僕は聞かなければいけない
そして謝らなければならない
僕に原因があるのなら
それをきちんと詫びなければならない
それなのに
いまだ訊けずにいる臆病な僕
怖いんだ
僕に責任があったとき
君は許してくれるだろうか
もし許されなかったとき
僕はどうすればいいのか
訊きたいのに
何も言えず
ただ沈黙が部屋を支配して
不意に
君の横顔がいっそう苦しげに歪んだ
僕は溜まらず
声を掛けようとして
でも
やはり掛けるべき言葉は出ず
君は・・・
「はっくしゅん!」
「花粉症?」
「この時季他にないでしょう?」
顔を背けながら、僕が差し出したティッシュで鼻をかむ君。
丸めたティッシュを屑篭に投げつけて、目元を乱暴に擦った。
「あまり擦ると良くないよ?」
「だって痒いんだもん!」
外れて落ちたティッシュを屑篭に入れ直しながら言えば、不機嫌そうに言い返し、またティッシュに手を伸ばしてはごしごしと目を擦る。
「目薬買って来るよ。」
言って、返事も待たずに外へ出かけた。
何も言わない君と
早とちりな僕
これはこれで
上手くやって行ける気がした
春はまだ来たばかり
~fin
多分ですが、書いた当時は叙述トリックにあこがれてたんだと思います。
全然できてないけど。
当時のあとがきもどき↓
悩んでるときに、花粉症で苦しむ友人を見て思いついたもの。
失恋物と見せかけたギャグ(の失敗)。
友人は引っかかってくれたけど、察しが良い人は初めのほうですぐばれると思う。