告白
月曜日、僕はいつも通りの時間に起き、顔を洗い、歯を磨き、制服に着替え、リビングに向かう。
リビングのダイニングテーブルには既に、朝食が置かれていた。
僕は、いつも通りの食べ進め方で食べ進める。
朝食を食べ終えるとは少し早めではあるが、家を出て駅に向かう。
昨日しの子に言われた言葉が頭から離れない。きっと、僕はしの子に言われた通り、桜哉が死んだ事実にすがっているだけなんだろう。
駅に着くと、僕の目の前にはしの子がいた。しの子に挨拶をしようか迷ったが、しなかった。
電車に乗った後も僕としの子は何も喋らなかった。
ふと、携帯の真っ黒な画面で僕の顔を見た。そこには、桜哉の振りをした僕が映っていた。
電車から降りた後も、学校に着いてからも、僕としの子は何も喋らなかった。
しの子に声を掛けようと思ったが、結局掛けられなかった。
放課後、僕は携帯で、しの子に「校門で待ってて欲しい」と一通のメールを送った。
しかし、僕が校門に着いた時しの子はいなかった。
きっと、僕が今だに桜哉の振りをしているのが許せないんだろう。
そんな事を勝手に思いながら、駅へ向かって歩き出そうとした時、
「待って!!」と、後方からしの子の声がした。僕は、声がした方を向くと案の定、そこにはしの子がいた。少し走ったのだろうか、それとも焦ったのだろうか、少し頬が赤くなっていた。
僕は、しの子が来るまでその場で立っていた。
しの子は僕の元に来ると、「それじゃぁ、行こうか」と、いつも通りの優しい表情を僕に向けてくれた。僕は、「うん」と小さく言った。
駅に向かう途中で、僕は今日言おうとしていた事を言おうかどうしようか、少し迷った。しかし、今言わなければきっと後悔すると思い、僕は少しづつ口を開き、
「しの子…。僕は、しの子の言った通り桜哉が死んだ事実にすがっているだけだ。だけど、しの子を悲しませたく無いと思っているのは本当だ。だから…、その…。今は、桜哉の振りをしていなきゃ、生きていけないけど、君が好きだと言う気持ちは本物だ。だから、僕と付き合って欲しい」と、僕は、何時に無く長い言葉をしの子に向かって喋った。その間、しの子は何も喋らず聞いていた。
しの子は、少し考えた後、
「うん。君が私を好きだって事は知っていたよ」とだけ言った。その言葉が何を言っているのか、大体見当はついた。僕は1人赤恥をかかされたんだ。そう思った。しかし、
「もし、さっきの告白が君自身から出た本当の言葉だとしたら、私は君と付き合うよ」と、しの子は承諾とも拒否ともとれる返事をした。
僕は、「勿論、僕自身からの本当の言葉だ」と、少し大き目な声で言った。
しの子は、僕の返事を聞いた後、少し笑い、「うん。ならいいよ」と、優しい笑を僕に向けて返事をしてくれた。
この時の僕は、しの子から承諾の返事を受けた事で舞い上がっていた。
もうすぐ、この関係が終わると言う事を互いに知らず。