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君と最後に選ぶ言葉  作者: 廣田
恋愛ごっこ
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本当の気持ち

学校の授業が終わった。今日は少し、教室の雰囲気が少しいつもと違った様な気がした。それもそうか。今までの僕とは雰囲気が違うのだから。

僕より、先に支度を終えたしの子が先に教室から出ていった。大体見当は付く。

しの子がいる場所は、いつも放課後桜哉との待ち合わせ場所だろう。

僕は、さっさと支度を終え、しの子がいるであろう場所へ向かう。しかし、──そこにはしの子はいなかった。

何処にいるのか少し、探そうと思い校舎裏の方まで歩いて行ってみると、しの子と他クラスの男子生徒が何か話している声が聞こえてきた。

どうやら、告白の様だ。しの子は断っている様だが、随分とねちっこい男の様だ。

いつまでも、しの子を離そうとせずモジモジしている。

しの子を迎えに行こうと思ったが、またしの子を傷付けてしまうのでは無いかと思うと行く気が少し失せたが、きっと桜哉ならしの子を迎えに行くだろうと思ったので、声が聞こえてくる方に向かって歩き出した。僕が、少し近づくと男子生徒はすぐに気づきしの子の元から走って逃げていった。

「ありがとう。それから、ごめん…」

しの子は少し嬉しそうに、そして少し申し訳なさそうに言った。

僕は少し口角を上げ笑顔を作り「いいよ」とだけ言った。すると、しの子は少しだけ俯いていた顔を上げ、もう一度「ありがとう」と、言った。

その後は普通に何事も無かったかのように歩きながら、駅へ向かった。

駅に着いた時、しの子が「日曜日って空いてる」と聞いてきたので、僕は携帯でカレンダーを見て予定が無いか確認した後、「空いてるよ」と、笑顔で言った。

勿論、この動作も桜哉がよくやっていた動作だ。僕は、やる理由は無いのだがこういった所も、桜哉によせなければ偽物だと思われてしまうから。

僕の返答を聞くとしの子は少し嬉しそうに笑い、「それじゃぁ、日曜日の10時に駅集合で大丈夫かな」と言った。

「うん。大丈夫だよ」と、僕は先程と同じ口調で言った。

そんなやり取りをしている間にも電車が来た。僕としの子は、降りる客が降り切ったであろう頃に乗り、扉のすぐ側の座席に座った。

電車の中でも普段通りの会話をし、電車に揺られていた。

電車の中でのしの子の表情はいつも通りの表情に戻っていたので、少し安心した。

あの時、もう少し早くしの子を迎えに行けばよかったのだろうかと、ほんの少しの後悔はあるが、仕方なかったんだ。と、自分自身に言い聞かせる事にした。

しの子の表情を曇らせ無いと、自分があの日決めたのだから。

もう二度と、しの子を傷付けない。

「どうしたの?そんなじっと見て」と、しの子に言われ、僕はハッと我に返った。

「なんでもないよ」と、僕は至って平静を装い、しの子に言った。

「あっそ。ならいいんだけど」と、しの子が少し笑いながら言った。

「あっ。日曜日の事忘れたらダメだからね」と、電車が駅に着いた時にしの子が突然言い、僕より少し先に電車から降りた。

僕は慌てて、しの子を追いかける様にして電車から降りた。が、しの子は僕の方を見ずに、「それじゃぁね。バイハイ」と言って先に歩いていってしまった。

僕は何故しの子があんな態度をとったのか、理解出来ず数秒間駅のホームに立ち尽くした後、家に帰った。


この時の僕はまだ気付いていなかったんだ…。しの子の本当の気持ちに…。

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