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某月某日、天気は雨。
この日、小柳津の葬儀が行われた。
僕は、葬儀には参列したくは無かったが、参列しなければ彼に失礼だと思った。いや、彼の家族に失礼だと思ったから参列した。
葬儀には、家族は勿論クラスメイトの殆どが来ていた。
この日、僕は小柳津には妹がいると言う事を初めて知った。
一通りの葬儀が終わった時、彼の母親が僕の所に来て
「短い間だったけど、息子と仲良くしてくれてありがとうございました」
と、突然頭を下げてきた。僕は突然過ぎたので、慌てながら
「そんな。やめてください。むしろ感謝するのは僕の方です」と、言った。
こういった空気が僕は苦手なので、一言断りを入れて、御手洗に向かった。と、突然後方から
「待ってよ!」と、声がしたので僕は振り返った。するとそこには小柳津の妹が立っていた。僕が、「何か用かな」と聞くと、少女は少し怒りを込めた様な声音で
「勘違いしないで!お兄は交通事故で亡くなったんだから。あんたのせいじゃない!」と、言った。僕は一瞬ドキリとした。目の前の少女には僕の心が見えているのではないか、そう思ってしまった。
「でも、あんたの事は許さない。いつか絶対殺す」と、少女は語気を強めて僕の方を睨みながらそう言った。
僕は、反論する事も出来なかった。
少女が言っている事は全て正しいから。
「なら、何時でも殺しにおいで」と、僕は笑顔で少女に言った。
今なら、この子に殺されても構わない、そう思ってしまった。
すると少女は、少し僕から視線を外し
「でも、殺し方何て知らないし…」と、言ってきた。
僕は、少女の頭に手を乗せ笑顔で
「殺し方なら僕が教えるから、君が好きな殺し方で僕を好きな様に殺せばいいさ」と、言った。
そんなやり取りを終えた後、僕は火葬場に行き小柳津の死体を入れた棺桶が納棺されるのを見届けた。
──。翌日から僕の何でも無いつまらない日常がまたスタートした。
学校に行く途中の電車の中も、学校に着いてからもただただ暇でつまらなかった。
学校が終われば僕はすぐに仕事に向かう。
しかし、今日は駅近くのコンビニに向かった。そこには、○○第二中学校の制服を着た小柳津の妹がいた。
「お待たせ」と、僕は小柳津の妹に声を掛けると、彼女は少し怪訝そうな表情で、
「今日は何処に行くんですか」と、聞いてきた。
「今日は最近話題の殺人鬼の元だよ」と言い、「だけど、その前に君の名前を聞いておこう」と言うと、小柳津の妹は更に表情を曇らせながら
「小柳津晴です」と言った。
「それじゃ晴ちゃん、行こうか」と僕は言い目的の殺人鬼が来ると思われる場所に、僕と晴は歩き出した。
この日から僕は、小柳津 晴に人の殺し方を教える事となる。
今までとは違う日常が始まった。