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君と最後に選ぶ言葉  作者: 廣田
恋愛ごっこ
16/26

4

翌日学校に行く途中の電車の中で、小柳津と会った。互いにおはようと挨拶をして何気無い会話をしながら、学校に向かった。

「そう言えば、お前ってあんまり話さないな。何かあるの」と、突然聞いてきた。

「特に話す理由も無いからかな?」と、少し苦笑いをしながら僕が言うと、小柳津は「ふぅん」と、つまらなさそうな返事をした。

「それにしても、何で急にそんな事聞くんだ」と、僕が聞くと

「いや、お前があんまり他の奴らと喋ってる所見た事無いから」と、言ってきた。

「まだ、慣れてないからあんまり話し掛けて来ないだけじゃない」と、僕が返すと

「でも、昨日は随分と人気者だった癖に!」と言って来た。

僕はどう返したら良いのか分からなかったので、苦笑いをして返す事にした。

そんな事をしている内に電車は学校の最寄り駅に着いた。

僕は小柳津に続いて、電車から降りると学校へ向かった。


学校へ着いてからも、僕は小柳津と一緒に教室に入った。

僕は、自分の席に着くと、いつも通りの手順で準備をした。その後、小柳津に話し掛けようと思ったが、少し気が引けて、話し掛けられなかった。

ふと、窓を見ると窓の外にはビル群があり、空は殆ど見る事が出来なかった。

狭い空とビル群、自然と無機物、相反する物が混合している事を改めて実感する。


僕にとって、しの子が居ない日常が当たり前になってしまう様な気がした。


1日の授業が終わり、帰りのHRも終わると、僕は帰り支度を手早く終わらせた。

「今日も、放課後空いてる?」と、小柳津が帰り支度をしながら聞いてきたので、

「空いてるけど」と返すと

「そんじゃ、今日は駅前の本屋行かね?」と、聞いてきたので僕は

「何か欲しい本でもあるのか」と、聞くと

「今日、ワン〇ースの発売日なんだよなぁ」と、独り言の様に言った。

小柳津はその一言を言い終えると、教室を出ようと扉に向かったので、僕は小柳津の後ろを追いかける様にしてついて行った。


僕と小柳津は駅前の本屋に着くと、それぞれ見たいコーナーへ向かった。

小柳津は先程も言った通り、漫画のコーナーを見ていた。

僕は特に欲しい本がある訳でも無かったが、何となく小説のコーナーを眺めていた。

目当ての漫画を買い終えた小柳津が僕の所に来て、

「四乃宮も何か買うのか?」

と聞いてきた。僕は、「特に買わないよ」と、返すと「あっそ」と返された。

僕と小柳津は駅に向かい歩き出した。

駅に向かう途中も何気無い会話をした。

駅の改札を通り、電車を待っていると

「何かいつも連れ回して悪いな」と、突然小柳津が少し声を潜めて言ってきた。

僕は突然の発言に理解出来なかったが、

「そんな事無いよ。むしろ、僕の方が感謝すべきだよ」と、苦笑いをしながら返した。すると、いつも通りの口調で

「まっ。お前がそう言うならいっかー」と、言っきた。

僕はこの発言を聞いた時、初めて友達と言う存在が出来た様な気がした。それと同時に、少し嬉しかった。

何でそんな証拠も確証も無い事に嬉しさを覚えたのかは分からないが、この時僕は改めて、この世に存在しているんだと思えた。


そう、この時までは…。

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