表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
君と最後に選ぶ言葉  作者: 廣田
恋愛ごっこ
15/26

3

数週間後、合格通知が届いた。

それから、入学に必要な書類を書いたり、学用品の購入等入学に必要な準備をした。


それから数日後、僕は××××高校の生徒として通う事になった。

僕は10クラスある内の1組に入った。


教室に入ると、簡単に自己紹介をし、担任から指定された席に着いた。そのままHRを開始した。

HRが終わると、僕の前の席に座っていた奴が僕の方を向き

「これからよろしくな〜四乃宮。俺の事は小柳津でいいよ」と話し掛けて来た。

「こちらこそ、よろしく」と、笑顔で返した。すると、「今日、放課後空いてる?」

と、聞いてきた。僕は、「空いてるけど」と、答えた。その後は特に話し掛けて来なかった。

小柳津と、話終えると、〇〇会社の社長の息子や△△××会社の御令嬢、政治家の息子、娘その他諸々…。色々な人達が話し掛けて来た。とは言え、話し掛けて来る内容はどれも同じで、所謂自己紹介的な事ばかりだった。正直言って、それら全てに笑顔で返すのは面倒臭かったが、第一印象を悪くする訳にもいかないので結局笑顔で対応した。


休み時間になる度に、クラスの男子や女子が話し掛けて来るので正直言って鬱陶しかった。まるで、機会仕掛けの様に全員似た様な顔で、似た様な事ばかり話し掛けて来る。

しかし、小柳津だけは今朝話し掛けて来ただけで、その後は特に話し掛けて来なかった。


放課後になると、僕は小柳津に

「今日、何処か行くのか」と聞くと、「ゲーセン行くだけだけど」と返した。

「ゲーセン行くだけなら、最初から言えよ」と、僕が少し不服そうに言うと小柳津は

「ごめんて」と、少しも悪びれずに謝った。


学校からかなり離れた場所にあるゲーセンに着くと、クレーンゲームのコーナーに向かった。

すると、ある1台の前で止まり、

「今日こそ取ってやるからな」と、少し意気込んだ風に言うと、財布から500円玉を取り出しゲーム機の投入口に入れ、景品を取ろうと、プレイし始めた。

僕は、興味が無かったので彼がやっているのを後ろで眺めていた。

数十分間、やり続けても取れなかったのか突然、

「四乃宮、お前クレーンゲーム得意か」と聞いてきた。

「やった事無いから、得意かどうかは分からない」と返すと

「分かった。ならお願いします。あのにわとりちゃんクッションを取って下さい」と、物凄い勢いで言って来た。

僕は、訳が分からず「はぁ。何言ってんだよ」と、返したが試しにやってみるのも悪くないと思ったので「分かった。だけど1回だけだからな」と言って財布から100円玉を取り出し、投入口に入れた。

僕は、慣れない手付きでアームを動かし、クッションを掴んだ。クッションを掴んだアームはそのまま動き、取り出し口の上の穴にクッションを落とした。

クッションを取り出し口から取り出し、小柳津に渡すと、「何だよ!1発で出来たじゃねーか!」と、喜んで言いながら僕の背中を思いっきり叩いた。

「さっきのは、まぐれだよ」と、僕が背中をさすりながら言った。

目当ての物を手に入れたのか、そのまま他のゲームには目もくれずゲーセンを出た。駅に向かう途中、何で僕を誘ったのか聞いてみると、何となくと返された。

と、突然「まぁ、強いて言うなら他の奴らと雰囲気が違ったから」とだけ言われたので僕は「何だよそれ」と、少し笑いながら言った。


小柳津は僕が降りる駅の2駅前で降りた。

正直、よく分からない奴だったが、久しぶりに楽しい時間を過ごせたので、彼には感謝している。

そんな事を思いながら、僕は家に帰った。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ