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未来。

《つまり、世界というのは悪なのである。 いかに善人が過半数を占めようとも。世の中の人間が皆スーパーヒーローだったとしても。だからこそ私は立ち向かわなければならないのだ。世界という悪に。何だか厨二チックな文章である。けれどもこれは妄想などではなかった。》




from:???

to:saika

時は三千年。君たちがいる世界とは打って変わって機械であふれた世界だ。え?そんなのこっちも同じだって?確かに君たちの世界も中々にして機械化が進んで居ろう。だが、私たちの世界は機械は生き物として扱われているのだ。ふざけた話である。けれどもこちらの世界ではそれが常識なのだ。では本題に入ろう。この度君は、こちらの世界を救う勇者に任命された。え?何を言ってるんだって?まぁ見ていなさい。百聞は一見に如かずって事だ。ではまた会おう。



悪戯だろうか。まぁ、悪戯だろう。と信じたいのに、後ろにいる奴のせいでそれができない。

「さて、未来に行く気にはなれたかね?」

んなわけあるか。まさかこれも夢なのだろうか。いやに記憶にあるシチュエーションだ。

「そもそも、何で俺なんだ。」

「分からないか?」

分かるわけないだろ。

「私の勘だよ。」

呆れた。俺に何か特別な力があるなどという理由ならばコイツの言い分も少しは聞いてやった可能性はあった。それが欺瞞だとしてもだ。しかしコイツは何と言った。勘?ふざけているにも程がある。

「そもそも、唐突過ぎやしないか?」

「それを配慮して態々メールを送ったのに君が読まないからであろう。後、このくだりはもう二回目だぞ少年。」

知っている。だからこそせめてもの時間稼ぎとしてうまく言いくるめようとしたんだ。

「言っておくが、どれだけ時間を稼いだ所で、行先は未来なのだから意味はないぞ。終わりも無いし始まりも無い。」

何故未来なんだ。そこは、あなたはこれから異世界に行って魔王を倒すんです~☆だろ。

「安心しろ少年、未来も異世界も変わらんよ。」

「なぁ、あんた、俺の考えてることがわかるのか?」

「神だからな。」

「神だからだ。」

えっと、、

「其れはすごいですね!」

「馬鹿にしているのかね?」

当たり前だ。いきなり目の前で神を自称されたら小馬鹿にするのが妥当だからな。

「そんな妥当などない。」

「あんた名前は?」

「急に話のベクトルを変えるな。そうだな、私の名前はヘルメスだ。」

聞いたことのある名前だ。ヘルメス、、、、。あっ。

「気づいたようだな。そう、私は錬金術の祖とも呼ばれるあのヘルメスだ。」

でもヘルメスは男だったような?

「伝承によればな。けれどもそれは人々が抱いた理想、はたまた幻想の話だ。私は男を名乗ったつもりなど無い。」

なるほどわからんというかわかる気などない。

「して、本題に戻るが、結局どうするのだね。ここまで言っても行かぬというのであれば私は引こう。勿論記憶も消させてもらうけれど。この決断は君が下したまえ。」

「あんたも結構話のベクトル変えすぎですよ。それに。何度も言ったけど、俺は未来に何か行く気なんかない。」

「きみ、、ま、、、ど、、らんな。」

「ん?何か言いました?」

「いや。何でもない。では記憶を消させてもらうよ。その間、過去や未来、そして君の前世の記憶が少しばかり見えてしまうかもしれないが、気にしないでくれ。その記憶すらも消えるから。」

おい、何最後の最後に呪うように怖いこと言ってくれてんだよ、、、、、、、、、、、、、、、、、。



―これが地獄というやつか、、、、いや、そんな生ぬるいものではないだろう。焼野原、人の死体。

崩れ行くビル。まるで世界の終りのようだ。そんな中、嘶くように叫びながら。一人の少年が佇んでいた。

「君は誰だ。」

「あああああああああああああああああああ!!!!!!!!!」

「なぜ叫んでいる?」

「、、、、、、、、、、。」

こちらの声が聞こえていないのだろうか。

「あんたは、誰だ?」

「聞こえているのか。」

「いや、明確に聞こえているわけじゃないけど。確かに、あんたは俺に話しかけている。」

「なぜ叫んでいた。」

「怖いんだ。もうこの世界には誰もいない。それがひどく怖いんだ。」

「何があったんだ?」

「分からない。けど、多分これは俺が巻き起こした終末だ。」

そう言って少年は何処かへ走っていった。関係なんてない。それは分かっているのに、彼の姿はどこか、俺に似ている気がした-


「以上だ。ではな。」

この人は、、誰だ?

「俺は一体、、、」

「私は君に助けられたのだよ。事故でね。助かった。私はもう大丈」

「でも、あんたはどこも怪我をしていない。」

「事故と言っても、ただの貧血だ。」

「、、、。俺は外出していないはずだ。」

この人は多分、嘘をついている。俺に記憶がない訳も知っている。

「あまり詮索をするな。これは他でもない、君自身の為に言っている事だ。」

あぁ、きっと何か苦しいものに襲われたんだろう。自分の顔を見なくても分かる。

「では私は行くよ。」

「あぁ、気を付けるんだぞ。」

うっすらと、先程の彼の顔が浮かんだ。声を荒らげて、自らを責めていたあの男の顔が。なぜ彼の姿を俺に充ててしまったのかすら分からない。けれどやはりあれは俺だ

「待て。」

彼女に声をかける

「何だね?」

コイツなら、多分知っている。聞かなくとも分かる。

「お前、、何か知っているんだろ。」

彼女はしばらく沈黙し、やがて口を開いた。

「あぁ。知っているとも。」

やっぱり、、、。

「あれは、、誰なんだ。」

知りたくない。心の何処かで、そう思う。

「本当に知りたいのか?君はまるで知りたくないような顔をしているが。」

「微睡んでるだけだ。むしろ聞きたくてたまらない。さぁ話せ。」

きっと強がっているだけだ。だってもう答えは知っているのだから。

「ふむ。あれは貴様だ。ただし、未来でも過去でもない。今の貴様だ。」

予想外の答えだ。

「俺は未来を見ていたんじゃないのか?」

「馬鹿を言え。人間は自分の未来を映し出すことはできない。」

「でも、、。」

「無理もあるまい。あれは別の世界線の貴様なのだからな。」

は?

「私は貴様に未来を救って欲しいと頼んだ。貴様は断ったんだ。けれど、あちらの貴様はそれを承諾し、ただ1人戦っている。」

「でも、、、姿は俺と違ったぞ。」

俺より少し老けていたか

「そうだな。あれは今の貴様だが、身体自体はもう20年ほど貴様より老いている。あとはそうだな、、、絶望の重複かもしれない。あちらの貴様はもう何度も失っているからな。」

ズキンと、、心臓に痛みが響いた。

「なぁ、、。あっちの俺が死んだら、俺も死ぬのか?」

「あちらとこちらでは直接的な干渉はない。だが、魂だけは繋がっている。」

「なら、、」

「安心しろ。貴様が死のうが奴が死のうが魂が現在していればもう片方が消えるといった事は無い。ただ、、、」

彼女は沈黙する。

「何だよ、、?」

「いや、、数分前の、今あっちにいる貴様と違って。お前は()()()()()。」

!?

「何でだよ、、、。」

「くだらないんだよ。」

巫山戯るな。勝手な都合を押し付けて、逃げる事の何処がくだらねぇんだ。

「てめぇの都合を押し付けるんじゃねぇ。」

俺は悪い事なんかしてねぇだろ。彼奴が俺だろうと誰だろうと、俺はここにいて、この在り方で生きている。

「未来が変わろうが、俺には関係の無い事だ。その要因を俺に押し付けて、弱いだなんて罵る暇があったら別の奴を散策しろ。」

間違った事なんか言っていない。だが、今の俺は凄く惨めに見える。だが、それでも、、、、。

「もう一度だけ問う。未来を救う気はあるか?これは、君にしか出来ない事なんだ。」

嫌だ。そう答えようとした口を噤む。

確かに俺は弱いのかも知れない。うっすらと、目が覚める前の記憶が蘇る。

断ったのか、、、。

行かなくたって俺の人生に影響なんか無い。

だが、もし彼奴が俺なのなら、、。彼奴が言っていた事が事実なのだとしたら。

俺が世界を壊すのか、、、。

行かなければならない道理はない。ならば行くしかない。俺が巻き起こすなら、止められるのは俺だけだ。

「、、てやるよ」

「なんだて?」

「行ってやるよ。馬鹿野郎。」

前を見据える。逃げたりなんて出来ないからな。

「ふっ、流石だな。」

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