プロローグ
今にも崩れそうな石積みで出来た遺跡を全力疾走して俺たちは出口に向かって走ってる。
出口まで一本道なのだがまだ少し距離がある。
息切れしかかっていてもそれでも走る。走りを止めてしまったらそれこそ終りなのだから。
後ろからはここの遺跡を守ってるのであろうゴーレム?というより俺の国にあったハニワ
みたいな連中あ俺たちを追いかけてくる。
「ちょっと!!どうなっているのよぉ!?こんな仕掛けあるんなんて聞いてないわよぉ!」
俺と一緒に逃げている白く美しい少女が必死になりながら訴えてくる。折角の綺麗な顔が台無しだ。
「仕方がないだろぉ!?いくらモンスターと話せると言っても!モンスター達が遺跡の仕掛けがあるなんて
知るわけないだろぉ!」
遺跡がどんどん崩れ始めている。実はここは空中に浮いている遺跡。浮遊遺跡。このままでは生き埋めになるし、その後は
空に落ちてしまう。
「それに!俺が仕掛け解く前に!爆発させて扉開けた方が早いと言って爆発させたのはマスターだろ!?」
今回は俺は悪くないので反論する。
「う、うるさい!だってそれの方が早くて効率がいいじゃない!それにほら目当てのお宝だって手に入ったんだしィ!」
そう言いながら今回のトレジャーギルドとして狙っていたお宝、オークの黄金仮面を走りながら見せてくる。
「ああ、そうですね!でもですねぇ!マスター様の効率的な行動のおかげで遺跡は崩れ始め挙句の果てにはゴーレムに
追われているのですよぉ!」
お互い責任の擦り付け合いをしながらも意外にゴーレムの足が速く追い付かれそうになる。
「ヤベェ!追い付かれちまうぞぉ!マスターいつもの火炎魔法でやっちまえよぉ!」
「やりたいのは山々よぉ!この崩れ始めている遺跡で私の魔法使ったらお宝と一緒に生き埋めになってしまうじゃない!」
「…マスター因みに今の感じの経験どれ程経験されてます?」
「ハハハ…数え切れない…」
この美少女、3年前は魔王を倒した勇者パーティー4人のうちの一人で現在、冒険者最強の魔法使い。
見た目は白く雪のように透明感ある肌と髪で服装白い、しかしそれに反して性格は激しく欲しい物
は絶対に手に入れるといった野心家みたいと俺は思っている。
それにさらに魔法は殆ど火炎系の魔法しか使えないのだ。
まあ、それでも魔法使い最強の名は伊達ではなく以前、一人で魔物の軍団魔軍の一師団を一人で一時間で壊滅したりと
桁違いの破壊力と制圧力はすげえあるんだけど、何故かお宝が眠っている遺跡にお約束な巧妙な罠や仕掛け扉を爆発して
解除しようとするトレジャーハンターとしては最低だ。
「そういえばぁ!後ろのゴーレム達何か言ってるんだけど分かる?なんか私に対して凄い目で見てくるんだけどぉ!」
「ああ、あれか…えーとな…ゴホン」
ここで俺が異世界に来て、左手に刻まれたコードの力が発揮する。
この世界の住人には左手にコードが刻まれていて、その人の生き方を示している。
村人と刻まれているなら村人として生きて冒険者と刻まれているなら冒険者となる。
俺のコードは結構特殊で調停者と刻まれている。どんな役目とか生き方とか分からないけど今の所はモンスターと会話出来ることや
ちょっとした文字を読めたり出来たりという事だ。
「ハニワハニワハニワ。あの白い女の胸は小せぇがいい尻してやがるぜぇ!ググヘェ!久々の女だぜぇ!前のアナと後ろのアナをぽっかり
開いて閉じれないようにしてやるぜぇ!」
ここは昔オークの王様の為に作ったとは聞いていがどうやらこのゴーレムもといこのハニワ達にはオークの魂が入っているらしい。
「な、なんでぇ!?あんたまでぇ!すぅぅぅごっくぅぅぅ厭らしい目で見てくるのぉ!」
「イヤイヤイヤ、俺はにあいつらの言っている事を通訳したわけであいつ等と同じように視姦…じゃなくて同じ目線で見ながら正確に伝えた方が
いだろ?でも俺もマスターの尻はぷりっととしていいなぁとは思っていたぜ」
「私、ここで穢されるくらいならここで大魔法使って周辺滅相して死んだ方がいいと思っている。そこら辺理解してね?」
虚ろな目でただ上を見上げ俺の上司は言葉を出す。
「わ、分かったからちょ、ちょっと待ってくれよぉ!」
俺は心で別の仲間を呼びかける。
(今めちゃくちゃ遺跡が崩れ始めていると思うだけどそっちどう見える?)
「あ、ご主人!えーとねぇ…凄く崩れ始めているよぉー今ご主人どこにいるの?」
「今逃げてるんだよ!もう少しで出口周辺に待機していてくれ。爆発した所が目印だからぁ!」
「分かりましたよぉーじゃあー待っているねー」
出口までもう少しなのだが遺跡は崩れ始め、どんどん足場も悪くなっている。更に後ろからはハニワオーク達に迫ってくるし、
隣の上司は自暴自棄になっている。
「マスター!ゴーレムにファイヤーボールでもエクスプロージョンでなんでももいいからぁ!ブチまけてくぇ!」
「いいのねぇ!?いいのねぇ!?ブチまけていいのぇ!?」
マズターの両手から炎が生まれそれを重ねる用に手を合わせ、右手に炎を移していく。それは大きな火の玉となって
ゴーレム達に放たれる。
ゴーレム達は俺たちを追いかける様に固まっていたお陰でボーリングの様に大人の人間サイのズ火の玉一撃で木端微塵となる。
そして狭い一本道、逃げ場のない爆風が俺達に迫ってくる。
俺は持っていた盾とっさに構えて爆風に備える。
「マスター後ろに!」
「ええ!」
マスターが背中に抱き着きそのまま向かってきた爆風に吹き飛ばせる。
熱風ととに大きな衝撃が身体全体を襲う。
その衝撃に流されるまま俺達は出口の外まで飛ばされる。
その後、俺たちは空にいた。
遺跡の入口周辺はもう足場は亡くなっていてそのままもう地上に向かって落ちていく。
「うおおおおおおおおお」
しかし、直ぐに肩に衝撃が掛かる。上を見かげるともう一人…もう一匹と仲間が居た。
(ご主人ー待ってたよぉ。危なかったねー)
もう一人…もう一匹の仲間 青白く綺麗な鱗そして頭部には少し荒々しい立派な角が二本、しかし大きさ俺達よりちょっと大きいくらいの
子供の精霊龍。シミスだ。
(ご主人ー待ってたよぉ。危なかったねぇー)
シミスの両足の爪が空中で落ちている俺とマスターを拾ってくれた。
シミスは俺がモンスターと会話できるようになって初めてできた仲間だ。
「ありがとうシミス助かったよ」
「私からもありがとうと伝えて」
さっきまでのいた空中遺跡に目を向ける。
今でもう跡形もなく崩れており最初に見たときに比べてら大きさは1/4になっていた。
「マスター…俺もうマスターとトレジャーハンティングしたくない」
「はぁ!?何言ってるのよぉ!私の相棒としてこれからもやってもらうわよぉ!」
「だってマスター魔法使いとしては確かにレジェンダリーコードだし強いのは分かるんだけど…トレジャーハンターとしてはランクFの駄目駄目じゃん…」
「う、うるさいわね!人が気にしていることを!!」
遺跡を探検し、情報を集めまた眠っているお宝を手に入れる事を役目としている。
トレジャーギルド 黄昏の探検者のギルドマスター、ティファ・ユージュ。
彼女は、冒険者から発展したレジェンダリーコード 紅蓮の宝石と刻まれている。
俺みたいにモンスターと話せるわけじゃないし、何が出来るのが分からないけど髪が雪のように輝いてるしルックスだって十分いい
マスターが火炎魔法使うと銀髪がルビーのように輝く印象がある。
それに比べて性格は結構激しいし、強いには強いけど遺跡探索する時結構ドジする。
それのせいかマスターのコードには小さくトレジャーハンター Fランクと書いてある。
「それに!その盾だって私が譲ってあげんだからしばらくは私と一緒に行動してもらうわよぉ」
確かにこの盾はマスターと俺が初めて一緒に遺跡探索している時に偶然見つかったレジェンドクラスの盾。
精霊龍の盾。さっきの爆破もこの盾のお陰で無事だったようなものだ。
「え?じゃあー返すよマスター」
「ねぇ…私貴方の働いているギルドのマスター…私の命令絶対…プラス…あんた…この子の食費だって凄いのよ?」
「ご主人ーお肉マシマシがいいー」
俺達を両足で持ち上げながらシミスは可愛い声鳴く。こないだ特別にお肉マシマシをあげたら味を覚えちゃったらしい。
「た、食べ盛りだしな…まあ、食いしん坊なのはいい事だし…」
少し野菜食べてくれるのも覚えてほしいだけどなー。でもシミスは俺にとって大切な仲間というより家族だ。
「分かったよぉ。でも良い物沢山食べさせてくれ」
「うんあんたのそうゆうとこ好きよ!」
俺の気持ちを察したのか、マスターは力強く笑顔を向ける。静寂な美しい微笑みが似合う顔なのに全力な笑顔が純粋に素敵だと思った。
「よっしゃぁ!マスターひとまず!帰ったら勿論?」
「宴会よぉ!今日も飲むわよぉ!」
高笑いするマスターの顔に元気を貰いながら俺、浅井 弓比良はこの異世界に生き甲斐を感じる。