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グループワーク編5

よろしくお願いします!

警視庁

特別案件捜査1課

通称"特案"


「今回のオニコロシの保育園襲撃事件

妙な事が多いですね」

「そうらしいな」

「まず狙撃に使われた弾が見た事も無い弾丸です。採血?なのか身体から何かしらサンプルを得ようとしているような妙な形です」

「うむ」

「また、墨俣一夜の能力は今回、目くらましと撹乱用の鴉だけで攻撃はしてないそうです」

「それなのに、兵士の手首はあり得ないダメージの受け方をしていた…」

「ええ、担当した外科医も見たことのない怪我だと言っております」

「…足りないピースが多すぎるな、あしで稼ぐぞ!」

「はい!逆井警部と捜査できる事、誇りに思います」

「馬鹿やろう、捜査できないくらいの平和が本当の誇りだろうが」

「申し訳ありません!失言でした。」

「創るぞ、そういう街を、ついてきてくれるか」

「はい!!!」


一能力学校教室


「ちょっといいかーお前らー」

学年主任の山田先生だ

「グループワークの事だが、課題は決まったか?」

「いえまだです。」

「(パクパク)」

「佐名戻ってきてくれ!頼むから!」

朝七が佐名に近づき何かを耳打ちした

コソコソ

「ハ!先生!すみません。まだ纏まっていません」

一体何を囁いたんだ!?

「お前らにentire社日本支部に言って能力チップの安全性を取材して動画投稿サイトで告知する課題をやってもらいたいんだ」

「チップの宣伝がグループワークですか?」

「反能力主義の人たちは不安から来る嫌悪感も大きい、今回の一件で学校側ももっと積極的に能力のことを知ってもらう活動に重きをおく事にしたんだ」

「そうでしたのね、それで美少女モデルとして人気のわたくし源道寺千加のいる班にご依頼下さったのですね」

「そうだ、タレント活動している源道寺だからこそ効果も高いと考えての依頼だ」

「ふふふ、わたくしの美貌が社会への貢献になる事は事実ですから仕方ありませんわね」

源道寺は何か勝ち誇っている

「どうかしら皆さん」

「正直煮詰まっていたところだ俺は賛成だ」

「反対する理由が無いさ」

「そうね、引き受けましょう、ユウも良いわよね」

「何か腑に落ちないけどほかに案も無いしそうしましょう。」


能力発現兆候のあった人には

警視庁特案2課から任意同行が求められ

能力開発局との交渉が始まる

拒否権はもちろんある、ただ

能力は全国民の1割程度しかなく

メリットも大きいためほぼすべての

人間が能力を制御するためのチップを

脳に埋め込む。


そのチップメーカーへ訪問取材する事となった。


後日


東京都千代田区にある52階建ての高層ビルは

現代建築の技術を余す事なく詰め込んでいるであろう立派な佇まいだ。

幾何学模様を描いているいくつもの鉄柱で覆われていてどこが入り口かもわからない。


幾何学模様の隙間に真っ黒のカーボン製のドアがあり

無機質に"entire日本支社"と銀の金属プレートが貼り付けてある。


真っ黒いドアというより壁に印象が近いソレには

30c㎡の正方形の溝があり大きなボタンにも見える。

そこにおそるおそる手を当てると溝が緑に発光して触れたプレートが10㎝ほどめり込む。

ゆっくりとドアが下に沈んでいく。


ドタの奥にニコニコとした若い女性が姿勢良く起立している。

こちらを見て笑いかけ、通りの良い声で話しかけてきた。

「ようこそ皆さん!entire日本支社で広報を担当している竹岡です。本日は弊社までご足労いただき本当に感謝しております!」

「能力開発学校2年の佐名優希と申します、本日はよろしくお願いします」

「こちこそよろしくお願いします。外は暑いでしょう、どうぞ中へいらして下さい」

「ありがとうございます。お邪魔します。」


俺たち5人はまずミーティングルームに通された。

すべてシンプルなデザインの家具は木材と金属で作られていて、静かで清潔なオシャレ空間に拍車を掛けている。カフェのようだ。


部屋の中央にある机から何もない空間に画面が投影されそこには[人類の一歩先へentire社の能力制御チップ]

と写し出されいる。


「皆さんチップの基礎的な所から説明しましょう」

「よろしくお願いします」

「資料を投影しますね」

部屋の中央にテキストが浮かび上がる


180年前の日本はまだ平成の時代、当時の超能力者は能力を制御出来ていなかった。


ラップ現象、人体の自然発火、集団ヒステリー

竜巻など人間の制御できない能力の暴走により

様々な事件として発現しておりました。


「チップ無しでここまで発現できる人はⅫ学生統括委員の皆様よりも高い能力値が出現していたと考えられます。非常に危険な状態ですよね」


能力制御チップは安全かつ効率的に能力を制御する

為の装置で脳へ取り付けます。


神経細胞のタンパク質合成で能力に関係する場所

すなわちジャンクDNAと呼ばれいた領域の遺伝子情報から能力発動に必要な特異的タンパク質の合成を安定化させています。

〜能力チップの歴史〜

athver.j 2082年

特異的タンパク質の細胞内のみにある能力ミトコンドリアとそこに発動の指示を出す遺伝情報を運ぶmRNAを発見

klunch.k 2107年

それ自体が能力発動の為の化学反応を引き起こすイグニッションRNAの存在を発見

storver.o&giorgio.b 2124年

超能力を操作するシステム能力チップの試作品を開発

entire©️2139年

能力チップの製品化に成功

2142年

国連決議により模倣品の危険性から人々を守る為と特許権により能力チップの開発、製造、流通を全ての国と地域で禁止する法案が可決。

特許を有するentire社が国連の管理のもと製造、販売、チップの管理を行うことに

hide.h 2175年

チップにおける能力の方向性づけ、属性の安定化を実現するソフトウェアminamotoを開発


「entire社の能力チップは世界的に公式なもので安全性が保証されています。しかし未だに粗悪チップを密造して販売している悪質な組織もあります。」

「え!まだ偽造能力チップなんて造ってる所があるんですか?」

佐名は驚いているが当然だ、俺も驚いた。

国防軍以外にも戦闘機を密造して運用している所があるんですよーと言われるくらいに実行が難しいと思えるからだ。

「能力チップは戸籍情報と一緒に区役所へ登録されますよね?うちの道場で発現した場合は特案2課を呼ぶと一緒に区役所の戸籍課の人もきました。密造品は未登録で使用してるという事ですか?」

「はい。そうです!本当に許せません!」

「そもそも密造品を買うメリットがわかりません、リスクしか無いように思えます」佐名はやっぱり発想がまっすぐだ。

「能力による犯罪…不法利用ですわね」

「その通りです。能力者自身か周りの人間かわかりませんが能力を隠して犯罪に使う事を目的とする人たちは国の管理から逃れ能力を不法所持したいのです。」

まぁ…そこしか無いよな

「子供の能力者を犯罪傾向のある親や周りの大人が利用するケースも多くて…むごい思いをする子供たちもいるのです。」

「…」

「能力に対する偏見だけでなく子供たちも早くから正しい知識を教え不法チップに関わらせないように守る為にも皆さんの広報活動に期待していますね!」


その後、実際のチップを見せてもらったり

各国を代表する能力者を紹介する雑誌をもらったり

クリアファイルやキーホルダーなどいろんなグッズをもらったりして。

[もらったり]してばっかりの取材?は

円滑に進んだ。


「皆さんいい時間なのでお昼にしましょう」

竹岡さんに社員食堂に通された。

天井が上の階まで吹き抜けでまわり全面ガラス張り

外の光がフロアを照らし、正面の壁には滝が流れてプロジェクトマッピングで柔らかな色合いの模様が投影されている。それが万華鏡のようにゆっくりと表情を変化させていて滝のスクリーンとなっていた。

世界的企業は社員食堂も凄かった。

「凄く安いんだけど味は美味しいの!好きなもの食べてね。」店内の開放感のせいか竹岡さんの口調もくだけた感じになっている。


テーブルに腰掛ける、お箸かと思っていた棒を触るとメニュー表が空中に投影される。

「いま流行りのガジェットをふんだんに使っているな」

「ここはデートで来たいくらいさ、朝七さまご友人を紹介して下さい!」

「イヤよ高生は女の子泣かせそうだもん、でも本当にオシャレ」

「うわぁー嬉しいね!何にしよっかな」

「みなさん…はしたないですわ…」


「リコッタパンケーキにしようかな」

「わかる!美味しそうだよね!」

「お菓子じゃねーか」

「別にいいじゃない」

「春市は本当に女心がわからないデリカシなし男だな」

「わたしはカチョーエぺぺにしよう」

「う!それも気になってたのよ!」

「ユウったら、じゃシェアしよう」

「ありがとう!」

「お!いいのある!やきそばっと」

「え!!なんで!」

「まて、同じ麺類なのに朝七ときとリアクション違いすぎるだろ!」

「そうなんだけど、いま?ってなるじゃない!」

「だからデリカシなし男なんだって、俺はチーズダッカルビにしよう」

「わたくしわぁ…」

「なんで高生にツッコミないんだ!これもオシャレ感ないだろ!」

「チーズダッカルビは、いま?ってならなかったのよ」

「なんでだよ、チーズか?チーズなのか?チーズがあればオシャレなのか?」

「そんなわけ無いでしょ!なんとなくよ!」

「くっそー!佐名!一生やきそば食べるなよバーカ!バーカ!」

「子供かーー!」

「ハハっみんな仲良しね」

「お待たせしました、ハーブティーのお客様」

「ありがとうございますわ」

「ポットの中でハーブを蒸らしておりますので7分ほどお待ちになってからカップに注いでください、ちょうどお連れさまと同じタイミングでお食事をお楽しみいただけます。」

「いいえ、わたくし本日同伴者はいませんので、そのようなお気遣いは無用ですわ」

「はい…、かしこまりました」

「なぁ源道寺もやきそばは昼飯にふさわしいと思うよな!みろよ250円だぞ!」

「春市さんお願いですから苗字で呼ばないでくださる、源道寺家が誤解を受けそうですわ」

「そっか、じゃあ千加!やきそばは…」

「それも馴れ馴れしくて嫌ですわね、それよりも皆さんのグループのお食事が来ましたわよ、せっかくですから温かいうちにお召し上がりください」

「おう!そうだな!いただきます!」

「本当に賑やかで素敵ね」

「ごめんなさい」

朝七も佐名も恥ずかしそうに謝っている。

やきそばに対する差別意識を反省したのだろう!

なにせココのやきそばは上海風の味付けで

海鮮と野菜がたっぷりと入って

信じられないくらい美味しいもの

だったからだ!


ありがとうございました!

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