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グループワーク編2

「今回の襲撃で出てきた4人の能力者は外系の能力者だったな」

「そうですね。自己にかける内系能力では無く相手に作用する外系でした。」

「起こった事象も全て記録しておいてくれ」

「ボス…Ⅻ統括委員の2人以外は調べるまでも無い能力と思いましたが、なぜ他の2人の調書をここまで事細かにとるのですか?」

「金枝とはたかがヤドリギの枝であるからな、どのような物がその集落の権力を殺すかは存外わからんものだよ」

「鬼を倒す…ですね。ボスが教えてくれた道、ぼくは多くの人が救われる道だと信じてます。かしこまりました全て記録致します。」

「頼むな!お前たちの力を貸してくれ。」


―馬来田の実家にて―

看板には一ノ葉流空手道場と書いてある

「せいや!」「ハッ!!」

中から練習中の門下生の声が聞こえてくる。


「ただいま!」

「こんにちは!お邪魔します!」

「お嬢!お帰りなさい、ご友人も一緒とは珍しい」

「見学希望なの直行(ナオユキ)案内してあげて」

「はい、それではこちらへどう…!春市!!」

「よう」

「何しに来た?」

「安心しろ付き添いだけだよ」

「直行!お願いね」

「…わかりました。」


「一ノ葉流空手はリングの上での殴りあい打撃のテクニックやタフネスを競う現代格闘技とは違い、実戦の捕縛術や関節や急所への打撃などが型に盛り込まれています。護身術に優れていると思います」

「それを聞くと少し怖いイメージがありますね」

「はい、そうですね。ですからチカラというのは使い道が大事です。その為に精神の修養も行います」

「あ!ハル兄ちゃん!」

「本当だハル兄ちゃんだ!」

「おぉ、ヨシトにスミカ!大きくなったな!」

「うん!」

「ねえ、この美人のお姉さん彼女?」

(アサナ姉ちゃんの前で聞くなんてヨシトはなんてデリカシーが無いの!でも何より気になる!ナイスよヨシト!)

ビクゥッ!!

「違うわよ、春市とはお友達なの」


はぁー良かった!佐名の事だから、「違うわよ!なんでこんな奴と!」ピカッ!ドン!「ぐわー!」みたいな展開になると思い身体がビクついてしまった。


「そうなんだ!アサナ姉ちゃん良かったね!」

「へ?なんで私に…言うの?」

「だってアサナ姉ちゃん、ハル兄がいなくなった日なん…」

「!!!!」

ドゴン!!

ヨシトがクッタリと道場の床に横になった。

「ヨシト大丈夫?少し休みましょう」

いつのまにかヨシトの背後にいた朝七が優しく介抱している。しかしどうしたんだ?一体?

「アハハー…でも本当に珍しいよねハル兄が女性と一緒に行動しているイメージ無いから驚いちゃったよー」

「え?女性と?行動?」

「!」

ピカッ!

ドン!

「ぐわー!」

「いま失礼な事考えたでしょ!!」

どうやら失言だったようだ。

理不尽だー


本日の型の稽古が終わり組手が始まる。

月に一度の3つの支部合同の組手会の日だった

道場の真ん中に二人が対峙して試合を行う。

まわりの門下生は壁際に並び正座してそれを

見ている。


次はヨシトの番か

相手は2学年上で体重差も10kgは

ありそうだ。

「大丈夫なのか?」

「見ていてあげて」

朝七が力強く微笑む

「はじめ!」

「ハッ!」

ヨシトが相手の右手の外側に踏み込む!

右の正拳突きの外に潜り込み、がら空きの脇に肘を入れる!

ドンっと鈍い音が響いた。

「ぐ」

たまらず痛みから避けるよう離れながらもヨシト側に振り向き左の蹴りで応戦する!

しかしヨシトは右膝蹴りで相手の蹴りを跳ね上げ、そのまま膝蹴りを内側に捻り、打ち下ろしのローキックを相手の軸足である右の膝上あたり打ち込む!


ローキックした足を戻さずにそのまま相手の股の間に着地させ一気に詰め寄る!

そっと右手で顔を押し、左手で相手の右足を抱え床に倒す。素早くマウントポジションをとり顔面と脇腹をランダムに打つ!

「やめ!」

相手選手の棄権のサインが見て取れた

ヨシトの完璧な試合運びに道場はどよめいた。


「強くなったなヨシト!」

「えへへー」


「次は私の番ね!」

「頑張ってこいよスミカ」

「うん!」


スミカの相手は1学年上高校1年生の男子

「男子と試合するの?」

「はい、一ノ葉流同士の組手ですと15歳以上から基本的に性別も含めて無差別で行います。他流試合の時は階級制で男女もわけますが、実戦を想定しているので、能力も有りでやる本組手というのまであります」


「はじめ!」

相手選手は慎重だローキックとジャブで距離をとってくるし、その距離感が完璧だ!

スミカの攻撃は届かないが相手の打撃は当たる!

…これは実力差がありすぎる。


身長差も20㎝はあるし無茶マッチメイクだ。

しかしスミカは棄権しない…

せめて怪我なくおわってくれ!


スミカが動いた!

自分から懐に入りこみテイクダウンを狙う

相手も腰が引けている!

しかし…これは罠だ。

バキ!!

カウンターでショートフックが入る!

こめかみ打撃を受けてフラフラしながら立っている


正直危険だ!


10カウントダウン

タップ

棄権


一ノ葉流は基本的に審判は試合を止めない。

特に同門の試合では、本人の覚悟を優先するからだ。


しかしこいつ明らかに愉しんでやがる!


通常ここまで実力差があると

寝技で関節決めてタップさせるのが暗黙の了解なのだが、神経質なくらいに距離をとり打撃で痛めつけニヤニヤしている。


審判の直行を見るが止まる気配がない。



「直行もう止めろ」

「選手は降参していない」

「わからないのか!もう危険だ!」

「わかってないのはお前だ! スミカは自分の意思で戦っている」

「怪我してからでは遅いんだぞ!」

「それも踏まえてあいつは戦っている、戦うことから逃げた誰かとは違うんだよ。覚悟のない逃げた奴にスミカの覚悟はわからない!」

「チカラを磨いて守りたいものは何だ!戦士としのプライドか?覚悟を守り抜く姿勢か?違うだろ!こいつらの未来じゃないのか!!」

「部外者が知った風な口を聞くな!」

「部外者だから見える事もあるんだよ!」

スミカ達は俺たちの怒鳴り声で試合を止めてこちらを見ている。

「神聖な組手を汚しやがって!立て!春市!口先だけでなく、未来を守ってみせろ!おまえのチカラを示せ!」

「直行…わかった」

「直行!ハル!ダメだ!わたしが許さない!」

朝七が立ち上がり割って入る

「お嬢様…どいてください」

「朝七、大丈夫だ、これは俺たちの問題だ」

「行くぞ!」

「ああ!!」


直行が踏み込んでくる!

―速い!!!

右の縦拳

ドガ!

拳の圧力が凄い!

完全にこちら挙動を止められた。

突き出した縦拳の真下ほぼ見えない位置

から右の上段蹴りが飛んできた!

バゴン!

ヤバい!強い!

一ノ葉の基本連撃だからガード出来ただけで

初見ならこれで沈んでたな。

一歩引くしかな!!!!

一歩引いたおれとまったく同じタイミングで一歩前に出て来た、まるでダンスだ。

「ハァァ!」

左の順突きから左のハイキック

バゴンバゴン!!


これはヤバいな!

まったくレベルが違う

ついて行けてない。


目線が交差する。


「アサナ、止めよう!」

「うんユウ手伝って!」

「待って2人ともハル兄ちゃんを信じて!」


ヨシトの真剣な眼差しで2人は動くことが

出来なかった。

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