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グループワーク編1

春市

佐名ユウ

馬来田朝七


グループワークで

活動することに

薬品の匂いなのか

病院はどこも似たような

独特の匂いがする。


「はい、今日で検診もおわり」

「お世話になりました」

「能力の発動に違和感もない?」

「大丈夫です!」

「そっち関係は病院ではなく研究所付属の医療センターでしか診れないからね、何かあれば学校に相談するんだよ」

「はい」

「そういえばユウキちゃんにお礼言っておいた方がいいよ」

「佐名?」

「ここに担ぎこまれてから意識が戻るまでの4日間、毎日お見舞いに来てたのよ」

初耳だ、Ⅻ学生統括委員の佐名は一般の病院ではなく研究所の医療センターにいたはずなのに…

「そうだったんですね、わかりました」

「一見ボーイッシュな女の子ほど、すっごく女の子な性格だったりするから優しくしてあげなきゃダメよ」

いや、意外とすぐ手が出る性格ですからやはり怪獣ですよ看護士のお姉さん。

という言葉を飲み込み無事退院した。


自宅に戻り、身仕度をして登校

平和な日常に戻って来た。


しかしアレは何だったんだ


学校に着くと学年主任の先生に呼び出された。

「今回は災難だったな」

「はい、しかし死傷者は無しと聞いて安心してます」

「今回の事件はテロリストの仕業と判明した、反能力開発主義連合オニコロシ」

なるほど

「今回のターゲットは佐名ユウキと調査委員会は発表している、Ⅻ統括委員の佐名を誘拐して学校側に何かしらの取引要求したかったようだ」

「噂には聞いていましたが本当にテロ活動ってあるのですね」

「あぁ本当にそうだな、ニュースで見てはいても自分達の近くで起きると容易に信じられない、正常化バイアスとは恐ろしいものだ」

「佐名には護衛がつくのですか?」

「当然そうなる、それとお前には頼みがある」

「センセイ ソレデハ シツレイ シマス」

礼節を持って挨拶をした。

「残念だ今回の入院中に失った単位が取れる救済処置でもあったのだがね」

「遠慮なんて水臭いですよ先生!僕は学校への感謝の気持ちを行動で表したいと日々思っていたのです!」

「感謝する、で、頼みごとなのだが…」


……


2年生に課せられるグループワーク

"能力者の社会貢献と国民との融和"


これを佐名と同じチームになり有事の際

護衛チームへ報告する連絡員として参加する。

というのが頼みごとだった。


能力者はまるで国民では無いような書かれ方だが

これは能力者は国民の1割未満で能力発現とともに能力開発学校へ転入、国から管理される立場になり

その学校というのが軍の下部機関あずかり

になっているからだ。


一般学校は文部科学省


専門技能の学校は厚生労働省


能力開発学校は

防衛省の外局である国家防衛庁の管轄


学生の進路として、

防衛省に戻り直轄の防衛軍への入隊

警視庁への編入で警察官や刑事

外務省での麻薬取締官、外交官などが多く

一般人から急に軍やら警察にぶち込むのは

本人もギャップがきついし

国民感情的にも能力者とはいえ

学生がいきなり軍に配属というのは

抵抗があり、世論も厳しい見かたになるので

能力者は"半軍人扱い"にして慣らして行く

という事情があるためだ。


国益のため能力によって活躍の場を

スムーズに割り振るために

この形へ変化した歴史があるようだ。


俺たちにも自由な職業選択は許されている

ので割りと一般学生と意識の違いは無いが


こうゆう形を否定し能力開発自体を廃止しようと

活動している組織もある。


武力行使しているオニコロシはその中でも

大手の過激派だ。


「頼みごとっていう建前の任務だな」

覚悟を決めたというより、あきらめた。


翌日―

「グループワークなんだけど、社会貢献について何をするかみんなで決めていきましょう!」

「私の能力は内系だからみんなのサポートに回ろうと思うわ」

ポニーテールの150㎝の小柄な女生徒が答える

馬来田(マキタ)さんは空手で全国2位で表彰されていたわよね。学校で流していたニュース動画で見てた、凄くカッコ良かった!一緒の班になれて嬉しいわ」

「Ⅻ統括委員の佐名さんにそこまで言われるのは恐縮するよ。みんな朝七(アサナ)って呼ぶから佐名さんもアサナて呼んで」

「わかった!わたしもユウって呼んで」

「うん!ユウよろしくね!あとついでにハルもよろしく」

「おうアサナよろしくな」

「え!(名前呼び!?)アサナと春市は知り合いなの?」

「うちが空手の道場をやっていてハルは子供の頃来てたの」

「よく泣かされてたな」

「いつの話してるのよ」

「アサナ、私も空手を習えないかな?護身術を学んでいざという時に友達も自分も護れる力が欲しいの」

「佐名には能力があるじゃないか」

「能力は無敵ではないわ、銃やナイフで倒される、だからいざという時に動ける訓練をしたいの」

「そうか、それもいいかもな。アサナ連れて行ってやれよ」

「うんユウ放課後に道場へ案内するね」

「よかったな佐名」

「春市も同じ班だもの行くわよね!」

「俺は門下生を破門同然でやめているから」

「なら話をしてもう一度はじめればいいじゃない!」

「ユウって凄いね少し嫉妬しちゃうくらい」

佐名ユウキの護衛スタッフとしての"お願い"を

された事を思い出した。かなり気まずいのだが

「わかったよ付き添いだけならな」

「ふふ、それでいいわ。でもきっと体を動かすのが楽しくて春市ももう一度やりたくなるわよ」

アサナと目が覚め合ってしまう。

思わず顔を見合わせてしまった。


佐名のまっすぐな性格に

俺たちは飲まれていたのだ。

読んでいただきありがとうございます。


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