課外活動編1
課外活動で保育園にきた春市たち
学生生活を送る。
「なあ春市よ先ほど佐名姫とお話しされてなかったか?」
「あぁ」
「いいなー!なにを話してたのさ!
言ってごらんなさい!この高生お兄さんに
報告してごらんなさい」
「いやおまえ同級生だから!なんでもないよ挨拶しただけだ」
いまは能力試験中
"ヘルプスタッフ"階級の俺たちはお気楽だ
ランクの上がり下がりを気にしていない
つまりは"そういうレベル"だからだ
能力は量と質で評価、判定される
俺の能力の質は構造の理解している物の
コントロールだ
サイコキネシスにあたるらしいが
能力の量がほぼゼロのため
靴紐を解く
レゴブロック外す
チャックを開ける
ボタンを外す
を行える程度だ。
量と質以外では能力のコントロール
という物があるがあまり評価されない。
俺は素早くボタンを外せるからコントロールが
すこぶる良いらしいがサイコキネシスなのに
ボタンを掛けるということができない
チャックも外せるスピードや正確性は最高レベルだが閉めることが出来ない
ゆえにコントロールの評価も最低ランクのEだ。
「週末の社会貢献課外活動プログラム、春市はどこ担当さ」
「保育園の人形劇で"おばあちゃんが実は狼"のシーンで人形のボタンを外して中の狼の人形を出す役と、午後は老人ホームでメガネのネジを外して細かい溝を掃除してあげたり、開かない瓶の蓋あけたりだよ」
「いいね、俺たちらしく非常に地味で平和な社会貢献だ、のんびり行こうさ」
「高生は?」
「保育園で砂場を耕してふかふかにする仕事さ」
「地味だねぇ」
高生は能力量は平均以上に高い、
しかし質が不明でコントロールが出来ない。
ただのエネルギーの爆発に近いが光も出ない為
方向性がつけられない。
足元にだけ衝撃を発生させるという
なんとも微妙な能力だ。
どういう訳か地面の方向にだけしか
能力が発揮されないらしい。
➖週末・保育園
「おばあさんの口はどうしてそんなに大きの?」
「それはね…お前を食べるためだよ!!」
ピカっとまばゆい光が教室を覆う!
サッ!
俺の能力でおばあさんのぬいぐるみはボタンが
一斉に外れその中身であった狼の人形が現れる
「キャー!」
「おおかみだー!」
園児たちが驚き叫ぶ
求めていた通りのリアクション
驚きと興奮で園児たちのテンションは最高潮に
達しクライマックスまで食い入るように
見てくれる!
人形劇は大成功だ!
しかし…
「おつかれさま春市くん」
「ハイ オツカレサマ デシタ」
礼節を持って挨拶をし立ち去る
「ちょっと待ちなさいよ」
人形劇は大成功だった
しかし、ライティング係が佐名ユウキだった
別に友達でも無いから、会釈だけで今まで
やり過ごしていた。
人形劇開始前のミーティングから今まで
事務的な会話しかしていないのに
終わったあとに絡まれた。
怖い。
「あなたの能力凄く器用ね
そんなサイコキネシス見たこと無いわ」
「器用とは言い切れないんだ
"ハズす"だけでつけるとか結ぶとかは
全くできないしコップ一つ動かせない
テレビのリモコンを引き寄せることもできない」
「不思議ね、でもすごい個性だと思うわ」
馬鹿にしているのか?
と思ってふと顔を見たが
きょとんとしている
いいトコの育ちだと噂だから
嫌味なくタダの天然で格下の能力を
本気で感嘆しているのかもしれない。
変なやつだ
ドッサ!ドッサ!
窓の外では砂場の上で仁王立ちで
上下に揺れる高生がいる。
「ははっはっ!」
高笑いと共に砂場が盛り上がり
そして下がるを繰り返している。
園児たちがそれを楽しそうに見ている。
シュールだ。
「とにかくお疲れ様、俺これから老人ホームだから、じゃ」
「え!あなたも老人ホームなの?私もよ」
「お前Aランクだろ!もっと派手な所いけよ!」
「派手なところってどこよ!」
「レーザー兵器研究所とか怪獣対策本部とか円谷スタジオとか」
ニコっ!
ハッ!
「怪獣扱いするなーー!」
20センチほどの光の槍が手の平から飛び出して
おれのお腹に直撃した。
胃がひっくり返るような痛みと吐き気が襲ってくる
"良かった〜朝メシ食べてなくて"
と思いながら後方に吹き飛ばされた。
「ごめん!やりすぎた、大丈夫?」
「だびぼぶらぶがら、ぼう、いぐね、じゃ!」
「ちょっとフラフラじゃない少し休みなさいよ」
ぶん殴って、なおかつ逃がさないつもりか!
凄く怖いじゃないか!
ドガバァーン
!!
怪獣の仕業じゃない!?
ヤバい爆発音が割と近くから聞こえた。
「なに?」
「わからん!だけど園児を連れて安全なところに
逃げよう、高生!!」
「春市!正門が吹き飛ばされている逃げ場が無いさ!」
「どういうことなの?」
「わからんが閉じ込められた事は確かだ」
何者かによって塀の中に閉じ込められた春市、佐名、高生の3人
物語が動き出す。