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体育祭編4

よろしくお願い致します。

360度全てが暗闇。

手を握っているいいんちょの顔すら

見えない。

「いいんちょ大丈夫か?」

「はい、これはダンジョンのトラップではなくて能力者の力ってことですか?」

「多分な」


視界を奪い動きを止めたって事は次の一手は攻撃だろう、しかも仕留める為の一撃。


ただの体育祭だから狙うのは男子である俺の可能性が高いか?

だったら手を繋いでいるのは逆に危ないな。

「いいんちょ、糸をくれ」

「わかりました!」


糸を手首に結ぶ


➖通路奥、青色の部屋


「力を使いましたわね」

「能力反応が()()()んだんたね」

「ええ、外系能力者で質は具現化のランクはC、能力量は平均よりも高い3800程度ですわ」

「欠陥くんは"ゼロの春市"なんて呼ばれているみたいだから相方の北地さんの方だね」

「ですわね」

「源道寺さん、この学校にて能力量がゼロなんて事がありえるのかな?」

「どういことですの?」

「この学校にいる時点で彼は能力者である事は間違いない、しかし能力量ゼロの能力って一体なに?」

「測定ではサイコキネシス(念動力)のとても弱いものと判定されたらしいですわ」

「要するに物を動かす能力って事だよね」

「珍しくありませんわ」

「能力量20以下で物を動かす事なんて出来ない、そもそも法律でもそこまで弱い能力は無能力とみなして一般生活を送れるはずだよね」

「ですから皆さん70程度の能力値をゼロとみなして吹聴されているのではなくって」

「"病院に行くと病名がつくほどに低い能力値"と噂されてる、これは能力はあるが説明が出来ないほど低い能力値という事だと思うんだ」

「だと思いますわ、で、それがどうか致しまして?」

「説明が出来ない程の能力量、すなわち"ゼロで発動する能力"が何かを知りたい」

「能力量ゼロで発動する能力なんてありませんわ、とっても弱いサイコキネシス以外考えられません」

「ね、考えると堂々巡りになるでしょ、だから確認しなくちゃいけないんだ」

「人を査定するなんて良い趣味ではありませんわね」

「まったく同感だよ、だけど風紀委員長としての勘が騒ぐのさ、今から仕掛けるから源道寺さん見逃さないで下さいね」

「わたくしの仙眼が見逃すわけないでしょう」

「さぁ!頼む力を見せてくれ()()()


➖青色の部屋への通路


空間を包んでいた暗闇がどんどん狭くなり渦巻きを描きながら、その中心に凝縮されていく。


「何かくる!」


渦巻きの中心がいびつに蠢きやがて影が人間のシルエットをつくる。


「ゴァーーー!」


棍棒を持った真っ黒な巨漢が雄叫びを上げた


ブォン!!


鋭い棍棒のフルスイング!


「いいんちょ!なるべく後ろに下がってくれ」

「間違え無く具現化のAクラス能力!墨俣先輩ですね」


フルスイング後の棍棒を追いかけるように近づき奥へ走り抜ける!

そして左へ直角にステップをきり追撃を躱しながら走り抜ける!

すると糸が巨漢に引っかかった、やはり実存している!


「グゴォー!」


こちらに向かって突進してくる。

向かって右側へ、奴の膝より低くスライディングで横をすり抜け、滑り込みながら地面を叩いた棍棒を触る!


「やっぱり()()ないか」


影で作られているため、手と棍棒は一体化している

のであろう、これは走り抜けて逃げ切った方が得策だ。


「行くぞ!」


奴の注意を低くために肉弾戦をすると見せかける!


「ハァっ!!」


突っ込んでいく!


「グゴォー」


棍棒を縦一文字に振り下ろしてくる!

急ブレーキをかけてバックステップで棍棒を避ける。


ガギン!


床を叩いた棍棒を踏みつけて

駆け上がり顔面に飛び膝蹴りを打ち込む!


バゴン!


手応えあり! しかし……効いていない!!


「ブォーー」


影人間がデタラメに棍棒を振り上げた!


下からくる攻撃を身体を目一杯右へ倒して

ギリギリいなす!

右手側へ倒れかかっている俺の目の前に

頭上へ棍棒を振りかぶった巨漢!


「最悪のポジショニングだ」.


一撃が来る!


咄嗟にバランスの崩れている右側へ身体を反転させ、奴に背を向けた状態で地面を蹴り飛び出す!


バギン!


ヘッドスライディングさながら床にダイブし、その勢いで腹中心に反転し振り返り立ち上がる。

先程俺が立っていた位置に棍棒が振り下ろされていた。

影人間がこちらを向き、棍棒を引きずりながら突進してくる!


「くそ!」


壁を背負ってしまった!


デカイ図体を躍動させ真っ直ぐに走ってくる。


選択肢は2つ、棍棒が来たらスイングした方向に逃げなくてはいけない立ち止まってからが大事だ。

そのまま体当たりならやつが止まる事はないワンテンポ早く左右どちらかに逃げなければいけない。


慌てて左右へ逃げたらバランスを崩した所を

フルスイングで仕留められるだろう。

ギリギリまで引きつけて見極める必要がある。


「グォ!!」


どっちだ?

プレッシャーで呼吸が浅くなる

最後まで目をつぶってはいけない

奴は止まらない!!!

力士のような体当たりが目の前を

かすめる!

ドゴン!!!


「いいんちょ!通り抜けろ!!!」

「はい!」

彼女は逆側の壁沿いを走りぬける!


➖青色の部屋

「どうだい?」

「反応はまったくのゼロですわ、力を使おうとした気配も無くってよ」

「…一回も?」

「ええ、一度も無いですわ」

「(欠陥くんは一度、オーガの棍棒に触れた、能力で棍棒を手から外そうとしたはず…反応が…ない?)」


バン!!

部屋の扉が開いた!


「あいつデカイのに速いのかよ!!!」

「はぁはぁ、もう…走れない…春市くん先に行って下さい」

「あーーー!千加じゃねーか!」

「ごきげんよう」

「ごきげんよくねーよ!いきなり仕掛けて来やがって」

「わたくしは何もしてませんわ」

「あっそうか、ごめんね言いがかりつけて〜って言うと思ったかーー!」


ドゴン!


ギリギリ攻撃を躱す!


距離を取り一度部屋を見渡す、今度は全面青色の正方形の部屋で扉が左右に2つある。

さっさと逃げきりたいが、追われた状態で他のチームに鉢合わせたら状況は悪化する。

いいんちょの体力も心許ない。


「なんとかするしかないか…」


「オーガ!」

「くそ!仕留める気満々だな!」

「悪いね一対一のシチュエーション逃す訳には行かないんだ」


オーガと呼ばれている真っ黒の巨漢がこちらに居直る

今までのように無闇に突っ込んで来ない


「なるほど先輩自身が見えて無い遠隔操作と見ながらの操作ではクオリティが変わるんだな」

「どうかな?」

「わざわざ距離を測る人間臭い動き…今までは無かったからね」

「もしそれが正解だとしたら気づいて無い振りが一番賢い振る舞いだと思うけどね」

「いえいえ、ハッタリかまして少しでも時間稼ぎできたらと思ってるだけで手詰まりなのは変わらないですよ」

「君はやはり食えない男だね」

「そりゃどーも」


オーガが棍棒を振りかぶる


ダッシュからのアタック?今更?

違和感が拭えな…!


ブォン!


棍棒をぶん投げて来た!


「あっぶね!」

咄嗟に這いつくばる


ブォンブォンブォン…ガギン!


頭上を通り過ぎた棍棒が壁に当たり消滅した。


「そりゃ反則だろ!さっきは()()無かったんだぞ!手にくっついてるんじゃ無いのかよ」

「!!!っやはり能力で外そうとしたんだね棍棒を」

「それしか出来ねーんだ真っ先に試すだろ!」

「…なるほど、どうやら僕の能力は君の能力を見るのに適して無いようだね」

「は?」

「源道寺さん一旦退こう!」

「間違え無く能力反応はありませんでしたわ」

「作戦変更の準備をしなくてはいけないね」

「あなたの調べ物わたくしも少し興味が出てきましたわ」

()()…ね」

「なんですの?」

「真剣な表情の君も素敵だと思っただけさ瞳の輝きが一層きらめいているよ」

「勘違いする男性はわたくし好みではありませんわ、しっかりと見て差し上げようとしているだけですの」

「そうなんだね理解したよ」


オーガが音もなく爆発して当たり一面が闇に包まれる


「な!」

「きゃっ!」


全く何も見えないがダメージは無い。


「春市くん大丈夫ですか?」

「あぁ」


部屋の隅から潮がひくように闇が消えていく、視界が戻り青色の部屋には俺といいんちょだけが残った。


〈残り32分〉

読んでいただきありがとうございました。

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