プロローグ
よろしくお願いします。
生まれたての赤ちゃんから
すでに性格が違うように
生まれ持った個性がある
2198年 日本
その個性を能力として
開花させいくプログラムが
学校教育の場で実践されている。
超能力の素質を持った人には
脳神経へチップを埋め込みするなど
医学的介入により様々な能力の発現を
支え、能力を利用して国益を高めるという
国家の動きは先進国で多くとりいれ
られEUを発端に、北米から全世界と
拡がりを見せた。
とはいうもの
人間の営みとはさほど変化することはなく
学校生活とはいつの時代も粗雑だ。
成績は能力の
量、質で判断される。
「おい、てめえの態度はなんだ」
「すみません、でも…」
「でもじゃねーんだよ能力値が低い奴を守っている俺たちに税を払うのは当然のしきたりだろう?」
「税って、まだ足りないですか」
ドゴ!
「うわ!」
手のひらだいの風圧で
気弱そうな学生が吹き飛ばされる。
「いいのか?その態度で」
目つきの悪い学生がにじり寄る
はぁ、どんなに能力開発が進んでも
本当に学校生活とは粗雑だ。
「やめろよ、何をしているんだ!」
思わず言ってしまった
後悔している、遅いけど。
「なんだてめー!…ふっは!誰かと思えば有名人の"欠陥くん"じゃねーの」
"欠陥くん"というのは
能力開発において量が限りなく少ない
からついた不名誉なあだ名だ。
全生徒でダントツでNo.1
病院にいくと病名がつくらしい
何万人に1人の"欠陥くん"。
「能力量ゼロの"ゼロの春市"くんが何の用だよ」
しかし
悪口とか悪いあだ名って
すぐ増えるよな。
「やめろよ、くだらねー事を」
ドゴ!風圧でぶん殴られる
とっても痛い。
「てめーから、教育してやるよ!税金講座だ!」
…
ドゴ!ドゴン!
…
…
一方的に叩きのめされる。
いい感じのサンドバッグをやっていたら
目の前に突然
パッ!と強い綺麗な光のラインが通った。
俺に至近距離で攻撃していた
自称税金講座講師を吹き飛ばす。
「ぐあ!」
大きく吹っ飛ばされた為、
カバンと彼の距離が離れる
その隙に地面に置かれていた
不良のカバンに手をふれチャックを外した。
手ではできない程速いそのスピードは神技だ!
俺の能力はチャックを外したり、
靴紐を解いたりできる!
凄くはやく!
それだけだ。
「あなた達、何をやっているの!」
「な、ゴフっ…なんだ?」
講師は振り返って、そして怯えた
「あ…"光線怪獣"の佐名ユウキ」
するとニコっと女学生が笑った!
どうしよう、凄く怖い。
「だれが怪獣だぁぁぁぁ!!」
彼女の体の周りが強く光り
税金講師は吹き飛ばされる。
そして…
俺もな!
「「だぁぁぁ!!!」」
人生で一番痛い攻撃だった。
「クソ!化け物め!」
講師は全力で駆け出す!
「ば!化け物⁉︎…待てコラぁ!」
「ヒィ!」
佐名は光を放って走りさる講師を吹き飛ばす!
関わりたくない!
心からそう思った。
しかし人生とは甘くない
彼女はクルっとこちらを振りむいた。
「あなた大丈夫?」
「ハイ ダイジョウブデス シツレイシマス」
礼節を持って挨拶をした
「ちょっとまちなさいよ」
「まだ何かあるのか?」
そう言いながら不良からとり返した
財布をからまれていた学生に返す。
「あなた春市くんよね、正直見直したわ
だけどこれからは人の助けを借りなさい」
「欠陥品だから、か」
「そうじゃない、だけど1人で何も出来ないのに
立ち向かうのは勇気ではないわ」
日本は能力開発によって明確な階級が存在する
エリートスタッフ
専門スタッフ
ヘルプスタッフ
能力者は国益のために開発されている為
それぞれの特性を活かすという名目で
資質、能力で明確に職業選択のランクも
区切られている。
要するに学歴社会と一般だ
佐名はエリート中のエリート
話した事ない俺ですら知っている
一般生徒からは"光の姫"なんて呼ばれていて
"Ⅻ学生統括委員"というエリート能力者だけが
選ばれる全学生を束ねる自治管理組織の一人だ。
正義感がつよく、不良からは恐怖の念を持って
"光線怪獣"とカッコイイあだ名で呼ばれるている。
付き合う友人からクラスまで全て違う
彼女とは知り合うきっかけもあるはずも無いし
これからも交わることは無いであろう。
「助けてくれてありがとう
でも助けてもらう事を期待して
正しい事をするってなんだか違うと思う
チカラが無いからやれる事は限らているけど
出来るかぎりやってみるよ」
「ちがう、みんなで助け合おうって言っているの」
「そうだね」
彼女に他意はないのがわかった
だから微笑んでそう答えた。
人生観をこんなところで討論するつもりも無い
だけど佐名は俺の顔みて何も言わなかった
言えなかったのかもしれない
ひどく悲しそうな顔をしてほのかに光っていた。
読んでいただきありがとうございました。