小中大
希望が持てたことで景色を見る余裕もできた。わたらせ渓谷鐵道は、狭い谷あいを進む、眺めのよい鉄道だ。ワンマンが増える中、女性車掌や女性運転手がいるのも珍しい。鉄オタとしては節約よりもサービスを重視してもらいたい。トロッコ列車以外はそれほど込まない。
夜のうちに雨でも降ったのか、川は茶色く濁り増水しているようだ。電車は左右に蛇行しながら、川上へと上っていく。観光客のために駅の停車時間は長めだ。帰りは、自転車のほうが早いかもしれない。古い町並みもところどころに見える。
以前、トロッコ列車に乗ったことがある。雨の日だったのであいにくだったが、トンネルに入ると天井にイルミネーションが光った。お弁当も駅で頼んでおくと、途中で届けてくれる。今回は急ぎの旅だ。そんな余裕はない。王女を助けたら、ゆっくり楽しもう。あいつは、景色より食い気だろうけど。
小中駅にやっと着いた。目指すは小中大滝。小・中・大ってどんな滝かと思ったが、小中にある大滝ってことらしい。紛らわしいが、ある意味すばらしいネーミングセンスだ。ほぼ一本道。急ではないが登りばかりで自転車にはきつい。以外にオネエってのは力があるもんだ。
「死神。最後がメスメダカだっからオネエになったんじゃないのか?」
死神は調子よく説明を始めた。
「運よくメダカが性転換したんで、オスです。」
メダカや金魚はというのは、メスばっかりでいるとオスに変わるやつが出てくるらしい。




