隙間[17]―闘いが終わって
【タケルvsアキラ 後日談】
《10:31/玄関付近》
「それで僕と話したいことって?」
闘いを終え、解散した直後の玄関にて、僕と仮屋君は話していた。
「なに、そんなに時間は取らない。さっき言った礼の件だ。お前、俺と話がしてェんだったよな?」
「そうだね。仮屋君が良ければね」
「それの日程と場所、いつどこですンのかって話だ。せっかくだ、お前にイニシアチブを譲る」
「どこまでも上からだね、別にいいけどさ。そうだね………君の部屋に伺うのはアリ?」
「俺のか? まぁそんな汚くはねぇからいいが」
「そっか、じゃあ次は日程。確か先生が言っていたけど試験製作期間が約1週間だったね、そこからちょうど1週間後の18日の月曜が試験当日だけど、その日でいいかな? お互い暇でしょ?」
「俺はお前と違って暇をつぶせるモンがたくさんあるがな、全然いいぞ」
「こうもっとすんなりと話を進めてくれないかな………」
なぜ彼はこうもまどろっこしくとため息が漏れそうになる。
「それじゃ、そういう日程でよろしく」
そんな負の感情を押し殺して僕はそう言うと仮屋君は「おう」と一言だけ残してその場を去った。
「あァそうだ。俺の部屋は7階の12号室だからな」
仮屋君は僕に対して指をさしながらそんなご丁寧な言葉を添える。
本当に彼は口は悪いけど、うん、良い人なのかな……。
まぁ、少なくとも松本さんからの目標には少し進歩はあったと思っていいのかな。僕は少し抱えた不安の荷物一つが減って胸をなでおろす。
来たる18日、少しでも進展があれば―――――ん?
僕のゼミターミナルが振動する。それを手にするとメッセージが1通届いていた。
「西門さん?」
送り主は西門さんからだった。
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【一縷の闇 真・真相編前日談】
《10:32/廊下》
「ねぇ、安河内 リン」
解散後、西門 ミキは去り行く安河内 リンを呼び止める。
リンは足を止めてミキの方を振り返る。その目は疑心や不安などネガティブな印象の侮蔑に近いまなざしだった。
「そうだね」
ミキは少し思案して両手をあげる。
「何のつもり?」
リンは訝しげに伺う。
「手を出さない、という約束だよ。対話したいだけ」
「ふぅ~ん……」
リンはその態度に体ごとミキの方に向ける。
「腕をずっとあげていたら痺れるでしょ? それにこの状況じゃ私に変な誤解が生まれるわ。下して、そしたら話しましょう」
そう言うやいなやミキは手をおろす。
「それで、話って?」
「佐藤の模試の件。貴女がどんな気持ちであの結果を見ていたのか知りたいのよ。それに貴女、私のこと見ていたでしょ?」
「それを知ってどうするの?」
「………私と貴女の関係、一縷と二敷の関係は言うまでもないでしょう。お互い関係者であるのは間違いなのだからね」
「それは………えぇ、そうね。あの日ここで揉めたのも根源はそこにあるのだからね」
「実は………佐藤がそのことで私に接触してきたのよ。一縷と二敷のことで話すためにね」
「え…………貴女の方も?」
リンは驚きのあまり、一歩進む。
「もしかしたらと思ったけどやっぱりね。アイツ、どういうわけか私に探りを入れていたけどやはり貴女の方にも行っていたのね」
「え、えぇ………彼は私の、一縷での様子とか色々聞いてきたわ。でもなんで……?」
「提案なんだけど良いかな?」
「………何?」
「2つある。まず1つ目は2人で彼に問い詰める。そしてもう1つは…………ちゃんと貴女と話がしたい」
「………なるほどね。良いよ、どっちも乗るわ」
ミキに近づくほど歩みを進め、彼女とは手の届く範囲までの距離になった。
「意外と素直に飲んでくれるんだね」
「貴女とは遅かれ早かれちゃんと話をしたかった。これは本音よ。もちろん暴力抜きでね」
「もちろん手を上げないとも」
「それじゃ、私が色々とやっておくわ」
そう言って、ミキはそのまま前へ進みリンを横切る。
颯爽と去る彼女を姿をリンは見送ることしかできなかったが、少なからず今の状況は自分にとって悲観的に思う要素が1ミリたりともないことに喜びと安堵を感じ、微々たる笑みをこぼすのであった。
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【マイのランク付けについて】
《10:32/3年42組》
解散後、松本 アスカはトントンと優しく篠原 マイの肩を叩く。
「ん? 誰かと思えば松本さんですか。どうしましたか?」
「少々、気になったことがあったのでね。先ほど佐藤君の成績のことを話した際、君はここのゼミの生徒をランク付けしていたわね」
「えぇまぁ。と言ってもあれは相対的に見ての話。この教室勢揃いの生徒は皆、ちゃんと勉強のできる優等生たちだわ」
「それは疑っていないわ。私は少なくとも、各学校の優等生が集められているゼミと聞いているわ。これは勝手なイメージだったのだけれど、安河内君がわかりやすい例になるわね、同学年でNo.1が一堂に会していると思っていたわ。だけど篠原君の話を聞くと、どうもその可能性は疑わしいものに生まれ変わったのよ」
「………なるほどね、そこか。フフッ、あなたらしいと言うべきでしょうか。逆質問になるけど、あなたはどう自覚していた?」
「半信半疑だったわ」
「だけど私の話を聞くと」
「限りなく、怪しいと思えてきた。私より優秀な同学年の子を知っている。だけどその子を差し置いて私がここにいるのは何かしらの意図があると思えてきた」
「ふぅ~んなるほど。ありがとう貴重な意見を聞けたよ。とまぁそれは置いといて、結論だが、数名本来は選ばれるはずの無い生徒はいたとも。ただし今言った『本来は選ばれるはずの無い生徒』とは学内成績がNo.1でない生徒という意味だ。さっきの2人の闘いの時から繰り返し言っているが、42人全員神皇大学に入学できるに足る学力はある。だが、それ以上の学力があるはずの生徒がここにいないのも事実だ。おっと、誰まではちょっと伏せさせていただくよ」
「君のことだ、そこまでご丁寧に情報を出してくれるとは思っていなかったわ」
「あら? 私を信頼してくれるのかしら?」
「まぁね。でもおかげで少しモヤモヤしていたことが氷解できたわ。ちなみに君の調査上では私もさっき言った生徒の一人なのかしらね」
「さぁね?」
ウィンクをして誤魔化す。だがその含んだ笑みは『肯定』であると嫌でも伝わって、アスカも「そうかい」と言いながら苦笑する。そして
「君も君で色々と持ち合わせているみたいだね」
と一言置いて去る。
アスカの去る姿を見送ったマイは呟く。
「お褒めに預かり光栄です。名探偵、そして私の敵」
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【あるチャットの会話】
《???》
♡A「ねぇねぇ。今日のアレって、やっぱりあの時のことが関係しているの?」
♦S「俺はそうだと思った。どうなんだ? 当事者さん?」
♠A「間違いない。あの件の後処理で色々とやってはいたがその後遺症がアレなんだと思う」
♣S「へぇ~。面白いねぇ~。ちなみに■■■があぁなったのってなんかやったの?」
♠A「俺も詳しいことは知らん。伝で聞かされただけだからな。だが色々とつながったとは思う」
♡A「つながった? どゆこと?」
♠A「後処理をしたがんだが――――」
久しぶりにゼロベースから書きました
と言ってもこの先の展開は既に準備済みなので橋渡しになる展開を考えるだけなのでそこまで苦戦はしなかったかと思います。
ただ松本さんのくだりは今後の展開を踏まえて入れてもいいなと思い急遽追加しました。
まぁこの中だと案外些末なものであるかもしれないのでライトにするように深くのめり込まないことは軸にありました。
最後のチャット、攻めすぎずに書くのに苦労しました。最初はもっとありましたがごっそり削りました。
さて、今後の課題が見えてきました。
各キャラの名前以外の呼び方に不安が生まれています。
まだ登場数が少ないキャラもいるけど、ここまで何度も出ている人は毎度毎度確認しないといけなくなってきたなと実感している。
ちなみに今回は篠原さんで少し時間かかりました。あなた呼び?(そうだとしても漢字なのかひらがななのか) 君呼び? もうわかりませんでしたね………。
次の話書く前に一旦リスト化します。
この話は42人の群像劇というコンセプトがある以上起こりえたトラブルですね、致し方なし。




