隙間[14]―ダーティハリーの弾丸 -水樹 アンズ- (3)襲撃編
《20XX-1年7月16日/16:15/鳥籠[七尾]学園屋上》
2か月ほど経った。あれから私たちはサクちゃんをそれとなく護衛・監視していた。だがこれという動きは見られなかった。
ノゾみんにサクちゃんの尾行を頼んでいたが、結局彼女の周りに怪しい影はなかった。私やココたんも見守りはしていたが、全くそんな予兆も何も感じなかった。
一方そのころというわけではないが、どんどん私とサクちゃんの関係は深くなっていった。そういう付き合いも行為も既に済ませた頃ではあった。私ったらうっかり彼女をその気にさせてしまったみたいで、目覚めさせてはいけないところを目覚めさせちゃったみたいだわ、あはは………。ここ最近は特にすごく懐いているというか、うん、これは恋しているなぁってのがわかる。まぁそんな彼女も可愛いから、私も私で悪くないんだけどね。
それは置いといて、全く何の成果も得られたというわけではなかった。ナっちゃんによる裏付けだ。パンドラの存在がどんどんと真実味が増してきて最初に見た証明書が本物であること、そして彼女の目が認証キーになっていることが強調されてきたということだ。今現在、ナっちゃんも隙間時間を使ってパンドラにアクセスできないかを試みている最中だ。
現在いつものように屋上に集まっている。ノゾみんはサクちゃんを尾行している最中だ。
「で、今現在アツアツだろうアンズさんよ」
「その肩書きはやめてくれる?」
ナっちゃんは開口一番にそう言う。事実とは言えそれを他人に指摘されるのはどこかこう気まずい気持ちになる。
「事実じゃあないか。それは置いといて、パンドラの件、だいぶ進んだよ」
「随分突然じゃん」
「いや、だいぶ手こずったよ。学生である分、やれる時間にも限りがあるからね。半月はかかったわ」
「それでも大したものだわ。で、どうなの?」
「結論、頑張れば何とかできそう。だけどそれでも破るのに時間がかかるわ、この【禁忌の左目】をね」
「【禁忌の左目】?」
ココたんが訝しげに尋ねる。私も確かにそれは何ぞやと思ってしまった。
「どうやらパンドラが設定した解除キーのことを総称してそう呼ぶらしい。キーの対象になった場所によって表記が変わるらしいわ。【禁忌の〇〇】ってね。でも読み方は統一されているみたい」
「なんだそれ、まどろっこしいなぁ」
「どうにせよ、彼女の目が本当じみていることには変わりないんでしょ? ならやることは一つ、お願いすることになるけど」
「まかせて。私もさすがに同い年の子がこうなことに巻き込まれて………そう言えば、本人はこのことを知らないんだろう?」
「えぇ………打ち明けにくいというか、聞けないというか………それを言い出したらサクちゃんがそれ目当てで私と一緒にいると思ってしまってガッカリさせる思いをさせるのはちょっと嫌だなと思ってね」
「………そうね」
しばらくこのまま平行線で進んで何事もなければいいんだけどな。そんなことを考え、沈みゆく夕日を眺めているとドアが開く音がする。
音の方を向くとそこにはノゾみんが立っていた。
「ノゾみん? サクちゃんの尾行は?」
「あぁ、大丈夫。今は写真部の部室にいる。他の部員もいるから私は一旦離席した。ちょうどよく、どうしても君たちの耳に入れておきたいことがあってね」
「耳に入れておきたいこと?」
「………近々、彼女を襲撃しようとする存在がいる」
「なに?」
「ノゾみん、詳しく」
「一週間前あたりのことだ。いつものように彼女を尾行していたら怪しい人間がいたんだ」
ノゾみんが語るにはこうだ。
サクちゃんを家の最寄駅から尾行している男がいたようだ。特徴が丸刈りのアロハシャツを着た男、どうもガラが悪い感じ、はっきりいってチンピラと言われてもおかしくないような感じだった。サクちゃんもその人には気付いていたみたいで急ぎ足になって家に帰ったようだ。特に彼女に近づいたわけでもなくただ家を確認したようだ。ノゾみんはその後、件の男を尾行したところサクちゃんの最寄駅から数駅先のところにある小さな事務所に入っているのが見えた。
「住所は―――」
ノゾみんはその場所を伝えると、ナっちゃんはすぐにパソコンに入力し、その住所の詳細を見る。
「………軒端商会?」
「なんだよ、ただの商会じゃないか? でも変だな。そんな商会にチンピラ風の男が出入りしたってことなんだろ?」
ココたんはそんなことを言い出した。それでナっちゃんも更に調べるとそれはただのカモフラージュであることがわかった。
「空蝉組」
極道の活動拠点場所であることが判明した。調べてみれば、関東最大の指定暴力団『紫式連合』の直系団体であることようだ。
「随分と規模の大きな話になってきたわね」
ココたんはパキポキと指を鳴らしながら少しワクワクしたようになる。いや、大の大人しかもヤクザを相手にすることに恐怖心はないのだろうか…?
更に調べると、空蝉組は紫式連合の中でも武闘派であるとか、裏取引されているもので稼いでいるという噂がある。
「裏取引で稼いでいるってのは気になるね……」
「少し飛躍し過ぎているかもしれないが、もし三浦さんの目に多額の金をかけられたとしたら?」
「………だとしても、誰がそれを払うの?」
「そうだね………確定情報じゃない推理でもいいか?」
「聞かせて」
「……三浦 ハヤトを目障りに思う存在」
「前に行った『誰かさん』のことと同義かしら?」
「えぇ…もっと具体的に言うなら、彼と同じ同業者かもしれない」
「政治家ってことね」
「三浦さんの左目は三浦 ハヤトにとって日に当たりたくないような情報を格納するための鍵だったのよね。だけど裏を返せばその目だけさえあればいいんだよ。」
「だけどその情報機構って場所もわからなくて仮に分かったとしても入るのにガードが何重にもなっていて入りにくいと言っていたわね」
これはナっちゃんの調査で判明したことだ。いわゆるダークウェブにパンドラの存在が確認できた。だが、場所については明確に記される情報は一切なかった。
「場所なんて三浦 ハヤトに吐かせればいいんじゃないかしら? 暴力でも自白剤でもなんでも使ってさ。空蝉組ってだいぶ手練れな連中らしいよ」
ノゾみんの推理にナっちゃんの意見が差し込まれる。
「最近、裏社会でも名を挙げているみたいだよ、空蝉組は。特にこの若頭、名護 ドリュウという男が現れてからは。28歳で組のナンバー2だ。どういうわけか顔が広いらしく、そういうことに手練れたチンピラやら何やらを片っ端から集めて超のつく武闘派の軍団を作り上げることに成功した」
「組長はどんななの?」
「空蝉 ヒグラシ。耄碌のジジイで名前だけ組長。ただどっしり座っているだけみたい。内部実情としては名護ががっぽり稼いで、その一部で食っているような死にかけみたいよ」
「じゃあもう実質ナンバー1みたいなものだね……写真とかは?」
「これが名護らしい」
写真を見るとボサボサの銀髪にミニレンズのサングラスをかけている。よく見ると頬に歪な筋が見える。まるで切り傷のような。それにしてもこの見た目は……
「中華マフィアに憧れているの?」
そんな風に見えてもおかしくなかった。
「だけど人脈がガチ」
とは言ってもなぁ……彼も手練れだったら恐ろしいな。
「一旦話をまとめよう。最近裏社会で名を馳せている空蝉組というヤクザは裏取引等のイリーガルな手段で金を稼いでいる。そんな組の一員と思われる男がサクちゃんを尾行していた。狙いは恐らく………彼女の左目だ。恐らく命とかそういうものはどうでもいいのかもしれない」
「なるほどね、わかった。一旦は三浦を襲うチンピラを片っ端から押さえ込めばいいんだな?」
「いや、さっきも言ったけど組員は名護が集めた手練れ集団。ちょっと武術を噛んだ女子高生が2人、あとは私か……が相手してもやられるのが関の山だと思う」
「なんだよ月夜野、随分と弱気だな」
「いや、ノゾみんの言っていることは合っているかも。もし………もし大勢で襲ってきたら果たして彼女を守りきることができるか…………五分五分とかそういう比重じゃないね」
「アンズまで弱気になりやがって」とココたんは呆れたように言うが私は黙っているしかなかった。
私は屋上のフェンスにもたれ、外を見る。そろそろ下校の時間か。生徒たちがちらほらと帰っている様子が見える。このまま何事もなく収まればいいんだけどね…。
だけど、そううまくことは進まなかった。激しいエンジン音が急に木霊する。見ると黒い車が3台。嫌な予感しかない。その車は勢いよく校舎の中に入り、その場に停止した。そして何人かの男がゾロゾロと下車する。
「あれって…!?」
私が声を出すと他の3人も私に続いてフェンス越しに下の様子を見る。
「あの男! 昨日三浦さんを尾行していた男だわ!」
丸刈りのアロハシャツを着た男をノゾみんは指さす。
「ってことは彼らは…………空蝉組!」
「放課後のだいぶ経った頃合いを狙ったのか………ノゾみん! ココたん!」
「私は写真部の部室に向かうわ」
「アタシはある程度足止めする」
「ココたんはヤバかったらすぐに撤退して。ノゾみんはサクちゃんと合流次第まずは私に連絡をお願い。そこから指示を出す」
「「了解」」
2人の声がハモる。そして各々目的地に向かう。
「ナっちゃんはとりあえずここで待機、例の件、目の紐づけ解除をお願い」
「アイアイサー!」
ナっちゃんのキーボードを叩くスピードが上がっているのが音から伝わる。私はとりあえずと、警察に電話をする。シンプルに難しく考えず、「校舎に不審者が来たことを伝える」。きっと教師陣もこれは連絡しているだろう。でも一応、しておいて無駄ではないと思う。
それと万が一に備えて、アレも用意しておくか……。私は自分の着ているブレザーの右ポケットに手を添える。
《16:34/同場所》
私のスマホから電話が入る。ノゾみんからだとわかりすぐに出る。
『こちら月夜野。三浦さんと一緒に行動している』
「ありがとう。ならそのまま屋上に連れて行ってくれる?」
『了解』
そして電話を切る。ナっちゃんは沈黙を続け作業の没頭している。
だが不穏の気配は未だ消えることはない。むしろ増してきている。パンッパンッと明らかに銃声と思われる音がしばし聞こえるのだ。そんな………ドンパチするレベルのこと………?
《16:39/同場所》
ドアが勢いよく開き、ノゾみんとサクちゃんが現れた。ノゾみんは屋上の鍵をかけ、誰も入れないようにした。
「おまたせ、水樹さん」
「ハァ……ハァ……アンちゃん……」
「ありがとう、ノゾみん。サクちゃん、さぁこっちに」
そう言うとサクちゃんは走って私の方へ行き、抱きしめる。その手は強く握られ震えている。
「………写真部の子が襲われて………古部さんが、血を流して………」
あの時、サクちゃんのアルバムを渡した彼女の顔が浮かぶ。
「私が襲撃者を倒して、無傷の子に応急処置の術を伝えて逃げたわ。彼女は右肩を撃たれたけど大丈夫、致命傷じゃない」
ノゾみんでもある程度相手できるということは、私やココたんでも多少対処はできるのではないだろうかとも考えるようになった。
それに今、「撃たれた」って………ということはさっきから響く銃声は本物ってことなんだなということが嫌でもわかる。
「良かった………」
遠くからサイレンの音が聞こえる。恐らく通報で駆け付けるパトカーの音だろう。後を追うように救急車のサイレン音も聞こえてきた。
「サクちゃん大丈夫。ここにいれば安心だから」
私は彼女を背中をトントンと優しく叩く。
「アンズ~。こっちもだいぶ進んできた。正直不安だったけどだいぶ大詰めを迎えているよ」
「ナイス、ナっちゃん。仕上げも頼むよ」
「あいよ」
その直後だ。ドアが蹴破られる。ドアは無残にバタンと音を立てて倒れる。中央には相当の圧力がかけられて凹んでいる無残な様が伺える。
「あぁ~。やっと見つけたよ……………三浦 サクヤ」
気だるげな声で言うその男の顔はついさっき見た顔だった。
「名護……ドリュウ!」
「ありゃ? オレの名前もうご存じで?」
飄々としていて隙もたくさんある。本当にこの男が手練れたナンバー2なのか?
そう考えていると、ノゾみんが即座に低姿勢で駆け付け、名護目掛け殴りかける。彼女のアッパーは名護がわずかに反り返したことで空を切る。名護はそのまま殴った右腕を片手で掴む
「なるほど、利き手は右ね」
そう言うと、掴んでないもう片方の手で、腰に備えていたサバイバルナイフを取り出し、彼女の二の腕をそのまま突き刺す。刺した勢いで出た血はそのまま名護の顔にかかる。そしてそのまま引っこ抜く。刺し口からがドロドロと血が溢れる。
「ッ!!」
ノゾみんの手を放すと、彼女はすぐに後ろへ引き、左手で傷口を庇う。
「ノゾみん!」
「大丈夫。だいぶピンチだけど……なんとか」
「フンッ!」
すると名護は先ほどのナイフをノゾみん目掛け投げる。その矛先は彼女の右腿をそのままえぐる。これによりノゾみんは立つことができなくなってしまった。
「痛っ…!」
状況は最悪。私はその場でスマホを取り出して、連絡をしようと――――――バン。
銃声が木霊する。名護は左手に拳銃一丁構えていた。銃口からは白い煙が出ているのが見える。
そして私の左手には鋭い熱と痛みを感じる。よく見るとスマホは画面に穴が開き、私の左手も弾丸が入ったのか掌から血が溢れている。
「あぁ~、安心してくれ。女用に手加減してやってんのよ。ましてアンタらはまだ学生さんだからな。これでも優しくしてやってんだぜ、女に生まれたことに感謝しな」
名護は今まで定点にいたのにようやくにして動き出した。そしてノゾみんの傍に寄る。
「私たちを殺す気なの…?」
「だ~か~ら~。アンタらは女子高生だからサービスしてやってんのよッ!」
「あぁー!ッツ!!!」
痛みに悶え倒れこんだ。そして彼女の足元に血の池が少しずつ広がっていることがわかる。
「このナイフは商品を手配するためのものだったんだがよ。まぁ切れ味のテストとかしてないけどどうにかなるか。いやぁ、そもそも切れ味というより刺し味か」
ニヤニヤと不敵な笑みを浮かべながら、血の滲んだ刃先をハンカチで丁重に拭いていた。
「アンちゃん………」
「大丈夫だよ、サクちゃん。……………アンタ、うちのサクちゃんに何の用なのかな?」
「あぁ? んなこと………お前らも知ってんだろ?」
私が試しに右手で自分の左目を差すと、名護は笑みを浮かべ頷く。これで曖昧だった「かもしれない」が現実のものであることを知らしめられた。ということは本当にサクちゃんの左目は………。
「だったら尚のこと、彼女には指一本触れさせられないね」
「ひゅ~、アツアツのお似合いカップルだね~。アンタが王子様で後ろにいるのがお姫さまってトコかな?」
ナイフを構える名護。私の左手はほぼ使い物にならない。だが運よく利き手ではないからまだ劣勢とは言い切れない。それに名護は利き手を封じることやナイフ投擲の正射必中の様を見ると、迂闊に間合いを詰めることができない。私が近づけば利き手を潰してそのままサクちゃんに近づかれる。逆に何もしなければこのまま投擲して………いやこれ以上考えるのもキリがない。きっと相手もそこを考えて何もしてこないのか。
静寂の中ドンドンと近づくサイレンの音。むしろこの睨み合いで時間を稼ぐのが――――
「このまま時が過ぎてサツが来ればいいと思ってんだろ? え?」
「ッ!」
「残念、俺はセッカチさんなんでね!」
そう言って名護はナイフを投げる。私はどうすれば……それは咄嗟のことだった。私は足を後ろに、そのままサクちゃんの足を払った。サクちゃんは驚のあまり、そのまま転ぶ。ナイフは彼女の腕のあたりを掠める。恐らく、何もしてなかったらノゾみんのように足を刺されたかもしれない。それで身動きが取れないようにすればいいのだから。
とりあえずナイフの攻撃はこれでおしまいだ………だが、銃があるはずだ。
「あ~ぁ。外しちまったよ。回収すンのメンドくせ~」
悔しがっているがどこか余裕ぶっているようだ。
「………これで終わりじゃないでしょ?」
「あぁ?」
「私の左手を撃った銃があるじゃない。むしろそっちがメインじゃないのかな?」
「あぁ、まぁね」
すかさず名護は銃を出す。そして一発発砲。方向は転んでまだ立ち上がっていないサクちゃん。庇う隙なんて許されなかった。弾丸はサクちゃんの腿を貫く。
「ッツ!」
「しまっ――――名護!!!!!!」
私は冷静さを完全に失ってしまった。銃を持っている名護に向かって飛びかかろうと一歩踏み出した瞬間。
「アンズ!!」
その声の主はナっちゃんだった。
「何が起きたかは見てないがわかっている。だけど今はクールであれ! 相手の思う壺だ」
その言葉で私はハッとし冷静さを取り戻す。名護は舌打ちをする。ナっちゃんの言う通りだ、このまま無策にツッコめばノゾみんの二の舞だ。私は少なからずサクちゃんだけでなくナっちゃんも守らないといけないんだ。そんな私がこんなところで終わってはダメだ。
「ありがとう、ナっちゃん………サクちゃん、無理に立たなくていいよ」
そう言って、私はしゃがみ込んでサクちゃんにハンカチを渡す。それを受け取ったサクちゃんはそのまま銃創を押さえる。
私は再び名護の方を睨む。体勢は変わらず、銃口をこちらに向けたまま。
「………アンズ」
小声でナっちゃんが声を掛ける。私は振り向こうとすると続けてこう言った。
「振り向かないでそのまま話を聞いて。恐らく奴の持っている銃は拳銃だろう。そうすると弾数は6発が上限なのが普通だ………」
私は頷く。彼女はこう言いたいのか。少なくとも名護は今ここで2発撃っている。もしここに来るまでに発砲していたら更に減るが今手元にある拳銃には4発以内ということになるわけだ。さすがにそんな期待も無いから4発ある想定で考えよう。
そんなことを考えていると名護は地を蹴り駆ける。銃を持ったままだ。私には予測できなかった。すかさず立ち上がり右腕だけでココたんから教わった武術の構えを取ると、またも奴は不敵な笑みを浮かべる。
想定外のことが起きる。名護は持っていた銃を振り上げた。空に向かって発砲? そんなバカなことをするはずがない。これは殴りかかっている!? 気付いた時には時すでに遅し。そのまま私の後ろにつき、後頭部を銃の持ち手部分で殴るのだった。その鈍い衝撃に足元が崩れる。まずいこのままじゃサクちゃんが―――そう思い微力で振り返り、右手を伸ばすといつの間にか名護はサクちゃんを通り過ぎていた。理解できなかった。向かった先はナっちゃんの方だった。
「腕を止めな火釜 ナツキ」
銃口はナっちゃんの頭を向けていた。ナっちゃんはすかさず腕をピタッと止める。
「つくづく俺はついているなと思うよ、本当に。実はお前にも用があったんだ。別件でね」
次で最後です。
事態は急変、突然の襲撃者はヤクザだった。しかも手練れのナンバー2に彼女たちは抗えるのか。
まぁこれ過去編だから少なからず水樹さんと三浦さんは生きているわけで、死ぬってことはないから安心だね。
ちなみに情報。名護の名前は上記通り名護 ドリュウとなりましたが、名護弩 リュウという候補もありました(むしろ下書きノートはこっちだった)。
でも分け方的にこっちがいいかなと思っていました。彼の漢字表記は名護 弩龍です。イカついね。




