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42人の教室  作者: 夏空 新
第3章

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35/88

18:混沌の委員会決め 後編

前回のあらすじ。委員会決めをすることになった僕ら。そして現在の状況はと言えばこんなだ。

・学級委員長(1)   結城

・学級副委員長(1)  湊

・書記(1)      佐藤

・教師担当-国語(2)  森園・一条

・教師担当-数学(2)  狗神・矢吹

・教師担当-英語(2)  日笠・細谷

・教師担当-社会(2)  星・初瀬川

・教師担当-理科(2)  霧雨・浅沼

・試験作成(3)

・確認係(1)     桐山

・副確認係(2)

・寮長(1)

・副寮長(2)

・特別教室鍵管理(3)

・植物園管理(2)

・体育委員(2)

・図書委員(2)

・保健委員(3)

・全体補佐(3)

・掃除(5)

 約半分といったところだ。

「さてと次は試験作成だね」

「試験作成は定期的に開催する試験を君たちに作らせるって感じだね」

 すごいな授業もテストも僕らに委ねるのか。普通じゃできなさそうなことばかりやらせるんだな。

「だそうです。それを踏まえたうえで希望者は挙手!」

「ここは私が向いていそうですね。他でやってみたいところもあったのですが」

 安河内さんが挙手した。確かに彼女はナンバーワンの鳥籠学園にいるからそんな彼女が試験作成やるのは向いて………

「待って、安河内さんで大丈夫?」

 僕は思わず静止してしまった。

「ん? 何が?」

「いや、君って鳥籠[一縷]学園の人じゃん。鳥籠学園の中でもナンバーワンの彼女が本気出して100点取らせない試験問題作るんじゃないかって…」

「佐藤君だっけ? それは偏見が過ぎるよ。確かに本気を出して()()()()()()けど自重して加減はするわ。でもまぁ佐藤君の言う通り100点を取らせる試験は作ってみたいわね…」

「おい委員長、こいつバケモンだぞ」

 湊君も焦りを見せてきた。

「え~、私はアリだと思うよ。それにこの係は3人だから残り2人に彼女のストッパーやってもらえばいいんじゃないかな?」

「そんな奴がいるのか? 高学歴サイコパスだぞ」

「湊君だったわね。高学歴サイコパスとは失礼だぞ」

「はいはい、これ以上の喧嘩はそこまでにして。とりあえず1人目は安河内さんで決定としてあと2人だ。試験作成したい人、安河内さんの暴走を止めたい人大歓迎だよ。私も難しいテストは怖いななんて思ったりして…」

「まだ会って間もないのこの警戒、尚のことわからせたい」

 結城さんも安河内さんの危険性を少しは認識しているようだ。その一方で安河内さんは殺意の目に満ちている。

「この場は自称万能少女の私も希望してみようか」

 挙手したのは西門さんだった。確か彼女は見ただけでなんでもこなせる器用な人だったはず。

「残念ながら安河内程の賢さは持ち合わせていませんがね、でも作成のノウハウくらいはネットに転がっている情報さえあればお茶の子さいさいなので貢献は出来ますよ」

「……呼び捨てなんですけど」

 安河内さんは呼び捨てで呼ばれることを気にしていた。

「おっと失敬。呼び捨てはお気に召さなかったかい? 安河内()()?」

「え、えぇ! 話すことだって今この瞬間が初めての貴女にどうして呼び捨てで呼ばれなきゃいけないのよ!?」

「そうかいそうかい、これから仲良くしていけばいいじゃないか」

「委員長! 私こんな卑屈チビと一緒に組むのはごめんです!」

「短気に怒るなよヒステリック高学歴」

「こらこら喧嘩はやめてよ、女同士の喧嘩は果て無くキリのない修羅場だよ。2人ともストップストップ」

「だってよインテリお嬢さん?」

「………殺す」

 空気がどんよりとして最悪な雰囲気になってしまった。

「………あの、私も試験作成希望していいですか?」

 突如として綾部さんが挙手した。

「大丈夫なの? こんなにも険悪そうな2人の間を取り持つことになるけど」

「私ならこの2人をなんとか出来る気がしたので。なんかあったら殺します。御することについては任せてください…」

 目がガチだった。どこから湧いてくるんだその自信は。

「そ、そっかー! じゃあもうこの3人で試験作成係に決定にしようか!」

 結城さん、もう顔が引き攣っているよ…初日から早々に修羅場の現場を見せられて胃がキリキリしていそうだ。

「さ、さてと………次行くか」

「しっかりしろよ委員長様。まだ半分くらいなんだからよ」

 湊君が横からフォローした。

「そうね、切り替えていこうあとで向こうにはフォローを入れておかないとね」

「その意気だ委員長様」

「って湊君言っているけど君だって安河内さんのことひどくいったきっかけでもあるから忘れちゃだめだよ」

「うっせーチンカス黙っていろ」

「最近の御曹司って大層品のない口調なんだね………程度が知れる」

「あ? んだと?」

「所詮金だけの成り上がりのイキリ野郎だなって思っただけさ」

「表出ろやド底辺。こちとら金だけでもの言わせてんじゃないぞ」

「はいはい湊君と佐藤君も喧嘩しないの。まったくこのクラスは血気盛んな人が多いわね………委員長やっていけるかしら…」

 うっかり喧嘩を売ってしまい結城さんに迷惑をかけてしまった。

「コホン、では次の委員会だけど副確認係2名だね。これは副職でもあるからメインである桐山さんに指名してもらう形にしようかな」

「あら、私に選択肢を委ねるのね」

「私が副委員長をシンくんにしたみたいに桐山さんにも選択権を与えてもいいかなと思ってね」

「そうね。まぁワタクシ自身もそうであってほしいと思ってね」

「というと?」

「もう候補がいるのよ、ワタクシの中でね」

「おっ、早いねぇ、で誰なの?」

「ミスター比々乃とミス仲丸よ」

「比々乃君と仲丸さんか………ちなみになんで?」

「う~んそうね………女王の勘とでも言っておこうかしら」

「…………そう。2人は問題ないかな?」

「うん! ソラくんは異論無し!」

「ヒヒッ………女王様直々のご指名ならありがたく承りましょう」

「これは早い、副確認係は比々乃君と仲丸さんに決定!」

 僕は2人の名前を書いた。

「この調子でどんどん決めていくよー! 次は寮長。先生、解説をお願いします」

「寮長は、学園でのリーダーが学級委員長なのに対して寮生活でのリーダーが寮長ね。寮生活上で連絡事項があるときに寮長が一人一人の部屋を訪ねて報告したりする係だよー。他にもやってもらうことがあるけど今パッと思いつく仕事はそんなものかな」

「だそうよ。それを踏まえたうえで希望する人はいるかな?」

「はいはーい」

 水樹さんが挙手した。それ以外で挙手した人はいない。

「水樹さん以外希望はいないかなぁ? じゃあ決定でいいね。そうと決まったら早速だけど副寮長を彼女に決めてもらおう」

「この瞬間を待っていた!」

 ウキウキで指を鳴らしている水樹さんであった。さてはこの人、副職は選べることを良いことに自分の好きな女子を指名する気か、策士だな。

「えーっとね、まず欠かせないのはサクヤちゃんでしょ。あと1人で且つまだどの係にもなっていない人でしょ~~~~~~~~~~~~木戸ちゃんかな」

「えっ、私ですか?」

「うん! 木戸ちゃん可愛いし優しそうだから私気に入っちゃったんだよね~」

「そう言われると嬉しいし、断りにくいわね」

「無理強いしてるようだったら別の子に変えるから安心して」

「ううん、そう思ってないからお言葉に甘えて副寮長になるわ」

「サクヤちゃんは?」

「アンズちゃんちょっと暴走しすぎ…まぁ私しかストッパーは務まらないし、うん、やるよ」

 確かに三浦さんは水樹さんのストッパーとしてはおあつらえ向きなのかもしれない。

「凄いハイスピードで決まった………もっとこう仲良く決めてほしいものだね」

 ため息交じりで結城さんはそう言った。いや、さっきの件は本当に申し訳なかった。なんかついうっかりしていた。

「副寮長は三浦さんと木戸さんに決まったところで次は………特別教室鍵管理、これは文字通り特別教室の鍵の管理をする感じかな?」

「うん、そうだね。ルーティンとしては毎朝保健室の開錠をお願いしようかなと思うけど他にも理科室とかの教室の開錠施錠を任せるってのが主な仕事内容だね」

「結構やることも多いし、人数も多めだね。さっきの先生の話も踏まえてやりたい人!」

 すぐに挙手したのは2人。篠原さんと宗像君だった。それから周りの様子を見て不二さんが手を挙げる。

「他にいないかな? この3人で決定にするよ~?」

 以降手を挙げる人はいなくて篠原さん、宗像君、不二さんの3名に決まった。篠原さんと宗像君は積極的にこの係を希望していたけどどうしてなんだろう。後で聞いてみてもいいかもしれない。

「次、植物園管理。1階にある植物園の花のお世話とかする感じかな?」

「さすが結城さん、少しずつわかってきたみたいだね」

「先生からも正解の太鼓判を押されたところで希望者! とりあえず羽入さんあたりは手を挙げそう」

「では挙げなくてもいいですわね?」

「なんといきなりあと1人になったことを踏まえて希望者!」

「は、はいです…」

「お、来栖さん。他にいないかな」

 誰も手を挙げることはなく、植物園管理は羽入さんと来栖さんに決まった。

「ポンポンと決まっていいね、喧嘩もなんもない平和な状態が続いているね! 私これ以上この空気に耐えるの限界になってきたよー!」

「結城さん、これ以上は嫌味っぽく聞こえるから言葉は選んだ方がいいよ」

 さすがに僕の方から言ってしまった。主犯とはいえ見過ごせなかった。

「おっと失礼、じゃあ次体育委員は…………運動好き男子が確か2名まだ手を挙げてなかったね」

「「おう!」」

 秋月君と宮野君の応答は見事にハモった。

「なんや、秋月も同じことを考えとったんやな」

「俺としては宮野君と一緒になることをイメージしてたッス」

「は、よぉ言うわ」

「はいじゃあ2人で決定ね」

 多分委員会決め史上最速だったかもしれない。

「次、図し……」

「俺以外いねェだろが」

 仮屋君が秒で手を挙げた。まぁ、そうでしょうな。

「あと1人になった」

 会話のテンポが計り知れないほど良い。

「んじゃ俺、どーせそこの片目君がチャチャっと仕事やってくれそうだしね」

「あ? ちゃんと手伝えやボケ」

「はいはい威勢のいいこと」

「ンだとテメェ死にてェのか?」

「そういうテメェこそ相手選んでの言葉か?」

「選んだ上で言ってンだよ、なめてんのか殺すぞ?」

「本を一冊でも読んでんならもっとまともな言葉で煽れやボキャ貧野郎」

「怒髪衝天。テメェを殺す。■■が、表出ろ」

「もう喧嘩は勘弁してくださいお願いします!!!」

 結城さん史上最も声が出た瞬間であった。ここまでくると彼女が可哀そうに思えてきた。自分のせいでもあるけど。

「天海君も仕事を押し付けるなら私は君が図書委員になることに全力で反対するわ」

「はいはい、わーってるよ。ちゃんと仕事はしますよっと」

「委員長。この阿呆が仕事しなかったら屠殺しておくんで」

「仮屋君も怖い言葉使わないの。全く困った人たちだわ。とりあえず仮屋君と天海君で決定ね」

「はぁー………平和路線が続いていたのに……さて気を取り直して、次は保健委員」

「ゲホッゲホッ。ぼくやります」

 剣君が手を挙げた。

「オトがやるならヤサもやるやる~」

 それに続いて若槻さんが手を挙げた。

「なんで剣君が挙手したら君も挙手するの?」

 ふと疑問に思い僕は彼女に聞いてみた。

「え~だって、体弱そうだから介抱できる人間の一人二人いた方がいいかなって。まぁ~ヤサは基本的に寝ているんですけどね~」

「なるほどね…」

 そんなので介抱役が務まるのか?

「あ~、それに問題ないよ私が手を挙げたことでもう1人手を挙げるからさ」

「それを加味してたんだねヤサカちゃんは…」

 前田さんがため息を吐く。

「はい委員長。私も立候補します」

「よし、一気に3人決まったけど他にはいないかな?……………いないようならこれで決定!」

 しかし若槻さんの考えがいまだに理解できないなぁ。計算高いようなそうでないようなのラインを反復横跳びしているようだ。

「次、全体補佐。これはなんだろう…?」

「全体補佐は他委員会の誰かが何かしらの事由でその活動ができなくなった時の予備役だね、例年通りだと出番は全くなかったからそんなに気張るものでもないよ」

「だとのこと。はい、やりたい人!」

 ここですぐに手を挙げたのは松本さん、相馬君、鹿島君、因幡君、榎並君だった。

「おっと、これは被りまくりだね」

「じゃあ俺氏は掃除の方に行きます」

 因幡君は自ら別の係に移動した。僕はそれを聞いて先に掃除係のところに因幡君の名前を書いた。

「他で辞退する人はいるかな?」

 誰も何も言わなかった。

「よーし、そうとなったら私とじゃんけん大会だ!じゃあ希望者起立!」

 結城さんの声に合わせて4人が立つ。

「私とじゃんけんをして勝った人先着3人が全体補佐です。ルールは以上。早速行くよー!じゃんけん……………ポン!」

 結城さんが出した手はグー。周りを見ると松本さんはパーで他はグーやチョキ。松本さんの一人勝ちだった。

「フッ。結城さんがグーを出すと推測をしていたが見事に的中したようだな」

「まず1人目は松本さんね。それじゃあ第2ラウンド! じゃんけん……………ポン!」

 結城さんが出した手はパー。相馬君と鹿島君はチョキを出して、榎並君だけパーだった。

「お、決まったね。相馬君と鹿島君が勝ったから全体補佐は」

「………俺の負けか。しょうがない」

「これでまだどこにも入っていない5人だから………えっと」

「書風君、隠居君、榎並君、因幡君、茅ヶ崎さんですね、結城さん」

「サンキュー、佐藤君。その5人は掃除係になるけどいいかな?」

 異を唱える者はいなかった。

「よし、これで委員会は全員決まったね。おしまい!」

 結果として後半が混沌としていた気がする。何度も言っているが原因が僕にもあるから堂々と言うのも野暮ではあるが。

試験作成のバチバチな雰囲気を作るのはいや~もう気持ちいい。険悪な空気はその時にしか出せない輝きを出せると思う。それはどんなに濁っていても。

ここに限らずそのバチバチはどこかで大きな火になりかねないですけどね

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