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42人の教室  作者: 夏空 新
第3章

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32/86

16:イントロダクション

《4月3日/7:41/321号室》

 僕はこの時間にアラームの音と共に目が覚める。

「ふぁ………朝か………」

 窓の外を見ると確かに明るいが前まで住んでいた場所とは違って心もとない明るさだ。あまり朝だと思えない。

「今日からいよいよゼミが始まるのか」

 その言葉には期待も不安も込々だった。

「とりあえず朝食を食べに行くか」

 僕は身支度を整え、朝食会場に向かおうと動き出した。


《7:48/321号室》

 部屋を出ると松本さんが扉の前で立っていた。

「おはよう佐藤君」

「おはよう松本さん」

「今日は勘が冴えているみたいだ。君が出る時間がこのあたりだろうと推測していたが見事的中したようだ」

「おぉ~」

「もっといいリアクションをしてもいいんだぞ?」

「いや…僕にはこれが精一杯で」

「そうか。とりあえず朝食を食べに向かおうか」

「そうだね」

 そう言って僕らは朝食会場に赴いた。


《7:51/朝食会場》

 本日の朝食、僕のは納豆とご飯、松本さんはいちごジャムの乗った食パン1斤だった。

「「それ昼まで持つの?」」

 僕と彼女の思っていることが見事にハモった。

「僕は持つと思うよ、松本さんは?」

「私も問題ないわ」

「そうなんだね…」

 とまぁそんなこんなで僕らは食事をするのだった。

 ここでふと周りを見渡すとわずかな変化に気付いた。最初の頃に比べ、朝食会場がわいわいがやがやと盛り上がっている。僕ら以外にも親交を深めている人たちが増えているということかと考える。今思えば、昨日一昨日はまだ不慣れな環境でもあったのか静かに感じた。だからか、僕は今までここの雰囲気を表現しなかった理由はこの違いからだったんだと気づく。今だったら各テーブルの状況もそれなりに語れる。例えば前田さんは若槻さんにご飯を食べさせている。別の方を見れば結城さんと湊君が談笑しながら朝食を食べている。

 そんなことを考えているといつの間にか茶碗は空になっている。

「ごちそうさまでした」

「佐藤君、食べるのが早いわね。ちゃんと嚙まないとダメだぞ?

「はいはい」

 そう言って僕は食器を返却した。


《8:20/寮前》

 それから僕はのんびりと朝食を食べる松本さんを待った。8時頃に食べ終えた松本さんと共に部屋まで戻り各自準備をする。そして寮前に僕と彼女はいた。

「おまたせしたね、待ったかい?」

 松本さんは僕より後に到着した。

「いやそんなに待ってないさ。さて、行きますか」

「えぇ、今日からゼミがスタートするのね」

「松本さんはこのゼミについてどう思っている?」

「どう思っている、か………そうね、期待5割不安5割といったところかしら」

「なるほど、おおよそ僕と一緒だね」

「そうかい、それは奇遇ね」

 そんな会話をしながら僕らは学校へ、そして教室へと向かったのだった。


《8:25/3年42組前》

 その教室は「教室は3年42組だよ!」と書かれた張り紙を辿り、玄関を通ってすぐの階段を上った横にあった。こんな露骨でわかりやすい教室があるなんて誰が想像できるか………いや、できない。なんて反語を頭で唱えながら僕らは教室に入る。

 黒板を見ると座席は「フェリーの時と一緒」と書いてあり、横には明らか使いまわしの座席表が貼ってあった。僕の席は前の方かと思い指定された席に着く。

 すでに登校している生徒もいればまだ登校していない生徒もいてまばらだ。


《8:40/3年42組》

 キーンコーンカーンコーン。教室内にチャイムの音が響き渡る。

「おはよう! ゼミ生諸君!」

 入ってきたのは天堂先生だった。黒いスーツをビシッと着て、長髪の黒髪を揺らしながら堂々と入場する。

「そっか、このクラスには学級委員長的な存在がまだいないんだったな。そうだなぁ………今日は4月2日だから………なんて考えるのも面倒だし僕が挨拶するね。全員起立!」

 言われるがまま僕らは先生の声に続いて起立する。

「礼!」

『おはようございます』

 全員で打ち合わせした覚えもないのに声が見事に揃った。

「うんうん、いい挨拶だね。それじゃ着席」

 そして全員が着席する。

「じゃあ改めて、ようこそ42-死人-ゼミへ。僕はこのゼミ担当になった天堂です。1年間よろしくね…ってこの挨拶ももう聞き飽きたかな。そういえば、昨日僕は君たちにメールを1通送ったと思うけど確認はしてくれたかな?」

「先生」

 後ろの方から声が聞こえる。

「はい、結城さん」

 その声の主は結城さんだった。

「あの動画を確かに見たのですが少しわからないところがありました。質問してもいいですか?」

「いいですよ」

「今私たちはそれぞれにゼミ内で達成するべき課題というものがあります。それを達成したときは誰に報告すればいいのですか?」

「なるほど、確かにその点については語っていなかったな。失敬失敬。答えを言うとこのゼミの終わりに成果報告の場を設けます。そこで僕と面談をして出来たかどうかを証明しながら報告すればいいのです」

 僕の場合、与えられたミッションは【自分を知る】。成果報告では「僕の正体は…」と切り出せばいいのか?と首を傾げながら話を聞いていた。

「私の課題は………少し難しいですが頑張ってみます」

「今うっかり課題の内容を言いそうになったけどこらえたね、偉いぞ~。課題の内容は人によってアキレス腱になるからみんなも気を付けてね」

 僕の課題は恐らくアキレス腱になるということはなさそうだが、少し怖いから人前でも伏せておこうかなとは思っている。

「他に課題について質問あるかな?」

 挙手する人はいなかった。

「OK。まぁわかんないことはいつでもこの天堂までね。さてと、ここからは君たちの出番だよ」

 そう言うと天堂先生は黒板に書かれていた文字を消し、張り紙をはがす。次に何やら文字を書き始めた。黒板にはある四字熟語が書かれた。


 自己紹介


「ということで自己紹介です! 1番の秋月君から番号順に自己紹介をしてください。まず名乗ってから"自分"をアピールする一言を言おう! 趣味でも好きなことでもこのゼミの意気込みでもなんでもOKだからね。とは言ってもいきなりは難しいと思うから好きなように挨拶していいよ。よし! 早速秋月さん、起立をしてみんなの方に向かって挨拶をしようか!」

「はいッス!」

 そう言って左の先頭に座っている秋月君が起立した。

「初めまして、俺は秋月 マモルっス。趣味は運動することっス。時間があればランニングとかしているんで、もし良ければ一緒に走りましょう!」

 そう言って

「うんうん、いい自己紹介だ、いいぞ~。じゃあここからは一人ひとり順々にやっていこう。前の人が座ったなーと思ったら立つ、テンポよくね。よし、じゃあ次浅沼さん」

 そうして順々に挨拶をして僕はついに全員の顔と名前を知ることになった。各人がどんな挨拶をしたかについてはこの場では省くことにして、別途紹介することにしよう。今この場でやっても分量が多いからね。


《8:58/同場所》

「さて、全員の自己紹介が終わったな。みんな、今ここにいる42人は選ばれた精鋭でもあり大切な仲間だ。仲良くするんだぞ~」

 そう言いながら自己紹介の文字を消していった。

「さて今日のやるべきことその2。委員会決めだ!」

 先生は黒板に「委員会決め」と書き連ねた。委員会決めか………そんなものを決める意味はあるのだろうか………。頭の上にはハテナマークが何個も浮かぶ。

ようやく4月3日、全員集合です。


次回は各人の自己紹介、少しでも彼彼女の個性が伝われば面白いなと思っています。

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