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42人の教室  作者: 夏空 新
第2章

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28/86

13:4月2日 (4)

《13:42/321号室》

 浅沼君・霧雨さん・松本さんと別れてから昼食を摂り、部屋で一人ベットに横たわっていた。ここで僕はあることに気付く。

「まだ23人と会っていないのかぁ」

 僕は船に乗ってこの島に来て、いろいろな所を出歩いてはいろいろな人と挨拶を交わしてきたが僕を除くと41人いて少なくとも顔見知りになったのは18人。半分も満たしていないなと思った。確かにこの3日で一気に全員と知り合いになるのは不可能に近いことはわかっているが、もう少し顔見知りを作っておきたいなと思ってしまった。

「こういう時に()()()()()って役立つのでは?」

 そう思い僕はベットから立ち上がって早速松本さんのもとへ向かった。


《13:43/302号室前》

 僕は躊躇なく部屋のインターホンを押した。ピンポーンと中で響くのが外からも伝わってくる。しばらくするとドアが半開きになって松本さんの顔が見える。

「佐藤君、申し訳ない。今ちょうど着替え中でなあと数分待ってくれないか?」

「それは大変失礼しました!」

 僕は力いっぱいの謝罪をして待つことにした。


《13:46/同場所》

 ドアがガチャと開き、私服姿の松本さんが現れた。

「ごめん松本さん、タイミングが悪かったね」

「いや構わないよ、私もあれから色々と動いていたからこんな時間になってしまったよ」

「そうなんだね」

「それで私に用があったのだろ? なんだろうか」

「その件についてなんだけどさ………ちょっと君の推測の力をお借りしたいの」

「ほう、私のこの推測を使って佐藤君はまだ会ったことのない学友探しの旅に出たいんだね」

「まだ何も言ってないんだけど…」

「でも実際は?」

「正解」

「ならそうと言いたまえ。くどいぞ」

「ご、ごめん…」

「それはそうと君の依頼にはもちろん私の力で良ければ助力しようじゃないか」

「助かるよ」

「そうね………………………………()()()()()()、そういやこの辺に()()があったわ、そこも候補になるわ。あとは…………………………()()()()4()()とかどうだろう」

 随分と間があったが候補が数件挙がった。

「なんで最後はそんなピンポイントな4階を?」

「なんとなくだ。もしだったら5()()もおすすめするぞ」

「寮の裏道と公園とこの寮の4階および5階ね。ありがとう!」

「しかし佐藤君、私は占い師ではないわ。必ずしも君の望み通りの結果になるとは言い切れない」

「それでも僕は松本さんの推測をそれなりに信用しているからね」

「そうかい、それは少し照れる話だな」

 よく見ると松本さんの頬が少し赤らめているのがわかった。

「じゃあ、僕は言われた通りの場所に行くよ」

「良い結果を、夕ご飯の時にでも土産話に聞いてあげるわ」

「ありがとう。それじゃ」

 そう言って僕はその場を去った。


《13:52/寮4階》

 僕はエレベーターで移動して4階まで来た。ちなみに5階には何の出会いもなかった。

「やっぱ推測は推測か」

 そう思っていながら周りを見渡すと、初めて会う少女が一人ドア前に立っているのが目に入る。

「いやいや。さすが松本さん…」

 僕は彼女の才能に感心しながら少女のもとへ近づくことにした。

「あ、どうも」

 僕は少女に声をかけるとパッとこっちを振り向いた。僕と同じくらいの身長でボブカットの黒髪を揺らし、こめかみのあたりにヘアピンをつけていた。

「えっと……どうも? ここのフロアの人?」

「あっ、えーっと……」

 挨拶したくてここまでわざわざ来ました!なんて天真爛漫なこと言えるはずもなく言い淀む。

「いろいろとあってここに用があってきたんだ」

「そうなんだー」

 苦し紛れの言い訳だがなんとなく話は通った。

「僕は佐藤 タケル。君は?」

「私は前田 アズサ。よろしくね、タケル君」

 いきなり下の名前で呼ばれることに驚きながら話を進めることにした。

「前田さんはここで何をしていたの? 部屋に戻ろうとしたとか?」

「いいえ、ここは私の部屋じゃないわ。ちょっとめんどくさい子のお部屋なの」

「めんどくさい?」

「さっきからインターホン押しているんだけどまったく出てくる気配がなくてね」

「ちなみに押してからどれくらい経った?」

「5分くらいかな? すぐに出てこないのよ」

「そっかー。状況としては前田さんはここの部屋の人が出てくるの待っているって感じかね」

「えぇそうよ」

 するとガチャと音が鳴り、ゆっくりとドアノブが動くのが視認できる。そして重々しくドアが開いた。

「誰ですかぁ~?」

 ドアから出てきたのは髪の毛をヘアバンドでまとめて皺くちゃのブレザーを着ている少女。とても眠たそうで目があまり開いていないように見える。目を掻きながら欠伸をしながら気だるげに登場した。

「やっと起きたね、ヤサカちゃん」

「ヤサカちゃん?」

 おそらく目の前の彼女の名前だろうが、聞き返した。

「そう。彼女は若槻 ヤサカちゃん。いつもこんなで眠たそうなんだよね」

「実際ねみぃよ……アズは急かし過ぎぃ……」

「今日なんか食べた?」

「んぁ~? え~っと……………無!」

「はぁ………そんなことだろうと思ったわ。ほらパン買ってきたからおなかに入れておきなさい」

「おぉ~! アズは女神!……………そういやアズ。そこにいる彼は誰ぇ?」

「僕は佐藤 タケル。よろしくね、若槻さん」

「よろよろ~」

「前田さんと若槻さんは仲良いように見えるけど前から付き合いがあるとか?」

「ヤサカちゃんとは船で知り合ったの。まぁ仲良いというか、私が彼女の面倒を見ないとなぁって勝手に義務感抱いているだけよ」

「いや~。アズには救われているよ………パンうめぇ~」

「もうヤサカちゃん。ほっぺにパンがついているわよ」

 そう言って前田さんはポケットから取り出したハンカチで若槻さんの頬を拭いた。

「んみゃ~、助かる」

「なるほどね……じゃあ僕はこれで失礼するよ。お二人はごゆっくり」

「あ、うん………このフロアに用があったんじゃなかったかしら」

 そんな前田さんの言葉は聞かないふりをした。


《14:05/寮入り口》

 幸先よく挨拶できた僕は晴れやかな気持ちになりながら残りの箇所である寮の裏道と公園を目指すことにした。

前田さんはとにもかくにも面倒見のいい女の子です。この先書くかわかりませんので裏設定的な話を触れると、彼女には1人の弟と2人の妹がいて一番上のお姉ちゃんのため面倒見がいいのかここから由来しています。


若槻さんの眠たがりはなんでだろうね。ちなみにこれでも夜もしっかり寝ています。ほとんど寝ている子です。羨ましい…

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