ハジマリノチトドラゴン
「テレポート」
白く周りが光る。瞬間、転送先にワープできた。ふぅ、これでゆっくりとできるってうぎゃぁ!なになに?
背中に熱いものが触れた。腰には手が巻かれてる。そして、肩のところには女の子の顔が近い。ヒーナちゃんが抱きついてきたのだ。それも、強烈に。
「ヒ、ヒーナちゃん!?」
「すごい、すごいです!!」
「な、何が?」
「テレポートですよ。あれを使える人は実はあまりいないんですよ!」
え?そうなの?我ながらすごいことをしたらしい。他にも魔法が使えるのかな?しかし、ヒーナちゃんいつまで抱きついてるの?結構照れるんだけど。
と、そのとき足音に気がついた。ヒーナちゃんを後ろに引かせる。
「こんなところに、異世界人がいるとはね~」
正体はさっき演説していたおばあちゃんだった。もう、只者じゃないことはよくわかった。
「お前は何者だ?」
おばあちゃんということは分かる。一緒に追いかけてきてたはずで、テレポートで逃げたのになぜかここにいること。小さい村のはずなのに神とつながっていること。これらを見れば、普通じゃないことぐらい誰だって分かる。もし、戦うのであれば容赦はしない。
「ふふふ、私はプリボー、夜刻ノ神様に仕える者である!」
「プリボー?」
「あ、かわいい名前・・・」
今までであった敵の中で一番かわいい名前だな。しかし、かわいいのは名前だけだった。
「夜刻ノ神様よ!我に力を与えたまえ!」
黒い霧が視界を覆い始めた。
「ゴホッゴホッ」
思わずむせる。霧が晴れた時、そこには巨大なドラゴンがいた。
「ハハハ!、この我を倒せるかな?」
いやいやいやいや、無理だろ!しかし、逃げるのも無理だな、これは。すばしっこそうだもん。追いつかれる、絶対。
「ヒーナちゃん逃げて!俺がここを引き受けるから!」
言えたぜ!一生のうちに一回入ってみたいセリフ。やっぱかっこいい~
「いえ、私も戦います。」
え?ヒーナちゃんは戦えるの?
「これでも私は魔法使いなのですよ。五輝さんをサポートします!」
こころ強いなぁ~。じゃあ、頼っちゃおっか。
「ディフィマー」
ん?何かオーラが出てきたんだけど。
「それは、防御の魔法です。しばらくのあいだは無傷で済みますよ。」
おお、それはありがたい。
「後で、色々と聞きたいことがあるので絶対に生きてくださいね。」
前言撤回、めっちゃ怖いわ。俺、ヒーナちゃんに何されるの?
「ヒ、ヒーナちゃん、準備できてる?」
「できてますよ。」
「ハハハ、潰してやるわ。」
絶対にこんなやつに負けない。勝って、ヒーナちゃんとお話するんだ。(そのお話もすごく怖いけど)
「やぁぁぁぁぁぁ!」
まずは一太刀入れに走り出した。
五輝 「ヒーナちゃん、ほんとに大丈夫?」
ヒーナ「私は、大丈夫です。そういえば、聞きたいこととはあとで、ぎゅってしてほしいということです。」
五輝 「ヒーナちゃん!?」
ヒーナ「冗談です。」
五輝 (ヒーナちゃんってこんなこと言うっけ?)
燈花 「あ、そこのアナタ!お兄ちゃんに何言ってるの!?」
ヒーナ「じ、冗談ですって・・・」
燈花 「本当?」
ヒーナ「五輝さん、助けてください!」