20話 姉弟の再会
「どうした?もう終わりか?」
息切れしている夜に対して風磨は余裕な表情だった
戦闘からわずか20分過ぎた頃には夜は敗北寸前であった
(この妖魔強すぎる・・・私の攻撃が通じない・・・ってわけじゃないけど戦闘経験の差でも言おうかしら。妖魔に成り立てと言いながら私をここまで追いつけるなんて・・・生前有名な霊能力者だったりするのかしら?)
あまりにも差があった
妖魔としての戦闘経験ではなく、生前・・・人間としての経験によって夜を圧倒的に追い詰めていた
「若い・・・式神を使用しても俺には通じない。妖魔になってまだ間もないが・・・生前と変わらないか。流石俺だな」
夜空が照らす中、少し笑う風磨
その姿はかっこいいと言えばカッコ良く、色気を出していた
「お前が俺を相手をするのはまだ早かったようだ。もっと強くなってから挑んで来い」
「・・・次があるわけないでしょう・・・貴方、生前霊能力者なの?」
夜は次はないだろうと考え、風磨のことを聞く
霊能力者なのかと問うと首を振る
「俺は霊能力者ではない。ただの一般人・・・でもないか。俺は妖魔に育てられた人間でも言おうか」
「・・・だから、強いのね。私を追い詰めるということは高ランクの妖魔に育てられたのかしら?」
立ち上がる夜
すでに怪我が治って、ダメージがないような姿をしていた
「さあな。それはどうだろう・・・高ランクでは間違いないね。さて、俺はそろそろ帰るとしよう」
やることがなくなったとその場から去ろうとした風磨
だが、とある人物が現れたことによって動きを止める
『!』
現れたのは銀髪と赤目を持つ高身長の男
日本人らしい顔立ちだがその顔は夜が見覚えのある顔だった
「・・・雪・・・?」
その顔は最愛の弟に似ていた
「爺さん、ここにいたのかよ、はよ帰ろうぜ。命がうるさいからさ」
「ふっ・・・そうかい。帰ろうと思ったから今ここから去ろうとしていたところだ」
笑う風磨
「笑う必要ある?」
なんで笑ったん?と顔を出す雪
「どうしてここに?と思ったが命が呼べとかなんやら騒いでいたのか。雪も大変だな」
「・・・雪・・・」
風磨からの言葉で目の前にいる銀髪の男が雪という名前だと分かる
「いや、大して・・ん?なんで姉さんがここにいるんだよ」
「!」
姉さんという言葉に反応する夜
彼の正体がついに分かった
雪と呼ばれる妖魔
その男は自分の弟であることを
「雪なの?」
「ん?・・・・・・これ言ったらいけないやつ?」
やらかした?と首を傾ける雪
夜は走り出して雪を抱きしめる
「!ちょっ!姉さん何を抱きしめてんの!?」
暴れる雪であったが夜の強い力に抗うことができなかった
(胸当たっているけど!?ってか、姉さんこんなに大きか・・・そういや、FかHやら自慢していたような気がする・・・ってそんなことはいい)
夜の胸に反応してしまう雪
夜はようやく弟に再会したことに泣いてしまう
「雪ぃ!!やっと会えたよぉ〜!!!良かった!生きていて!!」
「いや、死んでいるけど俺」
冷静なツッコミをする
事実、彼は妖魔になっているので人間ではない
生きているかと言われると死んでいるのは事実だ
(姉さんって命と同じくらい胸あったんだな・・・いや、なんでこんなことを考えているんねん俺)
「やはり、血縁だったか、殺さなくて良かったわ」
風磨は缶ビールを出して飲む
「ここで酒を飲むんかよ」
「いいじゃないか。運動後の水分補給だ」
「酒を水分補給として飲むなよ」
2人の呑気な会話をしていると夜は雪の胸に顔を当てる
「雪がまさか妖魔になっているなんて思わなかった」
「それは同意・・・爺さんに妖魔にならないかと誘われて妖魔になったわ」
「・・・元気にしているんだね」
「妖魔に元気とかなんやら言われているけど・・・それでいいか」
色々とツッコミどころがあるなと雪は心の中で思ったのだった