表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
魔法図書館の日常  作者: 佐倉涼@もふペコ料理人10/30発売
第二章 エルフの少女と滅亡の魔法都市

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

51/81

変化の書 オウィディウス・リドゲイト著④

 フィカの家に帰り、湯浴みも夕食も済ませたエセルは、昨日同様にクローゼットの奥に隠してあった『エクレバー冒険記』を引っ張り出してベッドに入った。


「えぇっと、昨日はどこまで読んだんだっけ」


 魔法書と違い、著者がエセルの読んだ部分を記憶して勝手にページをめくってくれたりしないので、自分でページを開かなくてはならない。ページを閉じてしまうと、どこまで読んだかわからなくなってしまった。


「うぅーん。確か三章の真ん中まで読んで、寝ちゃった気が……あっ。あった。ここからだ」


 該当箇所を発見したエセルは、早速続きを読み始める。

 ところが、いくばくも読まないうちに問題にぶち当たった。

 どうやら本を閉じている糸の劣化が激しかったらしく、読んでいるとページがボロボロとこぼれ落ちてくるのだ。


「わわ、わっ」


 ばらばらになったページがベッドに散らばりそうになる。これでは、本を読むどころではない。

 慎重にページを元の箇所に収めるが、糸は完全にちぎれてしまっていた。


「うぅ……これじゃあ、読んでるうちにどんどんバラけてきちゃう」


 どうしようもなかった。続きを読むのを楽しみにしていたエセルはガッカリした。

 しかししょんぼりしたのも束の間、エセルはひらめいた。


「……そうだ。この本を図書館に持っていって、直す方法がないか聞いてみようっと」


 魔法図書館にはさまざまな本があるのだし、本の修復方法について書かれたものがあってもおかしくない。エセル一人ではどうしようもなくても、本の知識を借りたらどうにかなるかもしれない。


「確か、フィカさんから鞄をもらっていたはず」


 クローゼットの扉を開けてごそごそ探る。


「あった!」


 背負うタイプの鞄が見つかった。

 白い鞄は箱の様に四角く、バッグ本体を覆うフタがついていて、それを二つのベルトで留めるデザインになっている。

 エセルは壊れかけの本を慎重に鞄の中にしまい込むと、パチンと留金を止めた。


「これで、よしと」


 あとは明日、本を持っていき、魔法図書館の本たちにどうにかする方法がないか尋ねればいい。

 どさっとベッドに横たわったエセルは、早く明日にならないかなぁと思いながら夢の中へと落ちていった。




評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ