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7.『ダンジョン:迷彩の遺跡:4』

「ミミクリーパピヨン5体の殲滅、頼める?他の2体は私がやる。」

俺に向かって指示が飛ぶ。

「ああ、任せろ」

自信満々に返事をする

巨大な蝶。いや、もはや蛾のような見た目だが…。

こんなものは俺の敵にもならない

「ニナ!ベル!2人は異生物3体の討伐。残り7体はヒロと私が殺る」

後ろからシエルが叫んだ。

「りょーかいっ!ベル、まだいける?」

「大丈夫だ、任せて」

前からはニナとベルの声。

「…余裕だな」

ふと口から溢れた。

目の前の蝶に向かって走り出すと、蝶が翼を羽ばたかせた。

とんでもない風圧の風。普通の人間なら余裕で吹っ飛ばされるレベルだろう、もちろん俺も例外ではなかった。

上半身が後ろへ持っていかれ地面から足が離れる。

空中で体制を変え壁に足を着く。そのままの勢いで壁を蹴り、先程の蝶へ向かって跳ぶ。蝶は反応がワンテンポ遅れたようで、頭上へ振り上げた俺のハルバードによってそのまま頭を潰された。

なにか抵抗をしようとしていたようだが、頭が潰された直後少しビクついたあとはそのまま動かなくなった。

「あっ、ヒロちーはやっ!?」

近くからニナの声がする。

「ニナ、よそ見しない。次行くよ」

続いてベルの声。いつもの調子だ

俺も次に行くか



「うん、いい感じだね。少し焦っているように見えるけど」

押し付けすぎたかなと少し不安になる。だがヒロならあんな数すぐに蹴散らしてしまうのだろう。

「…すごいですね。」

背後から声がする。今回の仕事の救出対象、陽乃燈里の声だ

目が見えない彼女は音で戦況を把握しているのだろう。

「そうだね、ヒロは凄い子だよ。特に身体能力がずば抜けてる。」

上体が後ろへ煽られ、バランスが崩れた体制を空中で整えるなんて人の所業ではない。

だが、彼にはそれが出来てしまう。

それがとても容易いものだと言いたげな様子でやってのけてしまう

「ヒロトさんもニナさんもベルさんも…。そしてシエルさんも、みんな凄いです」

ひっきりなしに私たちパーティを褒める陽乃。

「ふぅ…。とりあえずこれ片付けちゃうから少し待ってて」

私は陽乃にそう告げると旗を構える

聖遺物『ジャンヌの旗』だ。

目を閉じ、彼女の『声』を聞く

『敵を炎で焼き尽くしなさい。そうすれば、先に進めるわ。

…でも、友人の隣の壁に気をつけなさい。』

─えぇ、わかった。

目を開ける。瞼を少し強く閉じていたせいで世界がぼやけている。

…危ないなぁ。

ぼんやり考えていた矢先、蝶のストローのような口が目の前にあった。

「『神秘の』…っ!」

言い終わることなく、蝶は潰れた。

誰によって?もちろん、私のヒーローによって。

辺りには緑の血が散乱している

「おい、シエル。ボーッとしてたら死ぬぞ」

戦闘中のきつい口調、通常運転。

「ありがと、ヒロ」

思わず笑みが溢れた。ヒロはいつもこうだから

私の身に危険が迫るとヒロがいつも駆けつけ、助けてくれる。

「なんで笑ってんだよ、気抜くなよ。毎回助けれるかはわからん」

「ごめんごめん、わかってるよ」

緑の血で体が汚れたヒロは注意だけを私にして、次の瞬間ではもう次の敵に向かって走り出した。

「ほんと、楽しそう。」

笑いそうになるのを堪えて、私も敵を見る

こちらには目もくれず、壁に擬態してこちらの隙を突こうとしている2体の蝶へ旗の先を向ける

「『神秘の炎』」

言い終わると同時に巻き起こる業火

数秒の間蝶を燃やし、火が消える

残ったのは蝶だったもの。灰のみだ。

後ろから咳き込む音がした。陽乃が煙で蒸せたみたいだ。

「やっぱ燃やすと早いなぁ。人間側(こっち)が先に死にそうだけど」



ふとシエルに目をやると蝶に喰われる直前だった。

ダッシュで蝶へ近づき、ハルバードを振り下ろす

蝶の頭部を潰すと緑の血が勢いよく溢れ出すもんだから顔が汚れた。

「なんで笑ってんだよ、気抜くなよ。毎回助けれるかはわからん」

血を拭き取りながらシエルに伝える。

「ごめんごめん、わかってるよ」

何故か満足気に微笑みながらシエルが言う

その意味を考える余裕はない、次の蝶を狩りにいこう。

擬態をしていない蝶を重点的に狩ろう。きっとまだ擬態してる物もいるんだろうが、おそらくそれはシエルが焼き尽くす。

─負けてられないな。

そんなことを考えながらわ俺に向かってストローのような口を突き刺そうとしてくる蝶に向かってハルバードを振り上げる。

「ディス・ルー・グラヴィタシオン」

振り下ろすと同時に武器にかかる重力を重くする。ダンジョン内で10倍、地球の重力の5倍ほどになる重さ。

ハルバードの形に合わせて2つに折り畳まれるようにして蝶は呆気なく潰れた。

3体目か、と考えを巡らせていると

「『神秘の炎』」

シエルの声がした

直後、俺のすぐ隣の壁に業火が放たれる。数秒後には火が消えて、黒い煙と1体分にしては多い灰だけが残った。

「ゲホッ、ゴホッ…。」

息を止めるのが少し遅れたせいで煙が気道に入りむせた。

「ケホッ、シエル、危ないから避難させてから炎使ってくれ!普通に死ぬ!」

必死に訴える。仲間の過失で死にたくはない。

「…ごめん、隣の蝶がヒロのこと狙ってたから!」

戦闘慣れしていないわけではないが珍しい判断ミスだ

…疲労だろうか

とりあえずカバーをしながら戦おう

「シエル、何体倒した?」

蝶へ背中を向けないように注意しながらシエルに近づき問う

「私は2体、ベル達の方はあと1体。」

シエルから内訳が伝えられる

「俺の方が3体だから残り6体か」

「体力は大丈夫?」

表情は何も変わらないシエル、だがその声は心配の色が浮かんでいた。

次の言葉を返そうとした次の瞬間


「ヒロちー!シエルぴ!ちょっと伏せて!」

突然ニナが叫んだ

くじらのはらです。お久しぶりです

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