1.『ダンジョンの発生』
<この物語はフィクションです。実在の人物 団体 事件とは一切関係ありません。>
" 2020年、突如として現れた"ダンジョン"への入口。
空,地上,地下,海,都会,田舎。場所を選ばず周囲を巻き込み現れたソレ。
死刑受刑者,無期刑受刑者などをその調査に当て,判明した物。ソレは『異生物』と『異力』である。
『異生物』はダンジョン内に存在する超巨大の生物。地球で見る生き物を自動車サイズ以上まで大きくした,と言えば想像に容易いだろう。
『異力』はダンジョン内の空気中に存在する極小の微粒子。ソレが存在する理由などは判明していない。ただ,異生物達が異力をエネルギー源にし,人類への攻撃手段としていることが判明している。
異力はダンジョン発生直後から極微量地球にも蔓延しているため,注意が必要である
また調査の際,ダンジョン内へ入った途端倒れた者,倒れなかったものが存在したことから人体の異力への耐性の有無が存在することが判明し,人類の異力への耐性検査が行われた。
世界は異力への耐性が特にあるものを『開拓者』とし,更に異力を異生物のように扱うことが出来る者を『異能者』とした。
開拓者の協力の元ダンジョン制圧を試みたところ、ダンジョン内から『喪われた過去の断片』いわゆる,過去に燃えてしまった寺の絵だとか,英雄の剣だとかが見つかり,これを『聖遺物』とした。
聖遺物はいくつか出土し,その聖遺物に見初められ、聖遺物を扱うことが出来た異能者達を『軌跡の遣い手』とした。
最初の聖遺物『ジャンヌの旗』所有者『シエル・ロエ・オンプラント』は『始まりの軌跡』と称され,世界各国から注目を集め続けている。
『始まりの軌跡』は西欧諸国出身。聖遺物『ジャンヌの旗』から継承した『神の啓示』により未来の観測が可能である。
また,同聖遺物から『奇跡の軌跡』『神秘の炎』を継承。『奇跡の軌跡』は結果の反転を引き起こす。『神秘の炎』は異力と混ざり合うことにより灼熱の業火を発生させる。
神の最高傑作である彼女が生き続ける限り,もはや,戦争など意味がないのかもしれない。"
2030年:ニホン 東京
「ようその量一息で読めるな」
「すごいでしょ?」
「すごいというか、なんか怖いわ」
「なんでよ、私に出来ないことはあんまりないんだよ」
人類史の長ったるい文章を一息で読み切り、ドヤる目の前の美女。
白銀の髪がLEDライトに照らされて輝く。三日月の髪飾り、短いボブカットに三つ編み。
少し幼い印象を受けるが、立派に成人女性。
蒼いの瞳は、深海に沈むサファイアのそれのようである
そう、この少女こそが『始まりの軌跡』。『ジャンヌの旗』に見初められた神秘の女
クールビューティだとか、千年に一度の美女だとか囃し立てられることが多い女の素、結構だらしないぞ。
週刊誌、すっぱ抜いてくれ。
「ていうか、なんでこの文章西欧諸国出身って書いてあるんだろ。私日本で育ってるんだけど」
「西欧諸国から転校してきたんだから一応間違いではないだろ。」
「それもそうかぁ…。」
「…つーか、なんでオフの日に行く場所が俺の家なんだよ。わけわからん」
「だってヒロはいつでもここにいるから」
「いない時もあるわ。メシ行ったりメシ行ったりメシ行ったりだけど。」
「ご飯だけじゃん。開拓とご飯以外でも外出ないと体に悪いよ?」
「大丈夫。鍛えてるから」
「返答になってないから。巴衛 広翔くん。」
急に美女にフルネーム君付けで呼ばれるとか嬉しすぎる展開ではある。
これが、『始まりの軌跡』などでなければ。
これが年上のお姉さんなら俺は胸きゅんかもしれない。
「というかもう夜遅いんだが、帰らないと襲われるぞ。シエルは神の最高傑作なんだから」
「それほどでも〜!ヒロに褒められた〜!ルンルンっ」
「…お前、変な男に引っかかんなよ。」
なんとなく心配になって言ってみるも
「へーきよへーき。別に男に興味無いから。」
バッサリと切り捨てたシエル。今の一言で何人のガチ恋弱者男性が爆発四散したのだろうか。
「あと、私強いし。」
驕りなどではない、真実。蒼い瞳が、ニヤリと歪み、笑う。
「じゃ、また明日。明日はトウキョウのダンジョン、深潭の底に行くよ。」
「あいあい、他2人に連絡すんの忘れんなよ。」
「了解。ではまた。」
そう言い残し、パタリとドアが閉じられた。
そういや朝からいたな、あいつ…。
─俺の休日返して、上司。
くじらのはらです。唐突に新連載、現代ダンジョンです
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