08 中学三年生の五月
中学三年生の五月
部活のある日は遅刻しても学校に行く
部活の引退が近づいてきて、思うところがあるのか部活のある日は遅刻しても学校に行くようになった。授業を休んで部活だけ出るのはできないから、頑張っているようだ。
できることをできる時にできるかぎりやる。無理せずそれでいいと思う。
頭痛も治らないけれど、ここにきて、睡眠障害の方が深刻になってきていた。
夜、布団に入って電気を消しても寝付けずに暗い部屋で布団をかぶり、ずっとぐるぐる考え事をしては一人でネガティブキャンペーンを実施しているようなのだ。カウンセラーの先生情報である。
娘は先生には割と腹を割って話しているらしい。受験生なのにこの状況に娘も不安が募っているようで、先生に話すことでガス抜きや気持ちの整理がしやすくなっている面が窺える。
暗い部屋で目を開けながらネガティブ思考の沼に沈んでいる娘。ちょっとホラーだ。
娘の自己肯定感は、学校に行けなくなるまでの間で、それはもう粉々になってしまっていた。
何をしてもしなくても、どうせ自分はダメでできないんだ。
怒鳴られるのはいやだから静かにしていよう。
でも、それじゃダメだ。ここから抜け出したい。
学校に行かなきゃならないのにいけない自分がいやだ。
でも、行けない。
これじゃだめだ。
でも、どうせ。
そうやって出口のない悩みをぐるぐる考えて眠れずに夜が明けるらしい。
いくら私が娘の良いところを褒めそやしても、娘は「それは親の欲目だから」と頑なに取り合わない。なぜだ。
ここで、医師から入院を勧められた。期間は三週間。様子を見て前後するかもしれないけど、入院して、毎日『学校に行かなくちゃ』という環境から離れ、病院の管理下で生活リズムを強制的に作ってみましょうとのこと。
三週間。
手術を伴うような大病の入院期間のよう。
見た目は病気のようには見えない。でも、医師が入院が必要と判断するほど、娘の病状は重いということか。