05 中学二年生の二月
中学二年生の二月
学校に行けた日、八日(遅刻五日)
一泊二日のスキー教室があった。休みがちになり、クラスに溶け込めていない娘には酷な行事だと思う。
でも、娘は嫌だけど行くと言い、無事に参加してきた。
普段の学校も放課後の部活に行くために遅刻してでも登校する日が増えた。
どんな心境なのかと心配したが、少しだけ安心した。
起立性調節障害の検査入院の日。今度は無事に各感染症が陰性で入院することができた。完全看護の小児科病棟に入院し、日中と朝起きてすぐの検査を受けた。
翌週、検査結果を聞きに受診。
医師から、起立性調節障害で間違いなく、タイプは体位性頻脈症候群と告げられた。POTSと呼ばれることも多いそうだ。検査で心電図や血圧からはっきりと症状が出ており、確定された。
起立性調節障害は自律神経の調整が乱れて血圧や心拍数が乱れ、目眩や頭痛などの身体症状を引き起こす病気だ。
そう、病気なのだ。
娘は起立性調節障害で朝起きたくても目眩や頭痛で起きられないのだ。
怠けているわけではないのだ。
足をケガしている人に「走れ」と言う人はいない。それが無理であることが当たり前だからだ。娘も朝に調子を崩して起きられないのは当たり前。だって、そういう病気にかかっているから。
私の中で一つ腑に落ちたというか解決したというか、ようやく、暗闇の中から抜け出せたというか。
病名が分かったならば、治療に入れる。
急に朝起きれなくなって学校に行けなくなって、これからどうすれば良いのか分からない不安の中から、ようやっと一歩抜け出せたのだ。
治療はこれからだが、ホッとした。
娘も、自分は根性無しでも甘えているわけでもなく、病気だからなんだと、学校に行けない自分を受け入れるきっかけになったようだった。
治療は、自律神経の調子を整えることと、日常生活に支障を来している頭痛と、夜寝られない睡眠障害に対して行われることになり、投薬と睡眠記録表を毎日つけることと、水と塩分をたくさん取るように言われた。水は一日二リットル以上、塩分もラーメンやうどんの汁を飲み干すくらい取ると良いと言われた。ふくらはぎの筋肉量が血流の鍵を握っているらしく、毎日散歩をするようにも指導された。
しばらくは二週間ごとの通院となった。