第93話 出会い
―—私が神と出会ったのは、3歳の時だ。
私の家は、少々険しい山に祭られているとある神様を信仰していた。
私はそこに3歳の時にお参りに連れられ、そして神様と出会った。
それからは、ずっと神様と一緒。
神様は私に色々な事を教えてくれた。
呪術、魔法、錬金術。
それ以外もいっぱい。
私はそれを学ぶのが楽しくて、毎日がキラキラ輝いた物となる。
ただ、少し困った事もあった。
神様と出会って以降、私が写る写真は全て背後が歪んで写ってしまう。
神様はその体を封印されているため、私の側にいるのは魂だけだった。
それでも偉大なお方なので、その状態でも魂の持つエネルギーによって写真などが歪んでしまうのだ。
周囲の人間は、私を気味悪がって遠ざかるようになる。
まあ、それ位なら大した問題はない。
元々、神様以外に興味はないので、周りの人間が私に干渉してこないのは苦痛どころか、歓迎すべき事と言ってもいいぐらいだ。
問題は――
私を化け物と呼んだり、幽霊女と称して攻撃してくる輩達である。
本当に私が化け物なら、こちらに攻撃する事が危険だと何故理解できないのか?
少し考えればわかると思うのだけど。
神様は、巫女である私に不敬を働く者は全て殺せと言う。
神様の事は尊敬しているし、私にはその力があった。
けど、やはり人を殺すと言うのは簡単に踏ん切りがつかない。
だから私は、最小限の反撃で、命だけは取らずに済ませて来た。
例えば、両足を粉砕するような事故に遭わせるとか。
目玉を破裂させるとか等だ。
その甘い処断に、神様にはお前は優しすぎると注意されてしまったけど、それが私の精一杯だった。
ここまで言えば分かって貰えると思う。
私の困った事。
そして問題は。
―—そう、自らの甘さである。
神様の期待に応えたいと思う反面。
どうしても一線を越えられない自分に歯噛みする。
けど、そういった問題は直ぐに解決する物でもなく。
私は自分の不甲斐なさを申し訳なく思いながらも、神様との日々を噛み締めながら生きた。
そしてあの日。
18歳になったあの日。
私は神様に託された自らの使命の遂行に成功する。
それは神様に懸けられた封印の解除。
正確には、その第一段階の解除だ。
「これが、神様の欠片」
封印を解除した事で、私は神様の肉体の一部を手に入れる。
小石ほどの小さな欠片だったが、そこに含まれる力は膨大な物だった。
手に触れるだけで身震いするほどに。
私はそれを―—
「うっ……く……」
―—自分のお腹、正確には子宮へと埋め込んだ。
「これで……私は……」
それから十月十日後。
私は神の子を出産した。
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