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第88話 面倒くさい

「何事もなかった様に丸く収めるのは難しい、と。そう言いたい訳か?」


「ひぃぃ……」


俺が睨みつけると、全裸で正座させている帝真一が震え上がる。

服がないのは、皮とか剥いでたらそうなった。

まあ些細な事だ。


「ふむ……」


真一を優しく諭(ごうもん)して心臓にタリスマン(プレゼント)までくれてやったというのに、俺の痕跡を完全に消すのは無理だとほざきやがった。


衛星を落とされたのをなかった事には出来ない、だとか。

グループのデータベースに既に情報が入ってしまって消す事は出来ないだとか。

それらのデータが仮令消せたとしても、痕跡はどうしても残ってしまうとか。

今回の一件を、兄弟や親せき連中がきっと嗅ぎまわるから絶対露見してしまうだとか。


まったく、いい訳ばっかしやがって。

どうやら諭し足りなかった様だ。


「いいか、よく覚えておけ。俺への返事はイエスかヘルか、だ。そしてお前は、今ヘルを選んだ。俺も出来れば無駄な時間をこれ以上喰いたくはないんだが、お前が望むのなら仕方ない」


教育再開と行こうか。


「ま、ままままままま!待ってください!!」


「5秒やる。俺の喜びそうな答えをひねり出してみろ」


「データは消せませんが、干渉を無くす方法はあります!」


「なんだ?言ってみろ」


「あ、貴方が帝真グループに所属すればいいので――ぶぇっ!?」


真一の顔の半分が吹き飛ぶ。

イラっとしたので思わず手が出てしまった。

なにが帝真グループに所属だ。

舐めてんのかこいつは。


まあとりあえず蘇生。


「よっぽど地獄を見たいみたいだな?」


「ひぃぃぃぃぃ、ち、違います!最後まで!最後まで話を聞いてください!!聞いていただければ納得して頂けるはずです!!」


「わかった。じゃあ話を続けろ」


俺も鬼じゃないからな。

話位はちゃんと聞いてやる。


え?

さっき話してる最中ぶち殺した?


大丈夫大丈夫。

3秒以内に蘇生させてるから。


「あ、ありがとうございます。あの……帝真グループに所属すると言うのは表面的な物で――」


真一が怯えながら俺に説明する。

話を聞いてやると言ったのに、何故怯えるのか?

謎だ。


「なるほど……」


――真一の案はこうだ。


痕跡を消せないのなら、痕跡を見つけても誰も手出しを出来ないようにすればいい。

という物である。


「帝真グループの次期後継者に最も近い私の、その側近兼ボディーガードとして雇われた事にすれば、余程の馬鹿でもない限り手出しはしてこないかと」


「ふむ……」


「そ、それに今回の一件で安田様の大魔導士としての力は証明されております!なにせ衛星を落とした上に、帝真グループ日本支部の精鋭をたった一人で壊滅させたのですから。そんな化け物……ああいや、化け物というのはあれでして……とにかく、安田様ほどの御方にちょっかいを進んでかけようとする輩はいないかと」


日本屈指の企業の御曹司の護衛にして圧倒的強者。

まあ確かに、そんな相手に好んで喧嘩を仕掛ける馬鹿はいないだろう。


だが――


「50点だな」


「ひっ!?」


――100点には程遠い。


喧嘩を売ってこなくとも、接触してくる奴らは絶対出てくるはず。

強いって分かってる訳だからな。

自分の所に引き込もうとか、こいつの親族だったら当たり前の様に考えてきそうだし。


そういう奴らが寄ってくること自体、不快でしかない。

とは言え、確かに情報を完璧に消せないんなら、それが無難な落とし所っちゃ落とし所か。


もういっそのこと、帝真グループのトップ勢全員ぶちのめして完全に支配下に置くか?


一瞬、そんな考えが頭を過った。

帝真グループを乗っ取って、それを虫よけにすれば少しは快適になる筈である。


ただ、それをするには相当な労力が必要になるんだよなぁ……


真一の兄弟は全員海外にいるっぽいし。

父親に至っては、居所すら不明と来てる。


さっき殺した爺が直通の連絡方法を持ってるそうだが、子供に居場所すら教えない様な奴が、呼ばれてのこのこ顔を出してくれるとも思えん。


「はぁ、めんどくさいな。まあいい。お前の案で処理しろ。それと、親せきや兄弟の居場所をリストアップしとけ」


「か、畏まりました!」


真一の案だけで終わらせるなど論外だ。

リスクを少しでも減らすため、俺は完全制圧の方向で動く。


……ほんと、面倒な事になった。


「じゃあ、俺はもう帰る」


腹立たしさを真一にぶつけてやろうかとも思ったが、あまりゆっくりしている時間はない。

早く帰らないと母が帰ってきてしまう。

身代わりを置いてるとはいえ、動かない俺を見たら心配させてしまうからな。


「お前の心臓に埋め込んだ物でいつでも監視できるから、馬鹿な事は考えるなよ」


「も、もちろんでございます!」


俺は闇を再び纏い、空を飛んで家の近くまで行き。

人目のない所で服を着てから、闇を解除して帰宅した。

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― 新着の感想 ―
グループごと消滅させる方が早いかも
強者っぽかったジジイ蘇生して気孔闘士について把握しないとね
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