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第86話 採血

「この先がそうか?」


階段で三階まで昇り、目的の場所へと辿り着く。


道中一度襲撃されたが、まあ問題なく始末して全員亜空間へと納めておいた。

もうこの建物内に残っている人間の反応は一名のみ。

そしてその反応はこの先にあった。


「秘書のいる応対室がありまして……その奥が帝真一の執務室になっております」


「て事は、手前の方の部屋で物陰に隠れて震えている女は秘書か」


一人ではさぞや心細い事だろう。

寂しくない様、さっさと亜空間に放り込んでお仲間達と合流させてやるとしよう。


いや、秘書ならタリスマンの埋め込みの方がいいか。

佐藤の秘書の時の様に。

戦うしか能のない戦闘員と違って、色々仕事させられるだろうし。


「出て来い」


扉を蹴り飛ばし(あけて)中に入る。

そして奥側――執務室へつながる扉の近くにある机の下に隠れている女に声をかけた。


が、返事はない。

仕方がないので机の淵を掴んで、俺はそれを背後へと放り投げた。

これで話しやすいだろう。


「ひぃぃぃぃ……た、助けてください……な、何でもしますから……」


「安心しろ。酷い真似はしない」


俺はしゃがみ込み、彼女の肩に手をやり優しくそう告げる――ポジション的に俺の股間が女の前に来て、ビジュアル的にアレだからしゃがんだ。


因みに、酷い真似は本当にするつもりはなかった。

そう。

ちょっと拷問して、タリスマンを使って俺の下僕にするだけだ。


それはやらかした事への罰なので、当然酷い事には該当しない。


「ほ……本当ですか!ああ……ありがとうございます!ありがとうござ――ほげぇあ!?」


俺の言葉に感極まってかは知らんが、急に女が抱き着こうとして来たのでチョップで素早く顔面を真っ二つに叩き割る。


なれなれしくすんな。

殺すぞ。


「さて……」


秘書は後で蘇生させるとして、先に執務室を物色するとしよう。

ある物を手に入れないといけないからな。


「あった」


執務室内でそれはすぐに見つかる。


デカい机の上にあったそれは――


髪の毛だ。


そしてその髪の毛に俺は魔法をかける。

蘇生魔法を。


死者蘇生(リザレクション)


蘇生魔法は、髪の毛が一本でもあれば対象を蘇らせる事が可能だ。

そして本人が生きていようが死んでいようがお構いなく、その肉体は再構築される。

まあ生きてる場合は、蘇生しても魂のない抜け殻になってしまうが。


魔法を受けた髪の毛が急激に細胞分裂を起こして増殖し、人型へと変わっていく。


「当たりだな」


出来上がったのは、モニター越しに見た帝真一と一致する姿だった。

まあ本人の執務室の机に落ちていた毛をつかったので、当たり前ではあるが。

一応、他人の物である可能性もなくはなかったからな。


で、こいつをどうするかと言うと。


――首ちょんぱする。


ああ、言っとくけど。

「何逃げてやがんだ!手間かけさせやがってぶちころすぞ!」的な八つ当たりではないぞ。


では何故そんな真似をしたかと言うと、その目的は血だ。


俺は盛大に噴き出す血を使って魔法を発動させる。

行方不明だった山田の母親を探す時に使ったあの魔法を。


魂が入ってなくとも、肉体は間違いなく本人の物だからな。

なので、この血で帝真一の本体の位置を見つけ出す事が出来るのだ。


「あっちか」


魔法は成功。

帝の位置情報はばっちり俺の脳内に。

なのでもう此処に用はない。


「さて」


頭が二つに増えた秘書を蘇生させ、適当に躾けてから首輪をつけた。

そして佐藤と二人で上手い事とりなしておけと命じてから、俺は帝真一の場所へと向かう。


そこまで時間的余裕もないので、今度は車ではなく空を飛んで行く。

こっちの方が遥かに早く着くからな。


ああ一応言っとくと、全裸で外を飛び回る程俺も非常識じゃないんで、ちゃんと魔法で闇を纏って見えない様にしてはいるぞ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
久しぶりすぎて襲撃した理由思い出せなかった笑
ちゃんと蘇生したし、酷い事はしてない って倫理観は嫌いじゃないw
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