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第73話 180度

「な……なんだこいつは!?」


突然現れた闇に覆われた俺の姿に、ワーウルフっぽい見た目の奴らが驚愕の声を上げる。


「死んだか……」


俺はそれを無視し、倒れたラミアの少女の生死を確認する。

まあ種族は人間なので問題なく蘇生できるとは思うが、姿形があれなので、ちょっと工夫が必要になりそうだ。


「き、貴様……一体何処の所属だ」


ワーフルフのリーダーらしき女が、手にしたデカイ銃を俺へと向ける。


「答えろ!答えなければ撃つ!」


無駄な脅しだ。

以前自分の手に撃った豆鉄砲より威力が強いのは、ラミアが撃たれている姿から分かっている――外れた弾丸が、細い木の幹を豪快に吹き飛ばしていたので。


が、あの程度では話にならない。

俺にダメージを与える所か、この場でいる奴らから集中砲火を受けてもタリスマンさえ貫けないだろう。


「悪いが、そんな豆鉄砲は効かない」


「なにっ!?」


「後、俺はどこにも……いや――」


何処にも所属していないと言おうとして、そういや所属してたなと思い出す。


「俺の所属はダークソウルだ」


まあ言っても絶対分らんだろうけど。

何せ不良学校にある、頭の悪い子供の集まり(チーム)の名前だからな。

知ってたら逆にびっくりである。


まあそもそも、名乗る必要も無かった訳だが……


「ダークソウルだと……おい、知ってるか?」


先頭の女ワーウルフが、背後の奴らに問いかける。

が、当然誰も知らないので答えは返ってこない。


「ちっ……何処の奴か知らないが、アタシらは帝真のヘルハウンドだ。その餓鬼どもはうちから脱走した奴らだから、邪魔しないで貰おうか」


「帝真って、帝真グループの事か?」


帝真は日本有数の巨大企業グループだ。

わざわざそこの名前を出したって事は、俺と争わずに事を収めたいって事だろう。


急に現れた人型をした暗闇。

しかも銃を向けても怯えず、無駄だと言って来る。


俺がワーウルフ側の人間だったとしても、同じ判断を下すだろう。

いくらデカいバックが居たとしても、戦うのは今この場にいる奴らな訳だからな。


「そうさ。アンタが何者か知らないけど、帝真を敵に回したくなかったら大人しく引き下がって貰おうかい」


「そうか……帝真を敵に回すのは困るな」


「そうだろうさ」


戦っても簡単に叩き潰せそうな気はするが、でかい所を敵に回すのは流石に面倒だ。

そもそも何のメリットも無いしな。


なので――


「じゃあそうならない様、此処でお前らをキッチリ殺すとしよう」


そう、報告さえされなければいいのだ。

まあ帝真以前に、姿を見せた時点で端から皆殺しにするつもりではあったが。

子供を笑いながら撃ち殺す様な、不快な奴らだったし。


「ちぃっ!撃て!!」


ワーウルフ共が俺に向かって銃を乱射する。

が、俺の身に着けているタリスマンの防御幕がそのことごとくをはじき返す。


あ、因みに、俺が態々タリスマンの防御機能を使っているのは、体に受けると服が破けてしまうからだ。

戻った時に服がボロボロになってたら、どんなウンコしてたんだよってなるからな。


「ば、馬鹿な!?全く効いてないだと!?」


「だから効かないっていっただろ」


銃弾を浴びながらも平然と立つ俺の姿に、ワーウルフ達が銃を撃つのを止めて後ずさりだす。

あんまり長いと母さんに下痢を心配されるかもしれないから、さっさと終わらせるとしよう。


「ほげぇあ!?」


一瞬で間合いを詰め、俺は女ワーウルフの首を優しく180度ほどねじった。


あんまり派手にやってしまうと、首が引きちぎれて血が飛び散ってしまうからな。

だからほどほどにしておいたのだ。


タリスマンは攻撃を弾いてくれるが、血とかは防いでくれないんだよな。

不便極まりないので、改良実験でもするとするか。

新しい《《元》》も手に入る事だしな。

まあちょっと数は少ないが。


「ひっひぃ!?」


「化け物だ!?逃げろ!」


「嫌だ!死にたくない!!」


逃げ出すワーウルフ共を、俺は一匹ずつ丁寧に首を捻ってあの世行きにしてやる。

以前なら情報収集のため殺さない様に気を付ける必要があったが、今の俺には蘇生があるので楽ちんだ。

殺しても蘇生させればいいだけだから。


あ、一応言っとくと、タリスマンに変えた奴らはもう蘇生できない。

魂的な物が消費されてしまうからだ。

ただ死ぬ気が無く――死にたい詐欺――てタリスマンの処理を失敗した奴は蘇生できるので、何気にタリスマン変換率は実質100パーセントに上がってたりする。


嘘つきを処せるってホント素晴らしい。


「所で、何だこれ……」


ワーウルフを全処理。

そのうちの一匹が、何か黒く丸っこい物を持っていたので拾い上げる。


「んん?人間の首か?」


それは黒焦げの人間の頭部だった。


「なんでこんなもん持ってるんだ?弁当?爆弾おにぎり的な?」


山だし。

こいつらもハイキング気分だったとか?


「まあどうでもいいか」


ワーウルフ共の死体は全て、証拠隠滅の為魔法で生み出した亜空間への入り口へと放り込む。

当然銃なんかの所持品も全て。


「この子らは……ま、後でいっか」


ぶっちゃけ、優先順位は低い。

どうせ死んでいるのだから、急いで蘇生させる意味もないしな。

というけで、ラミアの子達も亜空間に一緒に放り込んでおく。


「さーて。気分もすっきりした事だし、母さんとのハイキング後半を楽しむとしようか」


余計な物は排除出来たので、俺は鼻歌交じりに母さんの待つ境内へと戻るのだった。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
[良い点] 蘇生や強力な治癒回復は最も命を軽んじ弄ぶ能力。とはよく言ったもの。 所有者にもよるだろうけど、ある意味で破壊の力より性質が悪い。
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