表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

6/103

第6話 友人

「お、俺が……情けないばっかりに……うぅぅぅぅ……」


山田がすすり泣く。


山田の身に何が起こったのかと言うと……


四日前の日曜日、兄妹二人で遊びに出かけたそうだ。

山田んちもシングルマザーであんまり裕福じゃないんだが、その日から母親が一週間ほど男と旅行に行くらしくてかなりお金を多めに置いて――金の出所は相手の男らしい――行ったらしい。


で、そのお金でたまの贅沢をしようって色々夜遅くまで遊んだ帰り道、出会ったそうだ。

中学時代、山田を酷く虐めていた札付きの悪共に。


山田は俺とは違って成績が良かったのに、あんな底辺高校にいたのはそいつらのせいだった。

テストは何時もぐちゃぐちゃにされ、受験も今のところ以外選んだら家を燃やすって脅されて。


当然そんな奴らと夜遅く、しかも人通りのない場所であってタダで済むはずもなく。

山田はボコボコにされ、そして一緒にいた妹は暴行されてしまう。

しかもその際の映像を撮られていたらしく、警察への口封じ所か、逆に金を出さなければばら撒くと脅されたそうだ。


糞過ぎて反吐が出る連中である。


「ううぅぅぅ……金を払わないと妹が……でもあんな大金……」


山田の妹が動かないのも、その時のショックで部屋で寝込んでいるかららしい。

それと、その事は母親には連絡してないそうだ。

もし言えば性格のキツイ母親は、ばら撒かれても警察に行けと言うのは目に見ていて、妹が余計に傷つくからだ。


「山田、安心しろ」


山田は今通ってる学校で唯一の友達だ。

そんな彼が誰にも相談出来ずに困っているのを見過ごす訳にはいかない。


「俺がなんとかしてやる」


「うぅ…ぐずっ……なんとかって……」


「実は知り合いに、その手のトラブル処理が得意な人がいてさ」


俺が直接ではなく、人の手を借りてと伝える。

急に会いに来た友達が異世界帰りだなんて聞かされても、頭がおかしくなったと思われるだけだからな。


それに……友達であっても、特殊な力を持ってる事を軽々しく話す訳にはいかない。

何故なら、人は裏切る生き物だからだ。


秘密を話せば、俺は山田が裏切るかもと疑いを持つ事になりかねない。

友人相手にそんな気持ちで接したくないからな。

だから教えないのだ。


「ほ、本当に……で、でもあいつら……凄くやばい奴で……」


「山田。頭のいいお前なら、今のままじゃジリ貧なのは分かるよな?」


警察にも行けず。

母親も頼れず。

かと言って金の当てもない。


そう、山田は詰んでいるのだ。


「だったら俺に賭けてくれないか。その人なら必ずお前を救ってくれる筈だ」


「本当に……」


「ああ、だからそいつらの事を教えてくれ」


「わかった……」


そいつらの情報を聞き出した俺は、「吉報を待っててくれ」と山田に笑顔で告げて別れた。


さて、俺がすべきことは二つ。


糞野郎どもの始末と。

映像の回収だ。


特に後者は絶対に回収しないといけない。

後、俺がやったとバレない様にする必要もある。


「取り敢えず、家に帰って夜になるのを待つか」


こそこそ動くなら断然夜だ。

俺は家に帰り、母が眠るのを待ってから行動に移る。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~
王家から追放された無能な第4王子が転生者である事を思い出し、神様から貰ったランクアップのチートで自領を発展させつつ面白おかしく生きていくお話
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
― 新着の感想 ―
妹ちゃんかわいそす
 話の都合とは言え、妹ちゃんまで暴行されたのは……きつい……
[一言] もいでやって!
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ