表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
53/103

第53話 練習

人気のない山奥。

その地下深くでの作業。


まず拷問からのタリスマンのコンボ。

完成した数はたったの16個。

成功率は余り宜しくないが、まあそこは良しとして次は蘇生魔法の練習に移る。


取り敢えず殺して蘇生。

殺して蘇生。

これを、変形しすぎて原型が不明になるまで繰り返す。


「ギュエ……ゲゲ……」


肉と骨の混ざった意味不明の球体。

元人間が奇声を上げる。

此処まで来ると、もう練習台にはならない。


何故か?


魔法の調整は、ただ魔法を繰り返せばいいという訳ではない。

魔法自体に微調整を加え、その結果を元に更に調整して行かなければならないからだ。

だからグチャグチャの肉球になってしまうと、変化の有無が判断付かないので、練習台とはなりえない訳である。


「やっぱ難しいな。けど……感触はある」


最初の一人は、10回程蘇生させた辺りで使い物にならなくなってしまった。

だが繰り返し調整して行くうちに変形がまろやかになっていき、20回、30回と、その回数は増えてきていた。

まさに進歩だ。


「アトリがこれ見てたら、絶対激怒物だろうな」


かつての思い人の事を思い出し、苦笑する。

彼女は優しく気真面目な人物だったので、絶対こんな非人道的な真似は許さなかっただろう。


……ま、誰かを救うための拷問なんかは許容してたから、必ずしも融通の利かない頭でっかちって訳ではなかったが。


「おっと……もう朝が近いか」


頭上に浮かべている魔法の鐘が、朝5時を俺に知らせて来る。

そろそろ帰らないと母が起きてきてしまう。


「まあ魔力もかなり使ったし、続きは明日だな」


死体を処理し、穴を埋めて俺は家路に就いた。

そしてベッドに潜り込んで、7時に起床。

母の用意してくれた朝食を終え、学校に登校する。


「山田は今日も休みか……」


まあ昨日母親が帰って来たばかりなのだから当然か。


「帰りに山田んちに寄ってくか」


授業が終わり、俺は山田の家に向かう。

タリスマンを渡すためだ。


「安田」


「よう、お袋さんの様子はどうだ?」


「母さんなら元気さ。今買い物に出かけてるよ」


「そうか」


昨日の今日で買い物に出かけるとか、なかなかタフなおばさんだ。

母は強しなんてよく言った物である。


「まあ上がってくれ」


「ああ」


俺は山田の部屋に通され、ベッドに腰掛ける。


「妹さんの方は?」


「母さんが戻ってきて喜んではいるけど、やっぱまだ引き摺ってる」


「まあ事情が事情だからな」


「うん。母さんも暫くは学校休んでいいって言ってくれてるから、暫くは妹についておくよ」


「そうか、頑張れよ。きっと乗り越えられるさ」


「ああ」


その事に関しては、俺が出来る事は何もないからな。

只励ますだけしかできない。


「でさ、今日はこれを渡すために来たんだよ」


俺はポケットからタリスマンを取り出す。


「これは?アクセサリーか?」


「タリスマンって言う、魔法の護符さ。これを身に着けてたら、刃物に刺されようが銃で撃たれようが無傷ですむぞ」


「え!?マジで!?」


山田が俺の説明に目を丸める。


普通は防刃なり防弾の装備を身に着けなければ防げないし、それだって身に着けていない部分に攻撃されたらアウトだ。

その点、タリスマンはアクセサリーとして身に着けているだけで完璧に防いでくれる訳だからな。

そりゃ驚きもするだろう。


「しかも攻撃されたら、俺がそれに気づける様になってる」


「魔法ってスゲーんだな」


「まあな。これさえ着けとけばもう安心だ。お袋さんと妹さんの分もあるから渡しといてくれ。絶対肌身離さず持っておけよ。身に着けてないと効果がないから」


「ありがとう……安田。俺や家族の事、こんなに考えてくれて……うぅ……ぐす……あり……がどう……」


山田が腕で目元を押さえ、泣き出してしまう。


「友達なんだから当たり前だろ」


「ぐぅ……ふうぅ……」


「まったく、よく泣く奴だな」


俺は山田が落ち着くのを待ってから家に帰った。


「昨日病院の事があったばかりなのに、本当に怖いわねぇ」


夕方のニュースでは、亀井会の集団失踪が流れていた。

対抗組織であった鬼三会が関わっているのではないかと、キャスターは見解を語っているが、当然大外れだ。

そんな奴らは一ミリも関わってはいない。


ま、そんな事はどうでもいいか。


「きっと天罰が下ったんだよ。悪い事してた奴らだし」


そう、奴らには特大の天罰が下っている。

しかも現在進行形で。


「そうねぇ。うん、きっと孝仁の言う通りだわ。孝仁も悪い事はしちゃだめよ。お天道様はちゃーんと見てくれてるんだからね」


「ははは、分かってるよ」


早めに寝て、母が寝たであろう深夜に起きる。


「さて、じゃあ蘇生魔法の練習の続きと行くか」


死者蘇生さえ完璧になれば、最悪守り切れずに誰かが死んだ時の保険になる。

だから頑張らないとな。

新作の宣伝を><


『処刑された悪の侯爵令嬢に代わり、彼女の心を歪めた相手を処分します』


不幸な境遇から性格の歪んでしまった侯爵令嬢。彼女が人生の最後に望んだのは、自らを歪めた者達の破滅。その声が神に届き、異世界転生の条件に釣られた男がその令嬢に転生しチート能力で報復する物語になります。


下にスクロールした場所にリンク張ってありますので、もしよろしかったら其方の方もよろしくお願いします><

あと、この作品へのブックマーク評価もよろしくお願いします><

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~
王家から追放された無能な第4王子が転生者である事を思い出し、神様から貰ったランクアップのチートで自領を発展させつつ面白おかしく生きていくお話
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ