表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
32/103

第32話 確実

相談を受けた日の深夜。

俺は現場であるホラースポットまで、亜美の車に乗って移動していた。

到着まで1時間はかかるそうなので、事前に用意してきた参考書を助手席で眺めていたら、横から亜美に声をかけられる。


「暗いのによく見えるね」


深夜なので、言うまでもなく車内は暗い。


「やっぱそれも魔法?」


「単に目が良いだけだ」


光の完全にない真っ暗闇ならともかく、異世界帰りの俺にとって、多少暗い程度は大した障害ではない。


「ふーん、魔法じゃないんだ。ねぇ、安田君ってどうやって魔法なんて物覚えたの?」


何故こいつは参考書を開いて勉強している俺の邪魔をする?

運転だけじゃ暇なのか?


「……異世界だ」


一瞬答えるかどうか迷ったが、亜美はもう魔法の事を知っているのでそっちを隠す意味はないかと判断して答えた。

そもそも、知られた所で彼女が行ける訳でもないしな。


「異世界って、漫画とかに出て来るあの異世界?」


「ああそうだ。まあ信じる信じないは好きにしろ」


「もちろん信じるわよ。安田君はそういう冗談言うタイプじゃないもんね」


魔法が使えるとは言え、いきなり異世界と言われてすんなり受け入れるのは難しいものだ。

にも拘らず、亜美は俺の言葉をすんなり受け入れる。

まあ多分馬鹿だからだろう。


「それで、そこはどんな世界ったの?楽しかった?」


「漫画やゲームみたいに楽しい感じじゃない。後半は延々生きるか死ぬかの殺し合いだったしな」


異世界で楽しい事が全く無かったと言えば嘘になるが、魔王軍との戦いが激しくなってからは地獄だった。


戦いの度に、周りで人が死にまくる様な状況の連続。

とてもじゃないが、異世界の事を詳しく語る気にはなれない。


「あー、ひょっとして……詮索しない方がいいパターン?」


「そう言う事だ」


「そっか。安田君も苦労してるんだね」


「まあな」


亜美は気を利かせてか、その後話題をたわいない物へと切り替えた。

まあそもそも本当に気を使うなら、参考書を開いてる俺に話しかけるなと言いたい所ではあるが。


「ついた。ここよ」


車は山の中にある、古い建物の前で止まる。

建物の周りは大きな柵で覆われており、意図して侵入を試みなければ中には入れない様になっていた。


「元々大きな旅館だったらしいけど、10年ぐらい前に大きな事件があって放棄された場所なの」


「いい年した男女7人が、夜中にこんな場所に肝試しで忍び込んだのか?」


頭の痛いお話である。


「あたしも止めとけとは言ったんだけどね……」


「もっと強く止めておくべきだったな」


俺は廃旅館を見つめてそう言う。

いきなり連絡が途絶えた以上、亜美の友人達に何かあったのは疑い様がない。

だがここに来るまで、それが本当にこのホラースポットで起こった物かの確信はなかった。

ここを出た後、別の場所で何かあった可能性も十分考えられたからだ。


だが廃旅館を目にした今ならハッキリ言える。

亜美の友人達。

ついでに一緒にいた男達の身に、此処で何かが起きたのだと。


何故なら――


「ひょっとして……何かわかったの?」


「ああ」


――目の前の建物のあちこちから、魔法の痕跡が感じられたからだ。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


『面白い。悪くない』と思われましたら、是非ともブックマークと評価の方をよろしくお願いします><


評価は少し下にスクロールした先にある星マークからになります。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
自作宣伝
スキル【幸運】無双~そのシーフ、ユニークスキルを信じて微妙ステータス幸運に一点張りする~
『現代ファンタジー』ユニークスキル【幸運】を覚醒したダンジョン探索者が、幸運頼りに頂上へと昇りつめる物語
素行不良で僻地に追いやられた第4王子、自分が転生者だった事を思い出す~神様から貰ったランクアップで楽々領地経営~
王家から追放された無能な第4王子が転生者である事を思い出し、神様から貰ったランクアップのチートで自領を発展させつつ面白おかしく生きていくお話
最強執事の恩返し~転生先の異世界で魔王を倒し。さらに魔界で大魔王を倒して100年ぶりに異世界に戻ってきたら世話になっていた侯爵家が没落していました。お世話になった家なので復興させたいと思います~
魔界で大魔王を倒して戻って来た勇者は、かつて転生者だった自分を育ててくれた侯爵家が没落した事を知る。これは最強男勇者が執事となって、恩返しとして侯爵家の復興に尽力する物語
― 新着の感想 ―
[一言] 生贄にされたのが友人達なんでしょうね〜 オーラバトラーでダンバインだって思ってしまいました
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ