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第20話 ファイヤー

「あん?高頭、何勝手に入って来てやがる」


無駄に分厚いドアを開けると、中には4人の人間がいた。

男が三人に、床のマットの上で倒れている女が一人。

全員服を着ておらず、女——林亜美は涎をたらし目の焦点が合っていなかった。


――麻薬。


異常な状態。

魔力は感じないので魔法ではない。

ならば薬物関連と考えて間違いないだろう。


「薬なら仕方ないな」


俺は亜美の状態を見て、そう呟く。


もし彼女がちょっと小突かれた程度で俺の事を話していたのだとしたら、その時は問答無用で彼女の直近の記憶を消すつもりだった。

助けて貰っておいて、ぺらぺら恩人の事を喋る屑に精神の障害が出ようと知った事では無いからな。


だが薬物を使われたのなら仕方がない。

自分の意思では、多分どうしようもないだろうからな。


まあひょっとしたら小突かれた時点で話している可能性もあるので、その辺りは目の前の3人から聞き出して確認する必要はあるが。


「何言ってんだ高頭?テメーまさか薬でもやってんのか?」


男の一人が、無造作に近づいて来て俺を睨みつける。


「ぼぇあっ!?」


「寝てろ」


俺はその頬をぶん殴って砕く。


男は吹っ飛び、壁にぶつかって動かなくなる。

それを見た男二人が慌てて血相を変えた。


「テメェ高頭……いや、高頭にこんな芸当が出来る訳ねぇな。何もんだ?他の奴らはどうした?」


不意を突いた奇襲に近い形にもかかわらず、禿げのデブ男が冷静に俺の事を見破って来た。

どうやら荒事には相当馴れている様だが、そう言った精神的な物より気になるのは――


「どうやら気の使い手らしいな」


――禿デブから感じる、魔力とはまた違った謎の力だ。


そのよく分からない力を。

以前ギャオスから聞いた気と結び付けた俺は、答えの分かり切っているであろう相手の質問には答えず、逆にそう問いかけた。


「ほう……知ってるのか?いや、一人でこんな所まで乗り込んで来る様な奴だ。知ってて当然か」


禿が半身になって、左手を前に出す様な構えを取る。

そしてその口の端をニヤリと歪めた。


「言っとくが……俺は気孔闘士(オーラバトラー)6級だ。俺の拳は岩をも砕く。生きて帰られるなんて夢にも思わない事だな」


気孔闘士6級ねぇ……

武道系は段位があってその下に級位があったりするので、6級とか凄く弱そうに感じてしまう俺がいる。


実際、感じる力も大した事はないし、岩を砕く程度でドヤ顔するレベルならそうとう弱いとは思うが。


「オラァ!」


禿げデブが突っ込んで来る。

拳で岩をとか言ってた割に、その攻撃は肩から突っ込んで来る体当たりだった。


まあ確かに砕けるとは言ったが、殴るとは一言も言ってなかったけども……


「——っ!?」


俺がその体当たりを片手で受け止めると、デブが驚愕の表情で目を白黒させる。


「はっ?えっ?はっ?あれ?なんで?」


「寝てろ」


その顔にビンタをかまし、意識を刈り取る。


「ば、バカな!?気孔闘士の鎌田さんがこんなにあっさりと――ふぼぁっ!?」


最期に残った奴もビンタで気絶させ、そして全員を魔法で昏睡させインベントリに突っ込んでおく。


「亜美は……まあこいつも突っ込んどいていいか」


あんま時間もないし。

介抱するにしても後回しだ。

そう判断した俺は亜美にも魔法をかけ、インベントリにぶち込んだ。


「さて……後は事務所と車を燃やせばオッケーだろ」


痕跡は消すに限る。

幸い建物は他の建物と隣接していないので、盛大に燃やしても大丈夫だ。


出口付近で建物が吹き飛ばない程度の炎の魔法を使い、内部を大炎上させてやる。

そして横の駐車スペースに止めてあった黒の車も魔法で勢いよく燃やす。


魔法の痕跡は残ってしまうが、そこはもう考えない事にする。

俺に繋がりさえしなければいいのだ。


「さて、それじゃあ大丈夫そうな所で皮を脱いで帰るか……」


人気のない死角のある場所で皮を脱いだ俺は、そのまま帰途につくのだった。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
消防関係者としては、火事は本当に勘弁して欲しい事案なので創作であっても心苦しいものがあるなぁ メギドで瞬間蒸発とかなら
[一言] ダンバイン!!
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