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第19話 銃

建物は入ってすぐに階段だった。

複雑な構造をしてるのは、何かあった時用なのだろう。

多分。


俺は階段途中で一旦足を止め、感知魔法でざっくりと建物内を確認する。

案の定、此処とは別の非常口っぽい部分を見つけた。


内部の人間は全部で11人。

谷口の言った数より多いが、時間が少し経っているので人の出入りがあったのだろう。

まあそこは誤差だ。


「先に結界はっとくか」


逃がす様な間抜けな真似をするつもりはないが、万一を考えて先に建物を包む形で結界を展開する。

建物丸々包む様な結界だと、もし魔法が使える奴が近くにいたらそいつは確実に気づくだろうが気にしない。

その時はその時だ。


「おい谷口。なんだその恰好は?」


結界を張り終えた俺は三人を連れて階段を上り切り、その先に在った扉を潜る。

中にはそれっぽいデカイ机が置かれており、明らかにそっち方面っぽい奴らが7人。

そのうちの一人は亜美の彼氏だった奴だ。


奥に座ってる奴が、血まみれの三人を見て眉間にしわを寄せる。


我妻(あがづま)さん!こいつ高頭じゃありません!」


それまで黙っていた谷口が、それに応える様に声を上げる。

どうやら人数がいればどうにかなると思った様だ。


本気で心をへし折ってれば、そんな考えは持たなかっただろう。

そう考えると、やはり拷問は時間をかけてなんぼだと痛感させられる。

まあ大した弊害はないが。


「こいつは――ぎゃあああああああ!!」


言葉を続けようとする谷口に、俺は振り向きざまにローキック。

その一撃で両ひざが粉々になった奴は、その場に崩れ落ち悲鳴を上げる。


「テメェ高頭!どういうつもりだ!!」


谷口は俺を高頭ではないと言ったが、我妻って奴はその言葉を理解できなかった様だ。

俺の事を高頭と呼ぶ。

まあ90点だし、そら遠くからぱっと見じゃ判断はつかないよ。


「お前らを地獄に叩き落しに来ただけだ。気にすんな」


「地獄に叩き落すだとぉ……舐められたもんだ」


我妻が机から黒い物を取り出す。

それは銃だった。

それ以外の6人の内、2人も銃を手にしている。


谷口達は持ってなかったけど……そらまああるよな。


異世界で戦い続けてきた俺だが、銃で撃たれた経験は当然ない。

そんな物のない世界だったからな。

なのでその威力は未知数……って程ではないにしろ、正確には分かっていない。


テレビ見てる感じだと、一般的なハンドガンじゃ1センチ程度の鉄板もつらぬけてないっぽから大した事はない思うけど……テレビ鵜呑みにするのは流石にあれだよな?


下手に受けて怪我をするのも馬鹿らしいし――


「高頭、誰の差し金だ」


「別に誰も?」


俺はそう答えると同時に動く。

狙いは銃を持つ3人。


銃がどれだけ強かったとしても、狙うのは所詮人間だ。

そしてこの世界の人間程度じゃ、俺の動きを捉える事は出来ないだろう。


案の定、三人は俺の動きに反応する事も出来ていなかった。


「ぎゃっ!?」


「ぐわっ!?」


「がああ!?」


三人の両腕を、順番にへし折って行く。


「これでもう銃は使えないな」


他の4人は、何が起こったのかすら分かってないないと言う顔で突っ立っていた。

ついでそいつらの両足をへし折って制圧する。


「うわぁぁぁ!!」


これで終わりとか思ったら、谷口と一緒に車から連れて来た二人が扉から出て階段を駆け下りていく。

どう頑張っても車の扉が開かないという体験をさっきしたばかりなのに、何故逃げられると思ったのだろうか?


階段を降りて追いかけると、二人はドアノブをガチャがゃしたり叩いたりして何とか脱出を試みていた。

そんな二人の髪を掴み、俺は引き摺って事務所へと戻る。


「いやだぁぁぁぁ!!」


「たすけてくれぇぇぇぇ!!」


「無駄な手間かけさせんなよ」


事務所に戻った俺は二人の両足を粉砕する。


「取り敢えず全員寝かしとくか」


此処にいる奴らには、この後やって貰う事がある。

そのためこの場では殺さない。

なので、俺は魔法で呻き声をあげているこの場の奴ら全員を昏睡させ、亜空間(インベントリ)に放り込んだ。


「残り4人はこの奥だな」


事務所わきにある扉。

俺の感知魔法が、残りの4人がこの先にいると伝えている。


「結構音がしたんだけど、気づいている様子はないな。まあ防音なんだろう」


俺は扉の先に向かおうとして、ふと思い立って足を止める。

そして落ちている銃を徐に拾い上げた。


「今後役に立つか分からないけど、威力を確認しておくか」


そのまま銃口を掌に向け――掌なら最悪貫通しても魔法で回復すればいいだけ――俺は引き金を引く。


『パァン』と乾いた破裂音が響く。


音は思っていたより大きい。

そして威力の程は――


「しょぼ……」


威力はテレビで見た様な物と大差ない感じだ。

かぶっている高頭の皮は貫通したが、俺の掌には傷一つついていない。

衝撃も全く気にする必要のないレベルである。


「これなら気にする必要はない……いや、強い奴だったらまた話は変わって来るか。油断は禁物だな」


銃は弾丸の口径やタイプで威力が全然違って来ると聞く。

今撃った銃がショボかったからと言って、油断するのは危険だ。


「さて……早く帰らないとだめだし、残りも手早く終わらせるとするか」


俺は奥の扉を開き先に進む。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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