第102話 縁故
間違って投降してしまいましたので、本来の内容に修正しました><
倉庫の一区画に案内される。
中にいたのは20人程。
当然だが、その中には風早の姿もあった。
「ようこそ。ウィングエッジの秘密アジトへ」
風早が満面の笑顔で両手を広げ、歓迎のポーズを見せる。
うさん臭さが凄い。
今ここで唐突にこいつの顔面にグーパンしたら、どんな反応を見せてくれるだろうか?
そんな子供っぽい悪戯心が若干湧き上がってきたが、我慢しておく。
人としてのモラルはちゃんと持ち合わせてるからな。
敵対してるとか、明確に邪魔になるとかじゃないかぎり攻撃はしない。
「お前は呪術にかかってないんだな?」
この場にいる奴らはほぼ全員、呪術を施されていた。
だだ一人、風早を除き。
「へぇ。分かるのかい?流石、魔法使いって所かな」
「まあな。ところで……お前ら、呪術を受けたらデメリットがある事はちゃんと知ってるのか?寿命が縮んだりするって聞くぜ」
ふと、『そういやここにいる奴らはその辺りを知ってて呪術を受けたのか?』そんな疑問が頭に過って尋ねる。
なにせ、トップの風早は綺麗な体な訳だからな。
騙されてる可能性は十分考えられる。
まあ余計なお世話ではあるが、袖すり合うも多少の縁って言うからな。
忠告っぽいものぐらいしても罰は当たらんだろう。
「もちろん知ってるさ。彼らは僕の仲間だからね」
風早が笑顔でそう言う。
伝えられたうえで受け入れてるのか、案外忠誠心は高そうだな。
いや、単にバカの集団だから何も考えてないだけの可能性もあるか。
「余計なお世話だったか」
「ま、今の俺達は気孔闘志だからな。呪いなんてどうって事ねーからな」
オーラバトラーだと呪いの効果が弱まるのか?
「強靭な肉体を持てば、呪いの効果はその分弱まるからね」
「ふーん」
そんな話はしらん。
まあ俺は呪術に明るくないからな。
なので、風早が下の奴らを騙すために嘘をついていても確認しようがない。
そういや、ギャオスもムキムキだったな。
実はあれ、呪いの負荷を軽減するためだったりするのか?
ま、どうでもいいか。
彼らがどういう風に呪いに蝕まれていくかなど、俺が気にする事じゃないし。
「それで?俺に話があってスマホを持たせたんだろ。ああ、そうだ……」
俺は風早から渡されたスマホをポケットから取り出し、そして握りつぶした。
「……」
勝次達は俺の行動に驚くが、風早は涼しい顔のままだ。
まあこれは風早の方が正常だな。
追跡装置付きのスマホなんて壊すに決まってるだろうに。
「連絡取れたからもういらないだろ?あと……堂々と追跡装置を仕込んでた事は、まあ俺も勝次たちを追跡した事でお互いさまって事にしといてやるよ」
急に接触された俺が追跡するのは当たり前のことだ。
頼む側の追跡とは全然意味合いが違ってくるが、まあ俺は器が大きいのでそこは流しといてやる。
以前の様な情報の完全シャットアウトを是としていないし、元同じ学校の人間って事で。
とは言え、そういった縁故で見逃してやるのはここまでだ。
ここからは、ちょっとでもおかしな事をしたらそれ相応のお返しはさせて貰う。
拙作をお読みいただきありがとうございます。
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