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第100話 センサー

「……」


「……」


本田勝次と、エリカって女が顔を見合わせる。

どうするかのアイコンタクトでもとったのだろう。


「で?何の用だ?さっさと話せ。俺もそこまで暇じゃない」


無駄なやり取りをする気はないので、相手をせっつく。


「せっかちだな」


「私達が今日貴方に接触したのは、ちょっとした勧誘のためよ」


「勧誘ね……そっちに移れって事か?」


俺の能力を知ったから、自分の所に引き入れるつもりの様だな。

まあ、そういう体で近づいただけって可能性もあるが。


「いや、そうじゃねぇ。まあ、ここで長々と話すのもなんだ……エリカ」


「これを……」


横に座っていたエリカが俺の体に自分の体にすり寄せ、そして四角い物を俺のポケットに捻じ込んできた。

感覚的にたぶんスマホだな。


「これは?」


「傍受不能な、うちのボスとだけ繋がるスマホよ」


「傍受不能なスマホね……」


どうやらこの場で詳しい話をするつもりはない様だ。

まるでスパイみたいな行動だな……ああ、ひょっとして、俺をスパイに仕立て上げたいのか?

こいつらは。


単にSPとしての引き抜きだけなら、こっそり接触する意味はない。

棘を立てたくなくても、俺が移った時点でモロバレだからな。

接触を隠すって事はそういう事なのだろう。


まあ、単純に俺に危害を加えるため、そう思わせる為のフェイクって可能性もあるが。

秘密の話だから内密で会おうって流れからの『しねぇい!』的な。


ま、流石にそれはないような気もするけど。

そもそも、風早グループが俺個人を攻撃する理由なんてないしな。


ああいやでも、そういや一つだけあったな。

攻撃する理由。


―—そういや俺、風早剛一郎殺してたわ。


それがばれたんなら、報復目的で俺に攻撃してくる可能性はある。

まあでもタイミング的に考えて帝真グループの情報からの接触だろうし、その可能性は低いか。

帝真グループは、剛一郎殺害の事とか掴んでなかったしな。


ま、けど、たまたまこのタイミングになっただけってのもゼロじゃないだろうから、警戒しておいて損はないか。


「で?俺にこれ持って、いつかかって来るかわからないお前らのボスからの電話を犬みたいに待て……なんて言わないよな?」


「もちろん時間指定はしくれていい」


「ただ通話をするときは、周囲に気を付けて欲しいの。お願いできるかしら?」


「いいだろう。今日の夜中の3時だ」


ひそひそ話は夜中にするのが定番なので、深夜にしておく。


「分かった」


「じゃ、二人を起こすぞ」


俺はエミとショーコに触れ、さりげなく回復魔法をかけて起こす。

目の前で魔法を使っても勝次とエリカは無反応なので、魔法を感知する能力を二人は持ち合わせていない様だ。


完全に呪術は掛けられただけって感じだな。


「ん?あれ?何であたし突っ伏してんだ?」


「んあぁ?なんだぁ?」


「細かい事は気にすんな。それより飯を食おうぜ」


突っ伏してた理由?


そんなものはいらん。

こいつらは馬鹿だから、言い含めはこれで充分だ。

ド底辺学校の不良を舐めて貰っては困る。


「そうそう、パーッと飯を食おうぜ!」


「へへ、そうだな」


「いただきまーす」


ほらな。


この後、果てしなくどうでもいい会話をしながら食事を終え解散。


「よくもまあ、あんなどうでもいい事を延々しゃべれるもんだ。感心するぜ」


学校でもそうだが、ああやって実の無い無意味な会話を続けられるのは逆に感心する。


「さて、じゃあセンサーを作っとくか」


家に帰った俺は早速センサーを作った。

なんのセンサーか?

もちろん、勝次とエリカの居場所を特定するセンサーだ。


あいつらの髪の毛は回収済みだからな。

これに蘇生魔法をかけて、血を取ればあら不思議……いつでもどこでも二人の居場所が分かる、魔法センサーの出来上がりである。


ああ、勘違いしないでくれ。

あいつらの居場所を特定して何かするつもりはないぞ。

まだ攻撃された訳じゃないからな。


じゃあなぜ用意したのか?


そんな物決まってるだろ。

必要ならいつでも押さえられるようにしておいた方が便利だからだよ。


備えあれば患いなしってな。

良い言葉だよ。

ほんと。

拙作をお読みいただきありがとうございます。


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― 新着の感想 ―
こんな形で情報抜かれる仕込みがされたとは夢にも思うまい
100話おめ!
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